Notionナシでは生きられない!そんなNotionを愛する人々、チームのケースをお届け。チェーンストアECの垂直立ち上げプラットフォーム「Stailer」を提供する「10X」では、どうNotionを活用している?10XでPRとHRを担当する中澤理香さん(@r1ccha)に伺いました。
全2本立てでお送りいたします。
【前編】Notionをチームで使う! 「10X」でのNotion活用法
【後編】Notionに「ドキュメントプラットフォーム」を移行。その背景、プロセスについて
>>>[関連記事]「Notion」に関する記事一覧はこちら
10Xでは、社内のドキュメンテーションツールは全てNotionに統一しています。活用方法は大きく2種類あり、
・チームでの活用
・プロダクト/社外向けページでの活用
です。まず「チームでの活用」でいうと、社内wiki、イントラとしてNotionを使っています。「何らかの情報がほしい」と思った時、誰もがまず第一に探せる場所として、あらゆる情報をNotionに集約しています。
▼「10X」Notionにある情報
・ミッション/バリュー
・メンバーの自己紹介/プロフィール
・制度・手続き等の案内
・事業戦略など全社方針
・プロダクトの仕様や開発関連のドキュメント
・業務に関わる各種ガイド
・月報、週報、日報
・MTGの議事録
・メンバー個人のメモ
など
Slackでメッセージを送る以上の長文を書く時は、基本的にはNotionで。以前の職場ではWikiやGoogleドキュメントを併用するケースが多かったのですが、今はいずれもNotionで完結できて便利です。
採用ページとして使う
Notionの特徴として、作成したページを社外の方に共有したり、webに公開したりすることが簡単にできます。そこで、10Xでは、自社の採用ページもNotionで作成しています。
採用ページについては、10Xの現在のフェーズ、求める人材を考えた時、採用ページはそこまでリッチである必要はないと考えました。
重要なのは、会社のミッション・バリューや働き方などの基礎情報に加えて、いま募集中の職種や直近のイベント情報などがタイムリーに更新できること。
また、Notion純正の機能でwebページを公開すると自由にURL設定ができないのですが「Super」というサービスを併用することで独自ドメインやGoogle Analyticsの設定をしています。
実際、1ヶ月単位で更新していますし、会社にとって貴重なリソースであるエンジニアやデザイナーの手間を採用ページに割かないで済むのはメリット。また、Notionで採用ページを作るという実験的取り組みや、最新のプロダクトへの関心が高い方に「この会社おもしろいな」と思ってもらえることも、採用上のメリットになると考えました。
アプリのヘルプもNotionで
もうひとつ、プロダクト/社外向けページでの活用でいうと、10Xで提供している「イトーヨーカドー ネットスーパー」アプリ内のヘルプページなど、外部に公開するコンテンツもNotionで作成しています。ノーコードで Web ページを作るツールとして活用しているという感じです。アプリ内ブラウザで開く分には独自ドメインやSEOなどを考慮する必要もないので、手軽です。
パートナー企業とのプロジェクト進行に使う
さらに言うと、10Xでは、小売・流通事業者向けにECを垂直立ち上げできる『Stailer(ステイラー)』というサービスを提供しているのですが、Stailerを導入いただくパートナー企業とのやり取りにもNotionを使っています。
パートナー企業と共有するプロジェクトページを作り、カンバン方式でタスクや質問事項を作成したり、ガントチャートを共有したりしています。先方の担当者には時間がある時に回答していただきますが、Notionが更新されたら、Slackに通知が飛ぶように設定しているので、すぐ気づけます。
どのパートナー企業もNotionを使うのは始めてでしたが、使い方を教えたり、メールでのやりとりをあえてせずNotionに一元化し、定例会議でもNotionにアジェンダや議事録を残すようにしたことで、利用に慣れていただくことができました。
チームや組織単位でNotionを使う一番の魅力は、「階層構造の使いやすさ」「表現力の幅」「ノーコードの手軽さ」です。
1)階層構造の使いやすさ
Notionを開くと、左側に「Notion内にあるページの階層構造」が一覧で出てきます。
この階層構造がとても使いやすく、他のドキュメントツールとは比にならないですね。大カテゴリーから細かく階層に分岐でき、どこになにがあるのかひと目でわかります。必要な情報や見たいドキュメントを探しやすいです。
GoogleドキュメントやDropboxだと、それができないので「このまえのミーティングでつかった議事録どこだっけ」と迷子になりがち。Notionだと、階層構造がきれいなので迷いません。
階層構造はつくったあとでも変更可能なので、カンタンに構造を整理できるのも魅力です。
2)表現力に幅がある
ページとしてドキュメントの表現力に幅があるのも大きなのひとつ。
ページの中に表を埋め込んでデータベースにしたりタスクリストやカンバン、ガントチャートなどを使うこともできます。その他にもたくさんテンプレートや機能が充実しています。しかも、これだけたくさんの機能があるのに、動作が軽いのもメリットです。
3)ノーコードでカンタン
さきほどご紹介した採用ページは、Notionで作成しています。もともとコーポレートサイトは「Netlify」でホストしているのですが、ページを編集するためにはHTMLに変更を加える必要があるので、まめに更新するには手がかかるという課題がありました。
とくに採用ページは最新の募集職種やイベント情報など、更新性を高めていきたかったので、ノーコードで作れたら便利だなと考えたときに、Notionでやってみよう!と思いついたんです。
デザイン的にも問題なく、懸念事項だったSEOやドメイン的にも「Super」というツールを使えば解決することが検証できたので移行しました。
また、アプリのヘルプページもNotionならノーコードで作成できるので、CSメンバーがすぐに作れてエンジニアに作業を依頼する必要がないので便利です。
もともと10XではDropbox Paperを使っていたのですが、2019年12月にNotionにすべて移行しています。移行を決めたのには、読みやすく書きやすい、階層化されたドキュメントは、将来会社がスケールする上で絶対的に重要だと考えていたからです。これは創業者である矢本と石川の考え方として徹底しています。
10Xではもともと「ドキュメンテーション文化」を重視しているんです。Notionがスムーズに活用されている理由はここ尽きると思います。
そもそも「背中を合わせる」というバリューが10Xにはあり、「情報流通をなめらかにし、各自が判断できるようにする」ことを大事にしています。不確実なこと、誰もやったことないことに対しても、必要な情報やスキルは自分で集め、どんどん検証しながら、仕事をすすめるという文化です。
これを実現するためには、そもそも「情報がオープンでいつでもとりにいける状態」がないと難しい。
そのため、情報、ドキュメント、議事録は必ず残しておく。どこに、どんな情報があるかわかる、きちんとたどり着ける。もし、たどり着けなかったら、誰に聞けばいいかがわかる。常にそういった状況を理想としてきました。
その場にいなかった人でも、何が起きているのか、どういった背景で意思決定されているのか、分かるようにする。早朝働く人もいれば、深夜働く人もいて、すべてのミーティングには参加できるわけではない。社内ではこのミーティングに参加していない状態を「非同期」と言っているのですが、非同期でも情報が正しく共有される、ということは、組織のレバレッジを高めるのに有効です。
そもそもドキュメンテーションのカルチャーがない組織にNotionというツールだけを導入しても、立ち上がるのは大変かもしれません。なぜドキュメントを残すべきか、自分たちのバリューの何に紐づくのかを明確にすることが大切だと思います。
>>>【後編】Notionに「ドキュメントプラットフォーム」を移行。その背景、プロセスについて
参考)
#95 Notionを使ってドキュメントプラットフォームを構築する
ゼロトピック - Zero Topic
4月から新社会人となるみなさんに、仕事にとって大切なこと、役立つ体験談などをお届けします。どんなに活躍している人もはじめはみんな新人。新たなスタートラインに立つ時、壁にぶつかったとき、ぜひこれらの記事を参考にしてみてください!
経営者たちの「現在に至るまでの困難=ハードシングス」をテーマにした連載特集。HARD THINGS STORY(リーダーたちの迷いと決断)と題し、経営者たちが経験したさまざまな壁、困難、そして試練に迫ります。
Notionナシでは生きられない!そんなNotionを愛する人々、チームのケースをお届け。