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広報戦略もPMが考える。アプリDL数3400万を突破、『AbemaTV』のグロース策

2018-11-15

広報戦略もPMが考える。アプリDL数3400万を突破、『AbemaTV』のグロース策

AbemaTVが圧倒的に成長した2年半。サイバーエージェント執行役員でAbemaTVの開発本部長も務める長瀬 慶重さんがグロースの変遷を語った。競合多数市場でのポジション取り。広告に頼らずSNSを活用。PR観点での開発計画など、実践例を紹介。

逆バリで、空いているポジションを狙う|AbemaTV

※2018年11月6日に開催された「プロダクトマネージャー・カンファレンス2018」よりレポート記事をお届けします。


『AbemaTV』が開局した2015年当時、TVer、NETFLIX、huluなど、様々な動画サービスが存在していた。その多くはVOD(ビデオオンデマンド)やSVOD(サブスクリプションビデオオンデマンド)と呼ばれるモデルでだった。

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「多数あるVOD動画サービスとは違って、テレビのようにみられる全く新しい動画サービスをつくろうと思いました。まさにテレビ番組をインターネットに置き換えたもの。リニアと呼ばれています。開局当初は、まずこのポジションをシンプルに狙いにいくことに決めました」

全く新しい動画サービス。以下の3つを大切にしながらプロダクトのつくり込みを進めていったという。

・無料であること
・会員登録なしにデバイスをつけたらすぐ映像が流れるTV体験を実現すること
・24時間完全編成されたものを快適にみられるということ

250パターンのモックをひたすら作成した

本格的な開発をはじめる前の半年間、ほとんどの時間をモックアップをつくることに費やしたそうだ。

「2015年、多くの動画サービスが縦型スクリーンでデザインされていました。私たちもその主流に従い、縦型で200個近くモックアップを作っていました。でもどれもしっくりこなかったんです」

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「『AbemaTV』の特徴はクオリティの高い映像。その映像クオリティを活かすために、16:9の横型スクリーンを採用したほうがいいという話になりました。さらに、インターネットTV局というサービスコンセプトを直感的にユーザーに伝えたり、旧来の動画サービスと明確に差別化するという意味でも、横型UIを採用したことはとても重要な意志決定となりました」

さらに、番組表のUIにもこだわりがある。

「番組表のモックもかなりつくったんです。実は最終的に決まったUIよりも使いやすいUIは存在しました。ただ、ユーザーが見たとき、瞬間的に“これはテレビなんだ”とわかるようにしたかった。番組表に関しては、ユーザビリティよりもブランディングを大事にしてつくりました」

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広告に頼らずTwitterを活用する

さまざまなモックアップを作成して『AbemaTV』が立ち上がった後、どのようにグロースさせてきたのか。

「代表の藤田と話し合い、”プロダクトとコンテンツは50:50”と開局当時から決めていました。インターネットサービスはプロダクトのクオリティで全てが決まると言っても過言ではありません。特にスマホサービスではその傾向が顕著に見られる。しかし、プロダクト同様にコンテンツを大切にする。そのコンセプトに応じて、様々なグロース施策を打ってきました」

コンテンツの力を活かした例として、Twitterとの連動施策がある。

「『 AbemaTV』にはコメント機能があります。ユーザーがコメントを投稿するとコメントの前後15秒の動画がトリミングされて、連携しているTwitterに投稿されるんです。

狙いはソーシャルからの流入やネット上での話題づくり。本当にたくさんのトリミング動画がTwitter上に流れています。“Twitterに投稿された動画の中でも『AbemaTV』のトリミング動画の数はトップクラス”だとTwitteJapanの方からお話いただいたことがあるくらいです。サービスグロースにはこのSNSの活用がかなり効いています」

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こうした戦略が功を奏し、同社の2018年度の広告宣伝費は2017年に比べ大幅に削減されている。1年目は積極的に宣伝費を投下しブランド認知を上げることに注力し、2年目からコンテンツの力でサービスをグロースさせる。これによりアプリのDL数を高い水準で維持しながら、宣伝コストを圧縮することに成功したのだ。

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話題づくりのための開発を積極的にやる

次に語られたのは、『AbemaTV』プロダクトのPR活動について。

「『AbemaTV」開局当時から広報計画は私自身が作っています。年間6~10本ほどを大きめのプレスリリースができるよう機能をリリースしていく。するとさまざまなメディアが取り扱ってくれて、”『AbemaTV』はプロダクトの開発や改善に関しても、積極的にやっているんだ”、と一般ユーザーに伝わっていく。サービス立ち上げにおけるPMの仕事の一つとして、PRという軸でのお仕事もとても大事だと思っています」

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またブランディングという観点でも、機能リリースタイミングは非常に重要だという。TVとビデオを実現する「Abemaビデオ」がローンチされたのは開局してから1年後。開局時にはまずブランディングに注力し、順次ユーザーニーズに応える機能を追加する戦略だった。

「自分たちのサービスの特徴を冷静に理解したうえで、どのようなタイミングで機能をリリースしていくか。それを考えることがサービスイメージにつながります。

『AbemaTV』はリニアだけのシンプルな機能でローンチしました。当時、オンデマンドとリニアを併用しているユーザーは約7割いることがわかっていたんです。でも、あえてオンデマンド機能は搭載しませんでした」

実利を求めた機能だけでなく、話題性を重視した機能開発も積極的に行なっている。

「Google DaydreamのVR機器や、AmazonのAlexaに対応するなど、最新デバイスへの対応はもちろん。テレビのリモコンにボタンを追加するような、話題にしてもらいやすいことを続々とリリースしています。本来、事業を加速させる開発が優先されるべきだとは思います。でも、『AbemaTV』においては話題になることも立派なグロース施策だと捉えています」

こうしたアイデアを形にするうえで、同社はエンジニアの声を大切にしている。高い技術レベルと情報感度を持つエンジニアたちがいるからこそ、プロダクトマネージャーもチャレンジングでトレンディな技術のタネを掘り当て、形にして世に出すことができるのだ。結果、開局から2年半経った今、『AbemaTV』はMAU1100万を超えるサービスに成長した。

最後に長瀬さんは「開局当初から掲げていた“メディアをつくる”というビジョンに対する挑戦権を得ることができたと思います」と語った。誰もが当たり前のようにAbemaTVを利用する世界の実現に向けて、挑戦は続く。



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