2014.05.13
女子大生限定ハッカソン!? IWH2014イベントレポート

女子大生限定ハッカソン!? IWH2014イベントレポート

2014年4/25~27の3日間で開催されたInternational Women's Hackathon in Japan。女子大生開発者限定の本イベントのテーマは「理系を学ぶ女性を増やす」というもの。最終日に発表されたプロダクトの紹介と、参加した女子大生エンジニアの声をお伝えする。

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International Women's Hackathon

IWH_Hacking

女性の活躍が叫ばれる昨今、WEB/IT業界もその課題に直面している。特に注目されるのが、業界の“主役”といっても過言ではないエンジニア職。

今回のCAREER REPORTは、「女性×エンジニア」というトピックのもと、お茶の水女子大学で開催された「International Womens Hackathon in Japan」の模様をお伝えする。今年のテーマは「STEM(Science、Technology、Engineering、Math)分野を学ぶ女性を増やすサービスやアプリをつくろう」というもの。

IWH_Hacking

International Women's Hackathonとは、米国のEngineering Weekに開催され、16歳以上の女性を対象に、世界各地のキャンパスで行なわれる世界的なハッカソンイベントだ。より多くの女性にテクノロジーイノベーターを目指してほしいという趣旨で2年前から開催され、その趣旨に賛同する米国のNational Center for Women & Information Technology (NCWIT)Microsoft Researchなど多くの団体からサポートを受けている。世界共通のテーマをもとに、女子学生の開発者がウェブサービスやアプリケーションを開発。開催期間は4月25日(金)から27日(日)までの3日間。

女子大生限定のハッカソンという他に類を見ないこのイベントに、日本各地(九州・関西地方の大学生も!)から24人の参加者が集まり、5つのチームが組まれた。最終日に発表されたプロダクトの紹介と、参加した女子大生エンジニアの声をお伝えする。

“理系分野を学ぶ女性を増やす”ハッカソン!

れんあいPro!

れんあいPro!

【プログラミング×恋愛育成ゲーム】
チーム名:TEAM IKM
プロダクト名:「れんあいPro!」
主な利用技術:Windows アプリ, C++, Qtライブラリ

「プログラマは男性の仕事」というイメージを変え、“頭脳労働”という印象を持たせたいという思いでハッカソンに取り組んだ同チーム。

女性エンジニアを増やすため、文理選択タイミング前の女子小中学生にターゲットに設定。開発したプロダクトは「プログラミングで自分好みのイケメンを育てるゲームアプリ」

プログラミングをより身近なものにするために、ターゲットが好むゲームデザインに配慮したという。アプリは現実の時間と連動させることで、リアルなコミュニケーションを実現している。


まじょっこCOSMOS

まじょっこCOSMOS

【Leap Motionを使った印象に残る“くだらない”ゲームのプラットフォーム】
チーム名:TEAM KUDARAN
プロダクト名:「まじょっこCOSMOS」
主な利用技術:LeapMotion, Procession

全員デベロッパーの同チームは、「くだらない遊びや経験を通して理系の面白さ、楽しさを伝えたい」という考えのもと、LeapMotionを使った理系の楽しさを実体験してもらうゲームシステムを開発。

プロトタイプとして開発した、化学:花育成、地学:宇宙探検のゲームをプレゼンテーションで発表した。

例えば宇宙探検のゲームでは、手でスワイプすることにより宇宙空間に移動し、星座に正しい星を当てはめて遊ぶことができる。

独立したアプリケーションの開発に留まらず、今後、様々な理系分野の楽しい色々なゲームを随時追加し、幅広い理系分野を実体験を通して学べる拡張性の高いシステムを構築した。


女性限定人生ゲーム -women's road-

女性限定人生ゲーム -women's road-

【理系女性のロールモデルを示す】
チーム名:ローリング
プロダクト名:「女性限定人生ゲーム -women's road-」
主な利用技術:PHP

理系に進む女性が少ない要因の一つに、「ロールモデルを知らないということがあるのではないか?」という問題意識を持った同チーム。

ターゲットを文理選択前の女性に設定。診断アプリの形で希望する働き方ややりたいこと、興味のある事を選択すると、その人と近い女性のロールモデルを提示するアプリケーションを開発したという。

診断結果のデータベースを構築し、発表時には30名近いロールモデルとなる女性を登録。現在は診断にとどまるが、開発を続け、ゆくゆくは人生ゲームにまで成長させたいと今後の抱負も語った。


Superduper Hacker's Terminal

Superduper Hacker's Terminal

【ターミナルを使ってる私、かっこいい♡】
チーム名:チーム ターミナル
プロダクト名:「Superduper Hacker's Terminal」
主な利用技術:Python, google search API, Gmail

メンバー6人全員がデベロッパの同チームは、プログラミングのかっこよさを感じてもらうため、普段GUIを使って操作しているメール閲覧やWeb検索などをあえてCUIを使って操作するアプリケーションを開発。

一般の女性が難しいと感じるであろうCUI操作を「難しそう」という見た目は残しつつ、簡単に操作を行えるようにすることで、わかりやすいアプリケーションでは味わうことのできない、「難しいことの出来る私、かっこいい!」という感覚を提供できるという。

今後もウェブアプリ化を目指し、開発を続ける予定とのこと。


ちゃら☆ぷろ

ちゃら☆ぷろ

【ペアで画像編集しながらそのコードが見えるアプリ】
チーム名:ちゃら☆ぷろ
プロダクト名:「ちゃら☆ぷろ」
主な利用技術:Monaca, JavaScript

プログラミングに縁のない女性でも、毎日使っているスマホアプリがどうやって動いているのか、そのコードを知ってもらうことで情報工学に興味を持つきっかけを提供するアプリを開発した同チーム。

プレゼンテーションでは実機で動くアプリをもとに、アプリの解説を行なった。例えば画像の上に用意された複数のスタンプから一つ選んで任意の位置に張り付ける。すると、その位置に応じたコードが画面上部右側に表示され、また相手が編集した内容も画面上部左側に表示することで「プログラミングってこういうことなんだ!」と興味をもってもらうことを想定したという。

ハッカソン参加者の声

5チームによるプレゼンテーションと質疑応答の後、審査結果が発表された。評価軸は①テーマに沿っているか②インパクト③エグゼキューション、以上の3点。

選ばれたのはTEAM KUDARAN。プラットフォームとなるプロダクトの将来性や、機能追加を意識した開発コンセプトが評価された。同チームは世界大会に向け、プロダクトのブラッシュアップを進めるという。

開発と発表を終え、安堵の表情を浮かべる参加者の一人にお話を伺ってみた。


ハッカソン初体験の情報系学科4年生:
所属する大学以外で、同じ学問を学ぶ女の子とわいわいアイデアを出しあり、プログラムを書くのはとても新鮮でした。いつもは男性の中に女性一人の状況がほとんどなので(笑)。

そもそも自分の同世代にこんなにかわいくて、面白くて、すごく技術力の高い優秀な女の子がたくさんいることに驚きました(笑)本当に楽しかったですし、女性の開発者がより一層活躍できるようになればいいなと思いました。

編集部後記

徹夜組もでるほど熱の入った開発が行なわれたInternational Women's Hackathon in Japan。開発時間は20時間以上にものぼり、全チームが“動く”プロトタイプ作成までこぎつけた。特に印象的だったのは、限られた開発時間内にプロダクト紹介動画まで作成しているチームや、情報がきちんと整理されたプレゼンシートなど女性開発者の目線が随所に見られたことだろう。

イベントの最後には、お茶の水女子大学理学部情報科学科・伊藤貴之教授から女性開発者を取りまく環境についてのお話があった。とりわけ、女性の開発者は世界的にも少ない状況だが、情報通信業界において女子学生の就職情報は驚異的に恵まれているという。全体的な開発者不足の中でも、女性は一段と必要とされているのだ。

また改めて、女性の開発者が置かれている状況をまざまざと見せつけられた。お話を伺った女子大生は「いつもは男性ばかりなので…」と口をそろえていた。「プログラミングは男性の仕事というイメージを変えたい」という課題意識を持ったチームがあったように、教育・業界・企業内の各レイヤーで女性の活躍という命題に対して取り組みを進めていかなければいけないのは間違いないだろう。

CAREER HACK編集部では今後も、女性開発者の活躍というテーマを追ってレポートしていきたい。

[取材] 松尾彰大



編集 = 松尾彰大


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