2019.12.27
お客さんと、地域の人と、夢を語ろう。瀬戸内発デニムブランド『EVERYDENIM』のスタンス

お客さんと、地域の人と、夢を語ろう。瀬戸内発デニムブランド『EVERYDENIM』のスタンス

立ち上げから5年、瀬戸内発デニムブランド『EVERYDENIM』がファンを増やす。地域の工場巡りに始まり、毎年のクラファン実施、全国移動販売、そして「場」づくりへ。一人ひとりに良いものを。ただただ真っ直ぐに。「職人さんもお客さまも仲間に、そしてサポーターになってくれた」と兄・山脇耀平さんは語るーー。

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「消費」されない一生モノのデニムを。

瀬戸内の職人さんが作った最高のデニムを届けたい。

決して「消費」されることのない人生の一本を手にしてほしい。

こうして誕生した瀬戸内発『EVERYDENIM』。立ち上げから5年を経て、現在黒字で運営を行う。

5年で5回開催したクラウドファンディングが成功。キャンピングカーで47都道府県を巡った移動販売、「ショーワ」とのナイロンデニムの開発、そして2019年には新拠点『DENIM HOSTEL float』を岡山県倉敷市児島につくった。その歩みを着実に前へと進めている。

『EVERYDENIM』を運営するのは"デニム兄弟”の愛称でも知られる山脇耀平さん、島田舜介さん兄弟だ。

彼らのブランドはなぜ多くの人に愛され、応援されるのか。

「職人さんも、お客さまも、地域の人たちも、仲間に、そしてサポーターになってくれた」と兄・山脇耀平さんは語る。

顧客がサポーターとなり、応援されるためには。「関係づくり」から生まれる新たなブランドづくりのヒントとは。

山脇耀平さんにお話を伺った。

「ジーンズを買ってもらってからがスタート」

──『EVERYDENIM』スタートから5年、毎年アップデートされ、着実にファンを増やしていますよね。『EVERYDENIM』が顧客との関係づくりにおいて大切にしてことについて伺えればと…。

それでいうと、僕らは何も特別なことをしてきたわけではないんですよね。毎年必死でやってきて、なんとか5年。黒字ではありますが、ぜんぜん儲かっていないですし(笑)

ただ、その中でも大切にしてきたのは「僕らのジーンズを買ってもらってからがスタート」ということ。買ってくれた人との関係がそこから始まるんだ、と。

次、『EVERYDENIM』は何をやるんだろう。どんなものを届けてくれるんだろうと。そんな風に楽しみにしてもらえたらいいなと思ってやってきました。

普段から『EVERYDENIM』のジーンズを履いてもらって、ふと僕らのこと思い出す。また、見続けてもらう。これは当初からあった思いかもしれません。

──2015年から5年連続でクラウドファンディングを実施し、成功していますね。それも、応援される関係づくりのため?

もちろんそれもあります。クラウドファンディングって期間内に「僕らのスタンス」を全部さらけ出して知ってもらう年中行事みたいなものかもしれません。

目標額を決めた以上は、どんな準備をしているか、リターンはどう考えているのか、全てを見せたい。自分たち自身も「これから『EVERYDENIM』がどうありたいか」と考える機会になっています。全力で向き合うから、終わると抜け殻みたいになっちゃうんですよね(笑)

もちろんクラウドファンディングって「支援を募る側」と「お金を出す側」ですが、できるだけ関係はフラットでありたい。夢、ビジョンを伝えて、一緒に考える場にしたいという思いはあるかもしれません。「ぼくらは応援してもらえるのか」というリトマス試験紙的な役割もあるのかもしれないですね。イメージとしてはサポーター。夢を叶える応援をしてもらってる方々なので大切にしたいです。

同じ「1000万円」でも銀行に借りるのと、クラウドファンディングで集めるのではぜんぜん違うんです。

自分たちで挑戦とか成長の機会を作っていかないといけないので、別にやらなくっていいって言っちゃやらなくていいものでもあるんですけどクラウドファウンディング自体は。あえてハードルを課すというか掲げる必要は自分たちから持たないといけないな、っていう思いでやっています。自分たちに課しているハードル、目標です。

移動販売が教えてくれた、モノを買ってもらう「手触り」

去年から今年にかけてキャンピングカーで、47都道府県を毎月1週間、行ったりきたりしていました。週末は販売、平日は衣食住にまつわる作り手の方々にお会いし、お話を伺う。つながりを作るといった日々でした。

どういうような物の作り方や、届け方だったら、お客さんにとっていいなと思ってもらえるのか、っていうのを学びたくて行きました。

ちゃんと地域に根ざす。地盤にある特性を生かし、自分たちのやっていることがその地域に還元される。だから自信を持って、ピュアに「モノ」を届けていく。こういった姿勢を貫いている人たちにお会いし、めちゃめちゃ刺激を受けました。

今って、たくさんの情報に触れているから人を見抜く力はめちゃくちゃ上がっているじゃないですか。

「嘘やん」みたいなのって絶対一瞬でバレる。なので、どれだけピュアに思い強く芯の通った言葉を放てるようになるかどうか、抽象的だし、泥臭いし、全然理論的な話でもないんですけど、大切にしていますね。

全国47都道府県をキャンピングカーでまわるクラウドファンディングは、「ボクシングのリングに上がっている感覚があった」と山脇さん。誰を巻き込むか、どんなイベントを企画しているのか。支援者に見られている感覚、逃げられない感覚が強かったと振り返る。「ヌルいことをやろうとしていたらすぐに見抜かれて応援してもらえない。だから僕らも本気で攻めのスタンスでした」

瀬戸内に「場づくり」で恩返しを。

──直近のクラウドファンディングは「岡山に拠点を作る」というものでした。新拠点『DENIM HOSTEL float』がそれですよね。これはまた新しい挑戦ですね。

そうですね。あれ?ジーンズの販売とは別?と思われるかもしれませんが、やりたかったのは「ジーンズ工場で働くのが好き」という若い人たちの支えになれる「場」がつくりたかったんです。

ジーンズをつくる、というのは作ってくれる人ありき。僕ら兄弟の原体験として、ジーンズの工場を見学したら、そこで働く職人さんたちがすごく格好良かった。ぼくらと同じ20代、同世代から次なる働き手を増やしたいと思っています。

そのなかで「働き方」や「生きがい」を模索するなかで、わざわざ岡山の工場に働きに来てくれる人たちもいて。そういう人たちを大切にしたいんです。

やってみて、どんどん「人とのつながり」が生まれていきました。たとえば、お店をやっている移住者の方、Iターンで岡山に来る方、地域で活動している方、たくさんの人と出会うことができました。

──すごく面白いのが、「応援される側」と「する側」がごった煮になっていること。今度は『EVERYDENIM』が応援する側になっている、というか。

そうですね。僕らはあらためて「モノを売りたいわけじゃない」と感じられました。それだけじゃ叶えられないことを叶えたいんですよね。

移動販売は「迎えてもらう側」で、たくさんの「目的地」ができました。そんな僕らが「迎える側」になる。誰かの「目的地」になりたい。

また、倉敷市児島地区の人たちにとっても大事な存在になれたらいいなって思うんです。自分たちがちゃんと地域に根ざし、児島にとって意義のある存在になりたい。

『DENIM HOSTEL float』をやってみて、近所の方々が日常的に来てくれることも増えてすごくうれしいんです。知り合えるきっかけが増えてきている。

ジーンズをきっかけにして、僕らも街のためにできることが少しずつ増えてきた。たとえば、一度なくなってしまった地域の花火大会を復活させる、みたいなこともやっていきたいと思っています。ジーンズは全く関係ないけど、花火大会に来てもらうために、どうすれば交通のアクセスが良くなるか?みたいなことを考えるのは、街の利便をあげることなるし、そうすれば工場で働きたい人が増えるかもしれない。

働き方も、生きがいも含めて、ちゃんとモデルをつくっていきたいんですよね。「ジーンズ」をきっかけに、地域のことをいいなって思ってもらえる、そこで働きたいと思う人が増える。そんな場所として育てていきたいですね。

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編集 = 白石勝也
取材 / 文 = 黒川安莉


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