2021.03.24
Notionは、僕らのオフィス。Goodpatch AnywhereのNotion活用法|齋藤恵太

Notionは、僕らのオフィス。Goodpatch AnywhereのNotion活用法|齋藤恵太

「Notionは、僕らにとってのオフィス」こう語ってくれたのが、Goodpatch Anywhere 事業責任者の齋藤恵太さん。委員会があったり、ガレージがあったり、面談室があったり!? 200名規模の共創デザインチーム、クリエイティブなコラボを生む、遊び心に溢れたNotion活用法とは?

※2021年2月22日、デザイナー特化のキャリア支援サービスReDesignerが開催した『Notion Meetup』よりレポート記事をお届け。ReDesignerコミュニティーにNotionのナレッジを還元するという目的の元、3名の登壇者がNotion活用事例をお話。本記事では、100名を超えるリモート組織Goodpatch AnywhereでNotionを活用している事業責任者の齋藤さんのセッションをご紹介します。

【もくじ】
・フルリモートで働く僕らにとってNotionは、オフィス
・Notionをなぜ使っているのか。
・デザインデータベースとしてのNotion活用
・図書館としてのNotion活用
・面談室としてのNotion活用
・議事録としてのNotion活用
・案件共有会でのNotion活用
・組織に浸透する仕組みを考えるのも、デザイナーの仕事

フルリモートで働く僕らにとってNotionは、オフィス

今日は、私が事業責任者をしている「Goodpatch Anywhere」でのNotion活用についてお話させてください。

そもそも「Goodpatch Anywhere」とは何か。

新型コロナが感染拡大以前からフルリモート、実験組織として立ち上げた変革密着型の共創デザインチームです。

フリーランス、正社員など、さまざまな雇用形態の200名以上の多様なメンバーが所属していて。自らデザイン会社を経営している人もいれば、ビジネスコンサルタントとして入る方もいます。

いろんな専門家、各領域に最も詳しい人をプロジェクトごとに連れてこようと、このような構成になりました。

+++※ここで記載されている「新型コロナ接触確認アプリ」は今リリースされている「COCOA」ではなくCode for Japanが主導していた「まもりあいJAPAN」プロジェクトのことを指します。

そんな「Goodpatch Anywhere」で使っているツールですが、UIデザインはFigma、コミュニケーションはSlackとZoom、雑談にDiscordなどを活用しています。

そして、Notionは、リアルのオフィスを持たない僕らにとっての「オフィス」に位置づけています。

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やはり働く環境=オフィスこそが、人を形作る。だからこそ、こだわるべきですよね。そういった意味でも、Notion=オフィスにとって大切なのが、設計思想です。働く場所に何を求め、何を大事にするか。

そして考えたのが、「コミュニケーション」と「ナレッジ」を大事にすること。ここを練り込んでいきました。自由な発想でコラボレーションしたい。逆に嫌いなものが、マジメすぎる会社感。お硬い感じにしたくしたくない。ここはすごく意識して回避しています。

その結果として「オフィスエントランス」がこういったカタチになりました。

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委員会、ガレージ、面談室があったりして。ちょっと学校ごっこ的なノリのところもあり、そこからいろんなものが生まれています。

余談ですが、Notionをいじっている時間がかなり長いので「Notion建築士」と名乗ろうと思っているほど、こだわっています(笑)

なぜNotionを使っているのか。

Notionを「オフィス」としているのですが、そもそもなぜNotionだったのか。ここからお話させてください。

シンプルにいえば、仕事の質を上げたいからなんですよね。まず、仕事の質のレベルを、ざっくり4段階に分けて考えました。

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レベル1は、刹那的で属人化した仕事をただやっているだけ。やったことが残らない仕事。

レベル2は、ドキュメントを残してマニュアル化していく動き、記憶の外部化。「1」の力で「1」の仕事をやるのだけど、あとから同じ仕事が出てきた時に楽になる、みたいなレベルですね。ブログだったり、Evernoteだったりはレベル2に向いたツールだと勝手に思っています。

そして、レベル3がデータベース化です。ここにNotionが含まれると捉えています。データ集積にも、いろいろなアプローチがありますが、チーム内での共有が高度にでき、再利用しやすい。使いまわせる。これがレベル3だと思っています。

要するにデータベースになっていることが肝。「1」の力で生み出したものが、データベース上に追加され、さまざまな場所からアクセス可能となる。それぞれの場所からフィルターをかけてアクセスでき、効果が多面的に発揮される。まさに「オフィス」的な役割として機能します。

もちろん、その先には、レベル4もあります。それが「アプリケーション化」です。自分たち専用のアプリケーションをどんどん作り、さらに仕事の質を向上させる。本来はここをやっていきたい。データベースがアプリケーションと繋がり、自動化されたり、AIが入ってきたりとできることが広がります。今でもエンジニアであればどんどんアプリケーションを作れると思いますが、デザイナーが中心の集団である僕らも、NotionのAPIができたら連携できるサービスが増えて、もっと低い敷居で色々なことができるようになっていく。ここは次のフェーズだと捉えています。

デザインデータベースとしてのNotion活用

ここからは詳細なNotionの活用方法をお話します。

「Goodpatch Anywhere」では、Notionのなかにデザインのデータベースに近いものを作っています。たとえば、デザインのリファレンス。安心して参考にできるウェブサイトの事例を蓄積していますちなみに、画像にはダミーを載せているので、フィクションであるというところをご了承ください。

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1箇所にまとまった情報を参照できるのはもちろんですが、Anywhere内にある各プロジェクトのポータルページから、「このプロジェクトでは、このデザインを参考にしよう」と、データに「プロジェクト名のタグ」をつけ、デザインサンプルをどんどん集めていくことができます。

今のプロジェクトで自分用に集めたコレクションが、次のプロジェクトに活かされることもある。先ほどのレベル3としての再利用性を狙っている部分でもあります。

図書館としてのNotion活用

次は図書館としての使い方です。みんなが買って読んだ本を整理しています。「このプロジェクトに入るときに参考にすべき本」などを「図書館」に集約していて、感想文データベースみたいにしています。たとえば、プロジェクトに携わるときに必要な本は、プロジェクト名でタグ付けしてフィルターをかけられるようにして、自分のプロジェクトのトップページに置くなどの活用をします。

いま画策中なのは、「本の情報をためてくれたら、その書籍購入代を無料にする」という施策。これは、めちゃくちゃアリだと思っているんですよね。役立つ情報をためていくことに、会社としても投資していくスタンスも意識的に伝えていく。そういうアプローチも可能性を感じています。

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面談室としてのNotion活用

「Goodpatch Anywhere」では1on1が活発です。誰と誰が1on1をしたか。その内容なども蓄積されています。ただ、センシティブな内容もあるので、そこは書かないでOK。それぞれの判断に任せる形にしています。

1on1のシステムは「メンターとの1on1」はもちろん、週に30分、好きな人に話を聞きにいける「ご指名1on1」という制度もあります。

「Goodpatch Anywhere」の組織は、はじめて集まったメンバーも多いので、コミュニケーションのネットワークをいかにつくるかが、すごく重要です。

ただ、当然、がんがん話しかけられる陽キャばかりではない(笑)なので「ご指名1on1」のような制度を作って運用しています。そして、議事録をデータベース化したり、誰が一番1on1をお願いされたかランキングで集計し、見られるようになっていたりと、そういった活用をしています。

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議事録としてのNotion活用

議事録、内部ドキュメント管理に関しては、同じNotion内のデータベースで、統一テンプレートから新規項目を作るようにしています。

Notion社内でも1つのデータベースでやっていると聞き、僕らもそれに近い形で運用しています。

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右上、議事録のテンプレートのテーマを載せています。ミーティングの継続的な改善を行うためにテンプレートを利用します。

もし、テンプレートを使わないと、「次からこうしよう」を毎回ゼロからメンバーにアナウンスしなきゃいけない。テンプレートを使う習慣があれば、テンプレートを徐々に調整しながら、うまくいった、うまくいかなかったを振り返りながら、改善できる。一度で完璧なものを作るのは無謀なので、改善速度をどんどん高めていくことが重要です。そのために議事録テンプレートを設計するのが大事だと思っています。

案件共有会でのNotion活用

Anywhereでは週1回、案件共有会を実施しています。各プロジェクトから一人が出席し、プロジェクトの進捗や、成功事例などを共有する。ここでもNotionが機能しています。

Notionで作成した共有会のまとめのページから、プロジェクトの発表用ページにリンクし、順に発表していく形式をとっています。各プロジェクトの案件共有から、ナレッジが生成されていく流れを作りたいわけです。

さらに「Notionチャンス」という目印を作っていて。他のチームが発表を聞きながら、「これ残しておきたい」という内容に、「Notionチャンス」が貼られるわけです。すると、その項目をタイトルにしたものをナレッジデータベースに登録します。発表したチームの人には「来週までにナレッジとしてまとめてきてほしい」と依頼して、発表からナレッジの生成までがスムーズにつなげています。

さらに、ナレッジデータベースにたまったものが、エントランスから有効な再利用ができるように、というところを考えています。

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組織に浸透する仕組みを考えるのも、デザイナーの仕事

最後に、一番大事なポイントを共有して終わりたいと思います。

それは、ツールを組織に浸透させるということです。

どんなにいいツールでも、組織への浸透の仕方を間違えると、アレルギー反応が起こるもの。期待して導入しても全然使ってもらえなかったりもします。

例えば、「給湯室」という名のコミュニケーションのコーナーが存在しています。

オフィスというからには「給湯室」がほしいねとメンバーが言い出してNotionで遊んでいたら出来上がりました。

データベースの中の1ページがスレッドなっていて例えば「おすすめ本を知りたい」とか「ダイソンユーザー集まれ」などのスレッドがあります。ページのタイトルをつけたらあとはコメント機能だけで掲示板のようなコミュニケーションをとるエリアとして成立しています。

ページをフォローしていれば、更新ごとにプッシュで通知がくるので、普通の掲示板システムよりもリテンションしやすいのではないかと思っています。

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もうひとつ、「おはようコーナー」もあります。「おはよう金曜日!」とか「今日は晴れですね」とか一言コメントができ、他の人もそこにコメントができる。「今日調子があまりよくない」みたいなコメントでもOKで、そこに「大丈夫?」と誰かが言葉をかけたりもしています。

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こういったカタチでNotionにコミュニケーションを混ぜ込んでいくのは、すごく大事だと思っています。それをきっかけにNotionに帰ってくる人が増える、という仕組みをたくさん考えていくべきです。

こういった仕組み、リテンションにより活かせるように、データベースにデータが追加された時にもプッシュ通知が飛んでほしい。ここはNotionさんへのリクエストですね(笑)

最後に、いかに組織に浸透させるのか、この仕組自体を考えるのもデザイナーの仕事だと思うんです。はじめのハードルをできるだけ下げて、さまざまな仕掛けでリテンションを生むように設計する。

これは普段デザイナーがUXやUIとして考えることと一緒なので得意なはずです。もちろん仕組みで回らないところは、愚直に手を動かしたり、地道に声がけしたりする努力も必要ですが。ここにこそ、デザイナーとしてのやりがいがあると思っています。そんな風にデータベースと遊びつつ、仕事の質をコンピューターと踊るような「レベル4」にできる日がきたらいいなと思います。


文 = 白石勝也


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