『GitHub(ギットハブ)』の共同創業者 兼 CEO クリス・ワンストラス氏が初来日。日本法人の設立と元クックパッド 国際事業部 バイスプレジデントの堀江大輔氏のジェネラルマネージャー就任を発表した。GitHubの日本進出は日本の開発者コミュニティなどにどんな影響をあたえるのか?
世界で約1000万人のユーザーを抱え、デベロッパーやデザイナーに絶大的な人気と信頼を得ているソフトウェア開発共有ウェブサービス『GitHub(ギットハブ)』が日本法人を設立。CEOのクリス・ワンストラス氏が初来日し、日本法人は元クックパッドの堀江大輔氏がジェネラルマネージャーとして運営を行なっていく。GitHubとしては海外初のオフィス開設が日本となる。
デベロッパーコミュニティで圧倒的な支持を集めるGitHubだが、なぜ最初の海外拠点として日本を選んだのか。
クリス氏によれば、GitHubにおける日本のアクティビティは常にトップテンであること、オープンソースコミュニティの活動が様々な言語、プロジェクトで活発な点が大きかったという。
また、GitHub自身も日本発のプログラミング言語であるRubyで構成されていることも大きな影響を与えたそう。
「僕自身もRubyのエンジニアとしてコミュニティに参加してきて、日本のデベロッパーのみなさんとGitHubでコミュニケーションをとってきた。これまでGitHubを支えてくださった日本のデベロッパー、デザイナー、オープンソースコミュニティ、スタートアップ、大企業の皆さまに恩を返し、積極的にサポートしていきたい」(クリス氏)
GitHubはコラボレーションとソースコードマネジメントの先に何を見ているのか?
「ソフトウェアを作るのというのは共同作業であることが最善だと思います。そして今後、より一層ソフトウェアが重要になってきます。なぜなら、いずれはすべての企業がソフトウェア企業になると考えているからなんです。オープンソースプロジェクトに大企業が積極的にコミットするようになり、本当に一般的になってきました。すべての企業がオープンソースのエコシステムに入ってくると僕は考えています。そのプラットフォームとしてGitHubがみなさんを支えていきたいと思っています。」(クリス氏)
GitHub日本法人のジェネラルマネージャーに就任した堀江氏。10年以上海外を拠点に、多くの企業でプロジェクトマネジメントやビジネスデベロップメントに関わってきた人物だ。
彼とGitHubの出会いは3年前。自身が何度も挫折してきたプログラミングの勉強だったという。
「ずっとIT業界に身をおき、様々な職種を経験してきたが、コードを書けないことをずっともったいないと思っていた。そこで3年前の37歳の時からプログラミングを本気で始めてから、毎日GitHubに触れ、会社やサービスの思想に共感してジョインした。
GitHubはサポート中心主義。サポートが直接サービスの改善開発を手掛けることだってある。現在、GitHub上では2300万のプロジェクトがワークしているが、GitHubはソフトウェアでありAPI、プラットフォーム。
それを支えるのは300人の社員とパートナーのみなさん。GitHubの社員の7割はリモートで働いている。オープンソースのワークスタイルでどんな人でも楽しく仕事、作業ができるようにしていくのがGitHubの使命だ。」(堀江氏)
GitHubは今回の日本法人設立にあわせ、マクニカネットワークスと総代理店契約を結び、法人向け販売に関する業務提携と日本語サポート提供を開始。また、GitHubといえば開発者・デザイナー向けのツールという側面が強いが、今後は行政や教育機関との連携を強化していくとしている。
GitHubの日本進出は、日本のWEB・IT企業、プログラマ、デザイナー、オープンソースコミュニティの活性化を後押しする大きな存在となるだろう。
これまでGitHubはスタートアップやコミュニティなど比較的小さなコミュニティを中心に利用されサポートしてきた。しかし、最近では5000人~1万人近い大規模コミュニティでも問題なく利用されていることから、日本のSIerや大手WEB企業での導入運用も積極的にサポートしていくつもりだとクリス氏は話した。
GitHubの日本進出は、業界の将来そのもの、私たちの生活をより良く変えていくきっかけになるかもしれない。
今後もオープンソースコミュニティへのサポートなど注目していきたい。
文 = 松尾彰大
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