スマホ画面をミラーリングして配信するサービス「Mirrativ」。立ち上がった当初からプロダクト開発を担当し、開発チームを指揮するCTO夏澄彦さんが、コンセプトについて語った。
まず夏澄彦さんが語ってくれたのは、立ち上げ当初から考えていたサービスコンセプトについて。
「友達の家で一緒にドラクエやっているような状況をつくる。ここを目指しました」
ユーザーがスマホ画面を共有し、ゲーム実況ができる『Mirrativ』。「エモモ」というアバター機能を追加後、配信者数が加速度的に増加。そんな彼らが力点を置いているのが、“一緒に楽しむ”ということ。
ライブストリーミングサービスの競合も多いが、差別化要因も“コンセプト”そのものだと夏さんは考える。
「『Mirrativ』が目指しているのは、あくまでも友達と一緒に楽しむということです。ゲームを起動していたら一人でやるより、友達と雑談したりしながら、ボイスチャットをして楽しむアプリ。なので、メディアを志向したり、プロよりのサービスを志向したりは重要視していません」
こうしたサービスの方向性はミラティブの「わかりあう願いをつなごう」というミッションに紐づく。
「夫婦であっても親子であっても、なかなかわかりあうことはできない。わかりあうということは人類の究極的な戦いかなと思っています。そこにスマホでのゲーム実況からぼくらはアプローチをしています」
ミラティブの社員数は30名(※2019年5月現在)。その半分が開発メンバーたち。目標管理は3ヶ月間で成し遂げたいことを設定。遂行を定量的にトラッキングする「OKR」を用いる。
達成度が50%程度になるようなチャレンジングなオブジェクティブを設定し、チームの士気が上がることを目指す。
「ミラティブでは期末に全社合宿を行い、前期のOKRの振り返りを行ないます。そして来期の全社OKRを全員で決めていく。そこから、各チームがブレイクダウンした目標を設定する。これによって会社全員で納得できるものをつくっていくことができています」
新機能を追加した際には、「実際にその機能が使われているか」「翌日・1週間後も使われているのか」「他の体験への悪影響はないか」細かくABテストなどで分析。確認を徹底していくのも特徴だ。
「会社として目指したい世界観はあるものの、そこから機能に落とし込んだ時、ユーザーに対して受け入れられるものでなければ、早すぎたプロダクトになりかねない。だからこそ、基本的には定量、定性の両方でユーザーの行動を追っています」
とくに、ゲーム実況×3Dアバターは他ではあまり見ない機能。偏ることなく、総合的な「ユーザー理解」が欠かせない。
「『Mirrativ』ならではの点として、ユーザーが利用している状態をリアルタイムで見ることができます。そのため、新機能もまずは一部のユーザーにリリースし、使用してくれる様子を見て、調整をしていく。(新しい機能が)当然、ユーザー全員に刺さるわけではありません。ただ、ある特定のユーザーに刺さったとしたら、それはなぜか。もっと刺さるためにはどうしたらいいか、毎日使ってもらうためにはどんな改善が必要か、ここを考えていきます。機能への不満も吸い上げて、ブラッシュアップに活かしています」
問い合わせ窓口やTwitterなどを通じて寄せられる声。その内容について、毎週「ユーザフィードバック」という定例が行われ、全社員の前で共有・議論されるという。こういった「声」をもとに、足並みを揃え、開発すべき機能を選定していく。このプロセス共有の場としても機能させていく。
「定性的なユーザーの声を集めると同時に、1日数回自動で表示される各種KPIの速報値も確認しています。そうすることで、スピード感のある機能改善を支えていけます」
最後に語られたのが、チームビルディングについて。とくにミラティブには「副業」メンバーも多い。開発に携わる正社員は11名ほどだが、それと同等規模の人数が副業で携わる。もっとも重要なのが前述した「わかりあう願いをつなごう」というビジョンの共有。それも日常の中から自分たちでも実践をしていく。
「基本的に情報をフルオープンにしています。Slackには開発以外に何でも雑談が可能なチャンネルもあって。また、Slackだけでは共有できない情報量を補うために月1回「プレミアムエモイデー」を開催して、リアルな場で話し合える時間もつくるようにしました。その目的も“分かりあい”としています」
今後さらなる規模での拡大を目指すミラティブ。チームがいかに進化していくのか。ここにも注目をしていきたい。
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