2015.06.15
「モダンな開発環境×技術顧問×内製化」Sansan×日経電子版 アプリ開発の最前線を語る夜

「モダンな開発環境×技術顧問×内製化」Sansan×日経電子版 アプリ開発の最前線を語る夜

日経電子版と名刺管理アプリ「Eight」を提供するSansan社のコラボ勉強会「アプリ開発勉強会」の模様をレポート!第一弾となる今回のテーマは「モバイルアプリの開発プロセス」。日経電子版の技術顧問を務める伊藤直也氏をゲストに迎え、トークセッションが行なわれた。#nikkeidenshiban_Sansan

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ボタンを1つ追加するだけで2週間。内製化によるスピードアップは必須だった。

最初のトークセッションは日本経済新聞社デジタル編成局の赤間夏樹氏。日経電子版アプリ(iOS)の開発を内製化したきっかけと、その成果を語った。

「社外の開発会社に発注する従来のウォーターフォール開発では、アプリ内にボタンを1つ追加するだけで、2週間の開発期間と、数十万円のコストが発生していました。それでは急な仕様変更に対応できないし、技術ノウハウも貯まらない。なにより電子版サービスは、短いサイクルで素早い改善をしていかなくては、ユーザー体験を損ねてしまいます。新聞の紙面は長い運営の中で試行錯誤を重ね、そのノウハウから現在のレイアウトへと辿り着いてきました。電子版もフロントのUI・UXノウハウを貯める必要があり、それも内製化に舵を切る大きなきっかけでした。」

日本経済新聞社デジタル編成局の赤間夏樹氏

2014年4月に改善プロジェクトを始動。技術顧問に伊藤直也氏をむかえ、社内体制づくりから着手した。

「ユーザーに価値ある体験を提供するためには、まずは現場のエンジニアにとって開発しやすい環境・体制づくりが重要と考えました。開発のボトルネックを洗い出し、会議時間の大幅な削減、レガシーな開発環境のモダン化を推進しました。GitHub、Slack、Qiita:Teamといったツールを導入するだけではダメで、モダン化を社内に浸透させるまでねばり強く、変化のメリットを説き続ける必要がありました。」

「具体的な成果例としては、開発を始めるにあたってコンセプトメイキングとプロトタイピングが終わったあと、リリースノートをQiita:Teamに書くと、それが教典になって、迷ったときの取捨選択の基準になったりとか。Slack導入により『いつもお世話になっております~よろしくお願いします』といったメール定型文を書かなくてよくなったこととかですね(笑)。開発効率が上がるのを、自分で体感してもらうのは重要ですね。」

また、内製化を推進する上で、上長や社内の理解を得るには、伊藤氏のような外部で実績のあるエンジニアの意見はとても有効だったという。

話題の「React Native」そのメリットとは?伊藤直也氏の使用感トーク

続いてのトークセッションは伊藤直也氏。
「今日はモバイルアプリ開発について、一般的なテクノロジーの話をします。」との前置きから、今年4月にFacebookがオープンソースとしてリリースし、注目を集めるネイティブアプリ開発向けの統合的な開発環境「React Native」について概要解説と実際の使用感を語った。

「React Nativeは、JavaScriptでネイティブアプリを構築できます。学習コストが比較的低く、長期的な保守性が担保されているのが大きなメリット。Webっぽい開発が可能で、WebのReactを触ったことがあれば、すぐに書けます。」

伊藤直也氏

ただしReact Nativeがモバイル開発の決定版というスタンスなわけではないとのこと。

「Alternativeなプラットフォームは、2010年に比べて端末スペックが上がって開発も成熟してきたので容易に開発できる時代になってきました。スタートアップが創業期に開発速度重視でAlternativeな開発ツール(Titanium等)で開発し、成長してからネイティブ化するというケースもありますし、ネイティブ(標準)かAlternativeかの選択は、プロダクト品質をどこまで求めるか、そのために知的コストや学習コストをどこまでかけるかの判断になります。個人的には、そこそこの規模の開発組織で、なおかつ長く保守するならネイティブでいいのではと思います。」

エンジニアリングに向き合う機会を作る重要性

最後にSansan株式会社 Eight事業部 開発統括責任者 宍倉功一氏のトークセッション。

初期のEight開発メンバーは社内エンジニアが2名と、外部パートナー3名からスタートし、2010年からの5年間で多岐にわたる開発・リリースを重ねてきたが、徐々にエンジニアリングに向き合う機会が減ってきていたという。

「技術力の向上と、モバイルアプリエンジニアにとって魅力的な環境づくりをしていきたいと考えていました。そこで、2015年1月からパワーアップ(PowerApp)というプロジェクトに取り掛かり、開発環境の見直し、モダンな開発ツールの導入を実施していきました。また定期的な技術会や勉強会を開催したり、社外の技術顧問にいつでも相談できるSlack環境も整備しました。」

宍倉功一氏

そうした施策の結果、自社プロダクトを客観的な視点で評価できるようになり、技術的負債の軽減にも貢献したという。

「エンジニアが技術に向き合う機会を作ることは重要ですね。パワーアップによって、新しい技術へのチャレンジができるようにもなりましたし、副次的な効果として社内エンジニアのための活動を行うと、Rubyエンジニアによる社外交流会が行われたり、社内ハッカソンが行われたり、TechDojoという非エンジニア向けのテクノロジー勉強会が開催され、社内の業務効率化が推進されるなど、思わぬ伝搬効果もありました。」

次回のアプリ開発勉強会テーマは「UI/UX開発」

今回がシリーズ第一弾となった日経電子版×Sansanのアプリ開発勉強会。
いわゆるWEB系ではない企業もアプリ開発の内製化を志向する流れにある昨今において、今回の勉強会テーマは参加者にとって刺激に満ちた内容となったようだ。

次回のアプリ開発者勉強会は「UI/UX開発」がテーマ。ゲストスピーカーにモバイルアプリのUI設計で著名なTHE GUILD代表取締役の深津貴之氏(fladdict)が登壇する。

また日経電子版エンジニアは、リニューアルに際してのUI/UX設計の話はもちろん、WWDC2015で仕入れたiOS関連の最新トレンドも紹介予定。SansanのプロダクトマネージャーによるUI/UXを中心とした開発秘話も予定されている。

▼6月24日(水)日経電子版×Sansanアプリ開発プロジェクト成功への道〜アプリ開発者勉強会Vol.2
http://connpass.com/event/16187/

Sansan オフィス


文 = 鈴木健介
編集 = 松尾彰大


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