スマートニュースでは、約1年前からNotionを全社導入している。現在400名を超える社員が活用し、OKRも、議事録も、部門を超えてすべてオープンに共有。リモート下でも、組織が「ワンチーム」として機能するためにーーNotion導入の立役者、スマートニュース 山本興一さんにお話を伺った。
▼全2本立てでお送りいたします。
【前編】スマートニュース のNotion活用術|社員400名でもワンチーム!
【後編】400名のチームにNotion導入。全プロセスを公開!スマートニュースの場合
【プロフィール】スマートニュース株式会社 Product Designer 山本興一
個人の趣味で運営していたウェブサービスをきっかけに上京し、フリーランスのウェブデザイナーとしてキャリアをスタート。2008年に株式会社ディヴィデュアルの立ち上げに参画し、いくつものプロダクトを作る過程でフロントエンド、バックエンド、モバイルアプリ開発、ゲーム開発などを担当し、モバイルコンテンツやアプリのシステムまで幅広い開発に従事。2018年にスマートニュース株式会社に入社。プロダクトデザイナーとして SmartNews のデザインを担当。
【もくじ】
・Notion上で、カンパニーOKRから個人OKRまで公開
・「ワンチーム」にするための、コミュニケーションの仕掛け
・議事録もプロジェクト管理も、部門を超えてオープンに。
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ースマートニュースでは全社員でNotionを使っていると伺いました。まず最初に具体的にどんな使い方をしているのか伺ってもよいですか?
まず、全体像から話すると、スマートニュースでは、会社のミッションやメッセージ、チームWiki、プロジェクト管理まで、あらゆる情報をNotionに集約しています。
構造としては、
【1】Official Information
【2】Workspace
この大きく分けて2つワークスペースから成り立っています。
ここからは画面をお見せしながら、ひとつひとつご紹介していきますね。
【1】Official Information
ひとつめは、「Official Information」と呼ばれる場所です。会社のミッション、バリュー、OKR、人事制度、wifiのパスワードなど、全社向けの情報が集約されています。
ー 社内イントラとか、Wikiのようなイメージに近いですね。
まさしく、そんなイメージです!
ちなみに、スマートニュースでは、Notionに限らず、全てのコミュニケーションにおいて第一言語は「英語」になっています。サービスも組織も、グローバルに拡大しているので、英語話者の社員も半数近くに増えてきていて。Notionでも特に全社向けのページは、基本的に英語と日本語の両方で記載されています。
ー 英語と日本語の表記、グローバルなチームならではの特徴ですね。その他、全社向けのページで気になったところが「OKR」なんですけど、どこまで詳細に書かれているのでしょうか?
スマートニュースではOKRを導入していて、会社全体としての「カンパニーOKR」から「社員個人のOKR」まで、社内ですべてオープンしています。
会社全体のOKRから、部門のOKR、チームのOKRと、すべてアクセス可能なので、自分のOKRを納得感をもって立てることができます。また、他の部門のOKRも見れるので、見えづらい他の部門の動きもキャッチアップしやすくなっていると思います。
ー どうしても会社の規模が大きくなると、他の部門の動きって見えづらいので、こうしてオープンになっているのはすごくいいですね。このオープンさって、Notionを使う前からもともと存在していたんですか?
そうですね。プロジェクトもチームも個人のやり取りも、「できるだけオープンにやろう」というカルチャーは以前から大事にされています。
たとえば、Slackでも他の部門のチャンネルが見れるようになっているんです。僕の場合、プロダクトチームに所属しているのですが、セールスチームのチャンネルにいけば、セールス側でいま何に取り組んで、どんな議論をしているのか、なんとなくキャッチアップすることができます。
「オープンさ」に関連する取り組みだと、スマートニュースではお互いの近況や取り組んでいることを共有するための、様々な社内イベントが活発に開催されています。
イベントで使われたスライドや録画、Q&AまですべてNotion上に保存されています。Notion上では、「Communication」というページにまとまっています。
たとえば、「Global All-Hands」は、月に1回、海外のオフィスのメンバーも含めて全社員が同じ時間に集うイベントです。会社全体として今何に取り組んでいるのか、各オフィスのトピックスなどを共有しています。
あとは、「What We Do」というイベント。1~2週間に1回くらいの頻度で、部門ごとの取り組んでいることや進捗をプレゼンテーションをしています。
その他、これはイベントではないのですが、「SmartNews Letter」と呼ばれる社員向けのニュースレターを毎週発行されています。会社の今が分かる、全社員向けのお手紙のような形になっています。
ーすごい...会社として何にフォーカスしているのか、他のチームが何に取り組んでいるのか、「会社のいま」を知れるコンテンツがめちゃくちゃ豊富ですね。
ありがとうございます。僕もいち社員として、スマートニュースのすごくいいなと思っているところですね。
僕がスマートニュースに入社したとき、社員数100名ぐらいの時だったんですけど、当時はオフィスが1つ、東京オフィスのワンフロアだったんですよね。すべてのチームが一つの場所にいたから、他のチームが何をやっているのか、聞こえてくる会話とか雰囲気なんとなく分かってたんです。
でも、そこから、だんだんと人数が増えて、フロアの数が増えたり、オフィス自体が他拠点になっていったりして、他のチームが何してるのかわかりづらくなっていったんですよね。
リモートワークもそうだと思うのですが、お互いの状況が見えづらい状況になると、どうしてもチームとしての一体感を持ちづらくなります。
でも、だからこそ組織が「ワンチーム」として機能する仕組みを整えていくことってすごく重要だと思うんです。
とくに僕らは、まだ7~8年目の会社ですし、これからさらに成長していくためのチャレンジをしていかなければなりません。たとえ社員数が400名を超えても、みんなが一丸となって、同じ目標にフォーカスして動いていくためにも、こうした社内イベントやニュースレターのような取り組みが活発に行われているのだと思います。
【2】Workspace
ここまでは、「Official Information」という全社向けの情報が集約ページをご紹介してきました。
ここからは、「Workspace」とよばれる、部門単位で活用されいているチームwikiをご紹介してきます。それぞれの部門ごとにページがつくられていて、重要なドキュメントの共有やプロジェクト管理をする場所として活用されいています。
たとえば、プロダクト部門のページはこんな形で活用されています。
部門(Division)のなかに、「Pillar」というグループが複数あり、各Pillarのページにアクセスできるようになっています。
それぞれのページには、Pillarのミッション、ミーティングの議事録、プロジェクトの進捗管理などが共有されています。とくにこのワークスペースの記載ルールやフォーマットはなく、DivisionやPillarごとに管理の仕方は任されています。
ー 自分の所属しているグループや参加しているプロジェクトだけでなく、他のグループのドキュメントも全てアクセス可能になっているんですね。
そうなんです。以前はプロジェクト単位、プロダクト単位で情報が分断されていたため、全社としてのブランドやデザイン、システムの整合性を取ることが難しいこともありました。
Notionで情報がオープンになったことで、他のプロジェクトチームが何をしているのかを誰でも閲覧できるようになり、部門・グループを跨いだ意見や質問も活発化しています。
取材 / 文 = 野村愛
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