2021.09.01
知らないと乗り遅れる!「ノーコード」の今、そしてこれから。世界初のユニコーンも登場

知らないと乗り遅れる!「ノーコード」の今、そしてこれから。世界初のユニコーンも登場

至るところで聞くようになった「ノーコード」。コードを書かずに開発できるツールのこと? なぜ注目されてる? 最近の事例とは? 意外と知らない「ノーコード」の基本、現在地と先行きについて「NoCode Japan株式会社」教育担当リーダー、奥いずみさんに伺った。

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奥 いずみ|「NoCode Japan株式会社」教育開発リーダー

2000年よりウェブデザインに携わり、Razorfish、株式会社ビジネス・アーキテクツに勤務。ウェブ戦略、グローバリゼーション、企業サイトなど多くのプロジェクトにプロジェクトマネジャー兼インフォメーションアーキテクトとして、サイトの企画や翻訳ディレクションを担当。2010年よりフリーランスとして、UXコンサルティング、翻訳などを手掛ける。

2015年8月にクロスドット株式会社を設立。代表取締役/UXコンサルタントとしてデザインリサーチ、ユーザー調査、ワークショップの企画と実施を手掛ける。2020年6月に一般社団法人 ThirtySixEightを設立し代表理事に就任。デザインリサーチ、ユーザー調査、ワークショップの各手法の普及とファシリテーターの育成事業を立ち上げる。プライベートでは、2011年から2014年のTEDxTokyoやWorld IA Dayの運営にも携わる。

翻訳書『ビジュアル・コンプレキシティ-―情報パターンのマッピング』BNN新社/Princeton Architectural Press
人間中心設計推進機構(HCD-Net)認定 人間中心設計専門家(2011年第2期に認定 2011年〜2016年)
Service Design Sprints® 認定スプリントマスター

もう「おもちゃ」ではない、ノーコード開発ツール

とくに、ここ1年ほどでトレンドワード的に「ノーコード」が広まってきたと感じます。その定義や範囲とは?

「ノーコード」の定義は非常に広く、WEBサイトの作成から、オンラインショップ開設、業務改善・効率化、toC向けスマホアプリまで、さまざまです。

ただ、大枠の捉えた方としては「ソースコードを書かずにソフトウェアが開発できるサービス/プラットフォーム」でいいかと思います。

少し前まで「ノーコード開発なんて」と、半分おもちゃのように思われていたツールもありましたが、この1年ほどで、ものすごく進化をしています。できることはもう既にかなり広範囲に及び、過小評価されている部分があると思います。

私が働くNoCode Japanでも、独自のノーコード開発プラットフォーム「Click」を提供しており、ワークショップでも活用していて。参加者のほぼ全員がエンジニアではない方ですが、かんたんなスマホアプリなど、数日でつくっています。

注目されているノーコードの領域としては大きく「WEBサイト開発」「業務改善・効率化ツール開発」「ネイティブアプリ・PWA開発」「プラットフォーム/ツール連携」などに区分でき、わかりやすいところだと、Google、Amazon、MicrosoftなどがtoB向けプラットフォームなどに参入しており、より身近になっていますよね。

とくにGoogleがノーコード開発ツールの「AppSheet」を買収したことも大きな話題となりました。

新興国でいえば、toC向けのネイティブアプリがノーコードで開発される事例が多く生まれてきています。

象徴的だったのが、インドのユニコーン企業『Swiggy』です。フードデリバリーのアプリなのですが、ノーコードで開発されています。「インドで、Uber Eatsを撤退させた」ことでも注目されて。いち早くローカルのニーズをくみ取り、インドで展開し、ユーザーを獲得できたと言われています。


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その他にも、これもインドの事例ですが、ノーコードで開発されたエンジニアの人材紹介サービスも数億円の規模を売り上げているといいます。海外だとこういったサービスが、どんどんノーコード開発で立ち上がっています。

インドでは特にノーコード開発で生まれたプロダクトの成功例が多いのでしょうか?

インドだから、ということではないと思うですが、一定以上のマーケット規模があり、シリコンバレー発のサービスが入り込めていないところにはチャンスがあるといえます。スピーディーに、低コストでプロダクトがリリースできる、ノーコードの強みを最大限活かせるのだと思います。

そもそも、ノーコードでも、そうでなくても、シリコンバレーと同じレベルの速度とスケールで勝負できるプロダクト開発は至難の業。そういったなか、価値提供できる最小限のプロダクト、MVP(Minimum Viable Product)をいち早くリリースし、PDCAのサイクルを高速でまわせるのがノーコードなので、相性がいい。仮説と検証、軌道修正は繰り返すほど、そのチームも強くなり、成功の確率もあがっていく。

それまで開発に掛かっていた工数、時間を最小にし、戦略、UI/UXの追求にリソースをあてられる。競争力を保ったまま、スピード感を落とずに開発できる、というわけです。

同時に、「ノーコード」はあくまでも手段にすぎません。どのような手法で開発したにせよ、激しい競争のなかで、いかにユーザーの役に立ち、マーケットにフィットするプロダクトを世に送り出せるか。ここがUI/UXの追求、ユーティリティとユーザビリティこそが重要になるといわれる所以だと思います。

+++ノーコード開発プラットフォーム『Click』を提供するNoCode Japan社。プラットフォームを活かしたITソリューション、非エンジニアによる開発推進のための教育事業などを展開する。奥さんが講師を務める。iUエグゼクティブスクール第3弾として、ノーコード開発がもたらすDX改革」最先端のケーススタディと組み合わせたUXデザインワークショップを開催予定(詳細はこちら)。※8/26更新:緊急事態宣言に伴い、実施日程を11/6(土)と7(日)に変更し、実施いたします。

日本で「3日間でノーコード開発したサービス」買収も

日本でも「ノーコード開発でスタートアップ」という事例も?

そうですね。モバイルオーダーアプリ『SmartDish(スマートディッシュ)』は、2ヶ月のノーコード開発でリリースされ、話題になりましたよね。


+++参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000064504.html

もうひとつ、ノーコード開発ツール『Adalo』で開発された『SPOTTO』というオンライン就活プラットフォームがあり、それをFor A-career社が買収した事例があります。

(参照:日本初のノーコードアプリM&A となったオンライン就活のプラットフォームSPOTTO

この『SPOTTO』は、じつに3日間で作られたサービス。日本初のノーコードアプリの買収案件として日経新聞にも掲載されています。

他にも、NoCode Japanとして提供しているClickを利用した例でいえば、宿泊施設での、非接触のセルフチェックインのアプリなども簡単に作成が可能です。


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とくにネイティブアプリがノーコードで開発できるようになってきたことで、大きな変化が生まれてきています。

それまで、iOSとAndroid、それぞれのアプリ開発者が必要で、さらにアップデートにも対応…とかなり参入障壁が高いものでした。

そこをノーコードでまわせるようになると、今までは開発コストに見合わなかった小さい商圏、小さいビジネスでも活用されていく。ピンポイントなユーザーにアクセスでき、役立つアプリが立ち上げやすく、可能性はより広がります。

じつはもう、高校生、高専生、大学生など若い人たちをはじめ、ノーコードでアプリやサービスをつくれる人たちがどんどん出てきていて。なかには月に150万円ほどの収入を得る学生さんもいます。

とくにデザインかでき、ノーコード開発でアウトプットまでできる人は、かなり市場価値が高くなっていっています。2021年5月には、NoCode Japanにて「Live型ハッカソン」と銘打ち、「コロナ禍で役立つアプリ」をテーマにノーコードでのハッカソンを開催しました。入賞した作品が非常にユニークなものなので。ここでご紹介できればと思います。


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営業、企画、コーポレート…全社員が「開発」の一員に

小さな商圏、ビジネスでの可能性について伺えたのですが、大企業でのノーコード活用でいうと、どういった状況だと言えますか?

ネイティブアプリ、サイトの開発でいえば、ブランドイメージを重視されたり、より安全なシステムが求められたりするため、ノーコードにすぐに置き換わるとは考えにくいです。

ただ、日々仕事で使う業務効率化のためのツール、RPAなどでノーコードがもう広まっており、もう既に身近に感じられている人も多いのではないでしょうか。

たとえば、サイボウズさんが提供する『kintone』もそのひとつですよね。開発の知識がなくても、それぞれの会社、組織にあった業務システムが、とてもかんたんにつくれます。

キーワードは「開発の民主化」。豊富なテンプレートをもとに、いろいろな部署の人たちが「これがあれば便利」を、課題から発想し、実際に作っていく。いわば開発の担い手になっていける、と。

すると、いかに自分たちの業務が効率化できるか、という意識も芽生えます。そうなることによって開発側とオペレーション側が連携してシステムをつくるDevOps(デブオプス)も加速していくでしょう。

大手をはじめ、あらゆる企業で課題になっているのが、エンジニア不足ですよね。そう考えると、非エンジニアの従業員たちが主体となってシステムやアプリの開発していくノーコードはDX推進に直結します。そういった観点でも「ノーコード」はこれからますます市場としても伸びていくはずです。

(画像提供:NoCode Japan株式会社


取材 / 文 = CAREER HACK


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