累計3万足を販売したインソールやリカバリーウェア「BAKUNE」など、30~40代中心に人気を集める「TENTIAL」。なぜ、ウェルネスブランドとしてビジネスパーソン中心に支持されるのか。そのヒントを探るべく、代表取締役CEOの中西裕太郎さんにお話を伺った。
▼プロフィール代表取締役CEO 中西裕太郎
高校時代はサッカーに打ち込みインターハイへ出場。心疾患のためにプロを断念。卒業後はプログラミング学習サービス「WEBCAMP」を手掛けるインフラトップにジョインし、創業メンバーとして事業責任者を3年務める。その後退社し、リクルートを経て2018年2月にTENTIALを設立。
今回はTENTIALのヒットの裏側に迫っていければと思っています。まずTENTIALの商品が注目されるようになったきっかけはあったのでしょうか?
そうですね。まず、コロナ禍を機に人々にとって「健康」はより身近な関心事になりましたよね。心と体を豊かに、そういったマインドの高まりが背景にあると思います。肩こり、腰痛、睡眠不足・負債など、そういった悩みを抱える方はすごく多い。
そういったなか「TENTIAL」が提供してきたのは、アスリートが実践しているウェルネスのノウハウを活用し、日常生活やライフスタイルを豊かにすること。
私を含め、アスリート出身のメンバーが多く、その視点が商品開発に大いに活きています。たとえば、TENTIALのインソールは、足の指先を正しく使えるよう、細かく調整されていて。浮き指だと体のバランスが不安定になり、上半身が前傾姿勢になりやすく、肩こりや腰痛、足の痛みの原因になる。その足元にかかる負担を軽減し、本来持つ機能を使えるようにする。実際、品質としてアスリートの方にも使っていただいているもの。そこから現在では経営者、医師、農家、介護士、ドライバー、製造業の方など広く使っていただいています。
オンラインでよく見かけるのも「TENTIAL」の特徴かなと思います。
そうですね。もともとメディア運営からスタートし、検索流入などのデータをもとにプロダクト開発してきた会社でもあり、デジタルは強みの一つだと思います。
一般的なメーカーであれば、どうしても店舗販売での売上が大半。リソースもそこに割かなければなりません。ただ、私たちはほとんどのリソースをオンラインの販売に割くことができます。自社サイトはもちろん、主要EC、クラウドファンディングなどチャネルを網羅し、タッチポイントを増やしていく。当然、SEOにも力を入れており、インソールをはじめ、勝てている領域も多くあります。いわゆる”デジタル上の店舗”を先に押さえているイメージかと思います。
何より、作る人、宣伝する人、売る人が同じ。だからこそ、データをもとにしたニーズの把握から企画、リリース、PR、そして新たな商品企画まで高速で回せる。自分たちで調べた限りですが、大手メーカーが2~3年かけるような商品開発も、最短2ヶ月で進められており、こだわっているポイントです。
わかりやすい例でいくと、コロナ禍が本格化し始めた2020年6月には「TENTIAL MASK」をリリースし、楽天ランキングで8冠を獲得できました。スポーツウェア素材を使用し、運動時の呼吸ストレスが軽減できるもの。抗菌・制菌・消臭機能も備えたマスクとしてヒットしました。
このように社会情勢により、求められる商品はすぐに変わります。だからこそ、その時々の悩みをもとに、質を担保しつつ、スピーディーに商品を最速で世に出していく。ここが僕らの介在価値だと思っています。
今後どういった事業展開を考えられているか、伺わせてください。
もともと「体と向き合うノウハウ」を、社会に役立てたいという思いで起業しており、この思いは変わっていません。そう考えると、自社商品だけにこだわる必要はありません。より多くのデータを集約し、健康課題のニーズを細分化していく。あらゆる体の悩みに対し、他社商品を含めて優れた製品、ソリューションを提案できるプラットフォームを構築したいと考えています。自社でECサイトを開発し、膨大なデータの集約基盤をつくっているのは、そのためでもあります。データが蓄積されていくことでさらなるビジネスにもつながるはず。たとえば、他社メーカーが僕らのデータを活用して生産性をあげてもいいですし、高品質な商品開発に活かしてもいい。それが一人でも多くの人々における日常的なケア、病気を未然に防ぐことにつながるはず。そうすることで高齢者の医療費ひっ迫など、社会問題の解決にも貢献できると考えています。
さらにその先に描くビジョン・野望などあれば教えてください。
日本発の世界的なウェルネスカンパニーを目指しています。ウェルネスの領域では、NIKEやニューバランスなどの存在感が強いですが、肩を並べる存在になりたい。僕らが先駆けて世界に打って出ていきたいですね。そのためにも、僕らが大切にしている根幹、カラダの構造理解を追求し、カラダというものを解明していく。ここを愚直にやり抜いていきます。
僕個人の思いでいえば、どうせいつか死ぬのだから、社会に残せること、社会に誇れることがしたい。もともと高校時代にはプロを目指し、サッカーに打ち込んでいましたが、高校3年の夏に心疾患を患ったんです。あまりのショックで生きる気力を失い、遺書を書くところまで追い詰められていました。ただ、その時、家族やお世話になった人たちに、まだ何も返せていないことに気づいて。以来、強く社会に誇れることをしたいといった気持ちがある。そこに向けて、これからも走り続けられればと思います。
TENTIALでは現在「AMBI」で求人掲載中。
▼詳しくは下記URLよりご覧ください。
https://en-ambi.com/featured/790/
編集 = 白石勝也
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