接客DX&CRMプラットフォーム「AICO」を手掛けるスマートウィル。立ち上がって間もない初期フェーズのプロダクトをいかに成長させていくか。AICOでは「プロダクトの未来像」に共感してくれる顧客を探す&共創に注力する――。
※2022年2月8日に開催された【開発PM勉強会〜SaaSの開発ロードマップ、マイルストーンどう決める?〜】 より、株式会社スマートウィル 澤井友恵さんによる【エンタープライズSaaSの初期成長戦略】を書き起こし形式でお届けします。※記事内では「PM=プロダクトマネージャー」として表記しています。
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こんにちは、スマートウィルの澤井と申します。発表のタイトルは「エンタープライズ SaaS の初期成長戦略」とちょっと大げさなタイトルですが、私たちがプロダクトを成長させるために「こんな方法を取ってます」といったご紹介ができればと思います。よろしくお願いします。
最初に簡単に自己紹介させてください。普段はフリーランスエンジニアと名乗ることが多いのですが、今日は株式会社スマートウィルのプリンシパルエンジニアとして発表させていただきます。
経歴ですが、大学卒業後はSIerに勤め、システムエンジニアとして企画やマネジメントなど上流工程メインの仕事をしていました。6年くらい前に、東京から宮崎県宮崎市に移住しまして、そのタイミングでWeb系のエンジニアに転職しています。その後、フリーランスのWebエンジニアとして4年ほど働いています。
2021年9月くらいにスマートウィルに参加しました。じつは1人目のエンジニアでして、デジタルソリューションの「企画開発部門」を立ち上げました。メインはエンジニアなので、PMとしては片足のつま先くらい突っ込んでいるイメージです。なので、専任であるPMのみなさんに混ざってお話しするのは恐縮しています。ただ、同じような立場の方、これから小さい組織を作っていく方もいると思うので、お役に立てるような話ができたら幸いです。まず私たちの会社、サービスを説明し、初期成長のフェーズにどういった取り組みをしているか。このあたりをメインでご紹介します。
では、最初にスマートウィルと私たちのサービス「AICO」というサービスのご説明を簡単にさせてください。
まずスマートウィルは、CRMのコンサルティングサービスを提供している会社です。具体的には、アパレルブランド、ホテル、サービス系の大手企業に対してデータ分析をしたり、戦略立案・運用支援をしたり。
そういったコンサルティングのなかで他社のサービスとかシステムを活用したソリューションを提供していたのですが、2021年10月頃より「AICO」という自社プロダクトを取り扱っており、成長させていくフェーズです。
AICOは、CRMの管理画面のようなものをフロントとし、デジタル会員証だったり、LINEだったりを連携した「接客DX&CRMプラットフォーム」です。
もともと2020年、コロナ禍が始まったくらい頃に、来店が難しくなってしまったショップさん向けに、「デジタル接客ソリューション」や「それをユーザー接点として活用いただけるCRMプラットフォーム」を提供しよう、ということで始まったサービスです。
現在、ローンチから約1年が経過し、スマートウィルの既存取引先を中心に10数社ほどで導入いただいています。SaaSとしてはまだまだ駆け出しですが、マーケットには少しずつ受け入れられていると思います。
今回のテーマが「SaaSのロードマップ」なので、システム的なお話をすると、全てがSaaSというわけではなくて。CRMのダッシュボード部分がマルチテナントで一箇所に「ドン」と乗っている、そういったものをSaaSで提供している作りです。
未来の姿としては、より顧客と接点を増やすために、LINE連携やデジタル会員証だけでなく、ECと連携したり、メッセージ配信できるようにしたり、CRMの機能を追加したいです。また、集めたデータを分析できるダッシュボードの部分も進化させていければと考えています。
続いて、開発体制についてお話させてください。先ほどもお伝えしたのですが、2020年、コロナ禍の中でサービスをローンチしました。この時点では、サービス開発の協力会社があり、じつは共同事業として運営していました。2021年に100%スマートウィルの事業となった経緯があります。
そのタイミングで声がかかり、私が主導して「デジタルソリューション企画開発部門」を立ち上げることに。現在は他にも業務委託のメンバーを集めて5人ほどのエンジニアがいるチームとなっています。
もう少し補足すると、プロダクトオーナーである代表、コンサルタントのメンバーもプロダクトに関わってきます。
この場で私が喋っていることからお察しの通り、専任のPMは不在の状態です。社長とエンジニアが協力したり、コンサルタントとエンジニアが協力したりしてプロダクトマネジメントを行っています。
ここからが本題なのですが、初期成長戦略として、私たちがどうAICOを発展させていこうとしてるか。結論からお伝えすると「顧客との共創でエンタープライズSaaSを成長させる」ということにフォーカスしています。
まず優先して行っているのが、AICOの未来の姿に共感してくれるお客様を見つけること。我々の場合、コンサルティング企業なので、普段から顧客との接点が多いのが特徴です。そもそも「SaaSで実現したい姿」に、目の前のお客さんの課題感が少なからず反映されており、共感をしてくれる企業様を見つけやすい環境だと思います。
共感してくれる顧客を見つけた上で、さらに重要になるのが「このSaaSで実現するSIの提供」に対し、理解を得ることだと思います。未来の姿に共感いただき、「じゃあ、そのシステムを提供してください」とお客様が言ってくれたとして。ただ、通常の受託開発と同様に「なんでもかんでもできます」としてしまうと、それは我々の思い描く未来の姿とフィットしなかったりもします。
具体的には「著作権をどうするか」みたいな話も出てきてしまう。「そこはしっかり我々のSaaSのプロダクトの成長の部分に乗っかってください」と、理解を得ることが大事かなと思っています。
とはいえ、個別の業務への対応などで必ずしもそうもいかない場合もあります。そういった場合には別でお金をいただいたり、SaaSプロダクトとは別の機能として実装するなどしたりしています。
SaaSプロダクトの成長のために実装するのか、個別の機能として実装するか。都度判断しているのですが、正直、なかなか難しいのが現状です。個別機能が増えるほど保守や運用領域が増えてしまいます。かといって全ての機能を汎用的なものとして取り組むと開発コストがかさんでしまう。試行錯誤しているところです。
これらの開発について、多少わかりやすいようにロードマップイメージを作成してみました。
あくまでイメージですが、A社、B社とそれぞれのお客様がいて、個別にヒアリングを行いながら、SIのような案件として進めています。そこから汎用的な機能をプロダクトに落としたりもしていて。
ロードマップに落とし込むにあたり、今後、早急にやらなきゃいけないと思っているのが、目標となる売上や導入社数など、より明確な時期まで設定した事業計画に落とし込んでいくところ。ただ、現状の体勢、進め方だと顧客向けの開発のスケジュールに追われてしまっているのも現実です。ですので、少し宣伝になりますが、ぜひPMの方をお招きし、このあたりの整理から一緒にやっていければと思っています。ご清聴ありがとうございました。
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