ソフトバンク、メルカリ、フォースタートアップス…各企業の最前線で活躍するHR領域のトップランナーたちが集結。人材の専門家たちが考える、AI時代に求められる人材とは?キーワードとなるのは「自分はなにがしたいのか」という意志だった。
※2018年12月13日に開催されたイベント『iNTERFACE SHIFT 2018 | 日本をぶち上げる』より、ソフトバンク源田泰之さん、メルカリ唐澤俊輔さん、フォースタートアップス志水雄一郎さんによるセッション『“働く”の再定義。AI時代に求められる人材とは』の模様をお届けします。
ソフトバンクでは、AIを活用した業務の効率化が進んでいます。なので、いま社内で求められているのは、AIで代替できない課題の本質を見定める力と、AIを活用しながらチームで課題を解決していく推進力を持つ人ですね。
また、国内ではほとんどの人がスマートフォンを持つようになり、通信事業は飽和状態とも言われています。通信事業を今後大きく伸ばすことが難しい以上は、新規事業を立ち上げていく必要がある。新規事業をテクノロジーで推進できるような人材がいれば、重要なポストをお任せしたいと思っています。
人材登用のポイントは3つあります。
1つ目は、最新のテクノロジーに対する興味関心があるかどうか。ソフトバンクはテクノロジーの企業なので。
2つ目は、変化に対して許容性や柔軟性があるかどうか。とにかく変化が激しい会社なので、変化を恐れず楽しめるタイプだといいですね。
3つ目は、自分が何をしたいかわかっている人。大企業のいいところは大きな予算や多くの人を動かせること。自主性や自律性がないと、こうしたアセットをうまく活用できません。
「自分が何をしたいのか」。ここを明確にすることが大きな鍵を握ります。もし、何がしたいか分からなければ、自分がどんなときにワクワクするのかを知ることがオススメです。
そもそも、メルカリでは「AIはAIを担当する人のもの」という概念を変えようとしています。
例えば経営の意思決定も、仮決め→検証→仮決めのサイクルを回し、より確度の高い意思決定につなげる試みをしています。たくさんデータを集めて「よし、これで腹くくって決めよう」とはなりません。
ただ、世の中には「AIを使う側の人」「AIに使われる側の人」「AIとは無縁の人」しか存在しません。「AIを使う側の人」は当然AIに関する知識が求められるでしょう。
とはいえ、「AIに使われる側の人」が決して悪いわけではありません。例えば、回転すし屋さんで「日曜日のこの時間はサーモン3つとマグロを2つ握ってね」とAIの指示のもとスタッフが動くことは悪いことではないですよね。大切なことは、それを理解した上で何をすべきかを考えることです。
最近、「半分の仕事がなくなる」という不安の声を耳にしますけど、その考え方は危ないと思っています。AIが仕事をしてくれるので、生産性はむしろ上がっていくはず。
仕事をしなくても生活に困らない世の中になっていくので、お金の価値はどんどん下がっていく。「お金を稼ぐために働く」という概念がなくなり、「何がしたいのか」「どういう価値を提供したいのか」が問われる時代になると思います。これから日本の人口は減っていくので、昨年と同じことをやってもマイナスしかない。変化を起こす側の人が、これからの時代を生き抜けるのだと思います。
世界では企業価値を数兆、数十兆にどう持っていくかがテーマになっています。いまは株式も含めた給与以外で資産形成できる時代。そういう選択肢をいまの学生は学べていないし、起業が最高のキャリアというのもわかっていないかもしれない。生き方の選択肢が提示されていない世の中なので、まずは自分で世界がどう動いているのかを知ることが大切です。
仕事探しも、大企業がいいとか、そういう軸ではなくて、何をしたいかだと思うんですよね。自分自身がやりたいことは何か。やりたいことを実現するために、どういう手段を使うのか。それが起業かもしれないし、スタートアップへの就職かもしれないし、公務員や正社員になることかもしれない。
人って無限大の可能性があるんですよね。自分の可能性に気づいていないだけで、たまたまその選択肢に出会っていないだけ。例えば、あるゲームで評価の低い人が、マーケットを出て違うゲームを始めたら、突然その人がトップになっていたりするんですよ。違う戦いをすればゲームのルールが変わるので誰でもトップになる可能性はある。
世の中を見渡すと、孫正義さんや山田進太郎さんのような素晴らしい起業家の方々がいますよね。でも、今日会場にきているみなさんの中にも挑戦してないだけで、実は数十兆の事業を生み出せる人がいると思うんですよ。
写真提供:ラブグラフ
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