2021.11.22
全く英語ができなかった僕が、5年で米国セールスフォース本社のPMにアサインされるまで|早川 和輝

全く英語ができなかった僕が、5年で米国セールスフォース本社のPMにアサインされるまで|早川 和輝

2016年に、日本のセールスフォース・ドットコムに新卒入社した早川和輝さん。入社6年目、29歳で米国本社のPMにアサインされた。新卒1年目にはキャリアもなく、英語もできなかった早川さん。彼はいかに米国本社からPMとしてアサインされたのか? キャリアの歩みをフレームワークを用いて解説してくれた。

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※2021年10月26日に開催された【Product Manager Conference 2021】のセッション「新卒6年目で米国本社異動になるまでの20代のPMのキャリアパス」をピックアップ。書き起こし形式でお届けします。

新卒6年目、29歳で米国セールスフォース本社チームへ

みなさんこんにちは、セールスフォースでプロダクトマネージャーをやっている早川和輝(Twitternote)と申します。今回は「キャリア」をテーマにお話したいと思います。

現在、29歳で、今年で30歳になるんですけど、新卒6年目で米国本社に行く機会を得ることができました。そういった経緯など、参考にしていただけるところがあるんじゃないかなと思い、お話していきます。

こちらカンタンな自己紹介です。2016年に新卒で、セールスフォースの日本法人に入り、SEであったり、プロダクトマーケティング(PMM)、PMを経験し、2021年からアメリカ本社のチームに異動しました。ただ、フルリモートですので、東京にいながら、グローバルのチームと一緒に働いています。

さっそくですが、どういったキャリアを歩んできたか、若いPMの方であったり、これから転職を考えている方に学びや参考になればと思います。

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「PMに必要な4つのスキル」のフレームで、キャリアを紐解く

どのような内容をお話しようかなと考えていたんですけど、せっかくPMなので、そのスキルをプレゼンの構成にも使ってみようかなと思います。

まずPMにとって必要なスキルは大きく「4つ」あると思っています。

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「データ」、つまり事実に耳を傾け、そこから理由「Why」を考え、「What」何をするかを決め、どんどんイテレーションしていく。繰り返しながら、フレームワークや成功パターンを見つけ、「How」で方法論化していく。今回は、このフレームをもとに、私のキャリアを紐解いていきたいと思います。

まず「データ」ですが、自分のこれまでの事実、つまり経歴・キャリアを見返したときに、ある共通点がありました。

みなさん、PMのトライアングルは見たことがあると思うのですが、自分のキャリアにおける「事実」をマッピングしてみました。

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最初のキャリアは、大学の時です。

産業技術総合研究所(産総研)にて研究アシスタントをしていました。新奇性のある最先端の技術を、アカデミックなエリアで学ぶ。ここに熱中していました。ただ、世の中に直接影響を与えづらい、という思いも。そういった時に出会ったのが、セールスフォースでした。

新卒でセールスフォース・ドットコムに入社し、ビジネスの領域へ。そこで担うことになったのが「ソリューションエンジニア」です。いわゆるプリセールスや技術営業とよばれる職種で、お客様にとってセールスフォースにおける、どの商品が最適なのか、提案していく仕事でした。そのなかで「プロダクトをつくることはおもしろいかもしれない」と思うようになっていきました。

その後、異動したのが「プロダクトマーケティング」です。お客様、そしてより多くの人にセールスフォースの製品を知ってもらうのが主な仕事です。

そういったこと(提案する、知ってもらう)をしているなかで、大きくなっていったのが「お客さんともっと話をしながら、セールスフォースの製品を使っているところを近くでみたい」という思いでした。

そして異動したのが、いわゆる「日本」というローカルでのプロダクトマネジメントの仕事です。少し想像しづらいかもしれませんが、開発は米国本社でやっていますので、開発そのものはしないPMです。

何をやるかというと、日本国内のお客様に製品を使っていただいただき、その場に同席し、フィードバックや質問に答えつつ、機能の改善要望やVOC、顧客の声を集めていくというもの。そして、日本向けにプライオリタイズしていく。つまり「日本のお客様の声を本社に伝えていく」役割です。

その間にも、どんどん「製品づくりをしたい」と思うようになり、2021年から本社のチームで製品づくりに携わるPMとして働けることになりました。

あらためて、ここまでの経歴をPMのトライアングルに当てはめてみると、きれいにフレームワークにまとめることができました。

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こう見ると、私はわりと網羅的にやってきているため、「トライアングルすべてを学ばないといけないんじゃないか」「何でも屋になり、何でもできないといけないんじゃないか」と思う方がいるかもしれませんが、そうではないと思います。

よく「ミニCEO」と呼ばれるPMですが、私はそれぞれの特性があると思っています。

その特性は、トライアングルをさらに「ひし形」に4分割して見ていくことができます。

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たとえば、「右下」は技術的に得意なプラットフォーム、テクノロジーを持つPMです。「左下」はビジネス寄りのイノベーション、0→1が得意なPMですね。「左上」はお客様の声を拾い、製品グロースを担えるPMもいます。「右上」は製品の機能を作り、改善していくよくイメージされる一般的な製品の中心的なPMです。

ですので、大切なことは「何でも屋」になることではなく、まずはご自身がこのトライアングルで、どのあたりにいるのか、考えてみること。そして一足飛びに「反対側」を目指すのではなく、となりの範囲、興味のあるところを見ていく。すると、なんとなく「カバー範囲」が見えてくるんじゃないかなと思います。

ということで、これまで自分のキャリアの事実を並べてみました。

次に、「なぜ、こういったキャリアを歩んだのか」という疑問に自分でもぶちあたりました。それをちょっと考えてみました。

行動の源泉・動機を「ゴールデンサークル」で表現

ここまでのキャリアステップの中心にあるコアバリュー、行動の源泉・動機は何か。これは「ゴールデンサークル」で表せると思いました。

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よくマーケティングの文脈で使われる図ですね。なぜ、どうやって、なにをするのか。自分の行動を振り返ってみたら、中心には「Curiosity: 興味関心」がありました。

とにかく、いろんなことに興味を持ち続けた6年間だったなと今振り返ると思います。何かしらを探究し、学び、考えて、行動する。かなり当たり前のことですが、そんなことをずっと繰り返していました。

そして、そもそも私は何に対して興味を持っていたのか。それを外側の円の4つのPで表しています。問題だったり、場所だったり、製品だったり、人だったり。その時々で探求し、学んで、行動して、これをずっと繰り返していきました。

あらためて、外側にある4つの「P」について見ていければと思います。

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一番最初にご紹介したトライアングルで示したキャリアを横軸で並べてみます。縦軸に「興味関心」の対象である4つのPを置くと、きれいに「点」と「点」がつながりました。

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はじめは研究所でのアカデミックな研究対象にすごく興味があったんですね。すごく尊敬する教授に出会い、新たな場所を提供してもらえた。研究にも没頭できました。

そして「セールスフォース」という素晴らしいプロダクトに出会ったことで、「働いてみたい場所」としての「興味関心」を持ち、新卒で入社しました。

じつは、ちょうど私が入社した2016年に、AI製品「アインシュタイン」が発表され、“同期”としての共感もありましたし、研究所で近しい研究もしていたこともあり、「製品」に対して「興味関心」が湧いてきました。

そういったものを自発的に学ぶうちに、セールスフォースのアメリカ本社でPMをしていた大先輩、現在、日本CPO協会の代表理事をされているケン・ワカマツさんに出会うことができた。彼からいろいろなことを学んだり、場所を与えてもらえたことは、私にとってすごく幸運なことでした。

ただ、ソリューションエンジニアとして、ぶつかったのが、なかなか日本国内にAI製品が浸透しない、という課題でした。それを解決するために「プロダクトマーケティング」に異動しています。

本社から、AI製品に関する情報を入手してイベントを開催したり、キャンペーンを打ったり、e-bookをつくったり。社外への発信はもちろん、社内でも知ってもらってAI製品を社内の営業の方々にたくさん提案してもらえるように動きました。

そうこうしていると、やはり「本社っていいなぁ」と思うわけです。毎年、イベントで本社に出張にいくのですが、本社のPMやPMMとワークショップを一緒にやったり、ディナーを食べたりするうちに、どんどん憧れるようになりました。

そして再びプロダクトに「興味関心」が戻ってくる。とはいえ、まだまだ日本に浸透していない製品も多い。そこで当時のマネージャーと一緒に日本独自のPMチームを立ち上げることにしました。具体的には、本社のPMを呼んで日本のお客様に会ってもらったり、一緒に「製品うまく使えてますか?」と全国行脚をしたり。こういった動きで本社のPMからも自分の存在を認識してもらうことでき、2021年からそのチームに呼んでもらうことができました。

「問題」「人」「プロダクト」「場所」に、「興味関心」を持ちながら、行動を起こしていったことで、キャリアの点と点がつながったのかなと思います。

スタンフォード大学でスティーブ・ジョブズが行なった有名なスピーチのなかでも似た話がありましたが、未来を見て、点をつなげることって難しい。でも、いつか振り返った時にすごくきれいにつながっていく。いま、自分がやっていることに何か不満もあるかもしれません。ただ、いつか点がつながるだろう、そう信じて過ごしてきた6年間でした。

キャリアを振り返り、再現性のあるフレームワークで考える

ある程度、データを見ながら、理由を考え、自らの行動パターンが見えてきました。そこで最後にここから学べること、再現性のあるフレームワークとして考えていければと思います。まず自分の行動を振り返ると4つのパターンがありました。

探求する、学ぶ、考える、行動する。これが基本的な行動原則です。

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はじめにある「探求」は、一番大事だと思っています。私自身、大学卒業する時、じつは、ほとんど英語ができませんでした。TOEICは700点もなかったと思います。ただ、「自分は英語ができないので」と、本社とのやりとりを避けるのはもったいないと思いました。なので、むしろ、どんどん「アメリカ出張に行きたい」「本社の人と話をしたい」と手を挙げ、なんとか機会をもらうことができました。

当然、はじめは全然英語がしゃべれません。言いたいことが言えず、欲しい情報も得られない。そういった経験から、帰国してすぐ短期の英会話スクールに応募しました。1ヶ月30万円くらいするスクールだったので大金ですね。本も買って学んで、YouTubeでも毎日英語を学んでいき、ようやく少し話せるようになりました。

これは「AI」についても同じ。はじめはAIについてあまり詳しくありませんでした。セールスフォースでまわりを見渡してもそこまで詳しい人がいない。それであれば、自分が一番詳しい人になろうと思いました。とにかく背伸びをして「AIのことわかります。できます」と言うようにしました。そこからナレッジシェアの機会をもらって、必死に勉強する。関連書籍を20冊くらい読んで、実際にコードも書いていって。その結果、「日本のセールスフォースで最もAIに詳しいスペシャリスト」として認知してもらえました。

「プロダクトマネジメント」でも同じく、あまり詳しくないから…と距離を置くのではなく、興味関心に素直になり、飛び込みながら、可能性を探していく。ここが一番大事なことだったと思います。

飛び込んでしまいさえすれば、あとは学ぶだけ。本を読んだり、イベントに行ったり、とにかくたくさんの人と話す。あとはスタンフォード大学やバークレー大学などのオンラインコースに応募し、学んだこともありました。

行動に加えて、考え方も「Think Critically」を持つように心がけました。日本語でいうと「批判的思考」です。「批判的」というネガティブですが、本来はさまざまな角度で物事を捉え、分析、評価、概念化、適用していくという意味のこと。「なぜ」を考え、アナロジー思考で、過去の経験から類似した物事を紐づけ、まとめていく。そういうことを日々繰り返していたのではないかと思います。

良い上司に見つけてもらうための発信を

最後に一番重要だと思うことを共有します。それは、良い上司、良いビジネスパートナーを見つけること。私をこのポジションに導いてくれたのも、いろんな上司のおかげでした。自分を引っ張ってくれる上司を見つけられた、ここが最も幸運だったと思っています。ただ、そうなるためには、待っていてはダメなんですね。これまで学んだことを発信しまくる。イベントでしゃべる。コミュニティに入る。日本にとどまらず海外に出ていく。こういったアウトプットをきっかけに、気にかけてくれる上司に出会えて、可能性を広げてもらえたと、強く思っています。

じつは、アリババ創業者のジャック・マーも似たことを言っていたと記憶しています。「30歳になるまでは誰かについていけ。20代は良いボスを見つけてついていくことが良いんだ」と。キャリアを振り返ってみても強く共感しました。

あとは背伸びし、探究し、学び、行動するだけ。ということで今回のプレゼンを考えるにあたって、PMの考え方に当てはめてみました。全ての人がそのまま活かせるものではないかもしれませんが、キャリアについて考える時、PMトライアングルのどこに自分がいるのか、どう過去を振り返るか。なぜ、その行動したのか。理由や行動を可視化の参考にしていただければと思います。パターン化、イテレートできるので、定期的にキャリアを振り返ってみることをおすすめします。


編集 = 白石勝也


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