2019.06.06
アプリ開発者なら知っておきたい「仮説検証」のやり方

アプリ開発者なら知っておきたい「仮説検証」のやり方

コスメの口コミコミュニティアプリ「LIPS」。プロダクトの立ち上げから現在のグロースまでを牽引してきたAppBrew社CEO 深澤雄太さんが登場。チームで実践している仮説検証方法について語った。

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「その仮説は本当に”仮説”なのか?」

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まず、深澤雄太さんは「プロダクト開発とは何をやることか?」という話から切り出した。

「特にアプリサービスに限らず、オンラインのプロダクトの場合、一番外せないポイントは”仮説検証のサイクル”だと考えています。”いまさら何を言っているんだ?”と思う方もいるかもしれない。でも、仮説検証のサイクルは本当に奥が深い。当たり前の積み重ねが一番大事なんです」

立てた「仮説」が本当に「仮説」になっているのかを確認する。そして「検証」が本当に「検証」になっているのかを逐一チェックしながら運用をする。この設計を間違えると、ユーザにとって価値のあるプロダクト開発をしていたつもりが、的外れなことをしていた、といった問題が起こってしまう。

LIPSが実践する「仮説検証サイクル」

設定した目標とのギャップを把握し、解決に至るまでの仮説を立てて、検証する。これが基本的な仮説検証のプロセスだ。目標はできるだけ明確に立てた方が良い。

「現状と目標との差分をしっかりと抽出した上で仮説を立てる。それを最小で検証できるような形で切り分け、数値ベースで検証することが重要です。リリースしたら、そのままにするのではなく、ちゃんと使われてるのか、使われなかったのか変化を検証した上で次の段階へと移っていきます」

『LIPS』では、短期的な目標を「ユーザーが求めるコスメやレビューの提供」に置いている。この目標に対して、GitHubのIssue Templateを使用し、課題を抽出し、その課題に対する解決策を書いて、それが解決した時に想定されるインパクトを定量的に設定する。

「様々な改善策が考えられる中で、例えば、ユーザー全体の1%しか使っていない画面を1%改善したところで、当然インパクトは少なくなってしまう。どこのセグメントの、どれぐらいのユーザーが使用しているものが何%改善するのかを考えています」

具体例① 通知許可率の改善

つづいて、「通知許可率」を向上させた例をもとに仮説検証の重要性を語った。

通知を許可されていない状態では、ユーザーニーズに答えるための情報が届いていない。アプリをインストールした新規ユーザーに提示される通知許可に関する文言「許可しないと、最新情報を届けられません!」を追加。結果的に通知許可率が2%向上した。

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具体例② 「おすすめ」タブでのCTR向上

2つ目の例にはアプリのファーストビューでのCTR改善をあげた。

「おすすめ」タブではパーソナライズに対応しており、ユーザーがより好む情報をレコメンドする仕組みになっている。「おすすめ」タブに表示された投稿をより多く閲覧してもらうことが理想的な状態。

しかし、レコメンドの仕組みを導入した当初は、ユーザーにとってまだ有益なコンテンツが十分に表示できていないと判断せざるを得ない数字(CTR)だった。その現状から、いくつかの仮説を立てた。仮説に基づいた検証の一つとしてアルゴリズムを導入し、数十種類のパターンで特徴量を変更。

そうすることでCTRを10%向上することができた。

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こういった仮説検証を行なったとしても、全てがプロダクトにおける改善の鍵を与えてくれるとは限らないという。

「仮説のうち、本当に事業へ大きなインパクトをもたらすような改善は1割程度。結果に一喜一憂せずに、次に活かしていく。スピード感を持って繰り返していくことが一番大事なことだと思っています。一連の仮説検証フローは誰にでも真似できることのように思われるかもしれません。でも、これを積み重ねていくことが最も難しいことです」

エンジニアにもPMのようなスキルを求める

LIPSの運営元であるAppBrew社では、現在27名が働いている。

プロジェクトマネージャーが本来であれば担当する領域に関してもエンジニアが参加する社風だ。それぞれのエンジニアに専門性は存在するが、意図的にマルチスタックを要求するという。

ベースとして全社員に要求されているのは仮説検証のスキル。AppBrewではユーザーが何を求めているのか、常に問いながら開発を行っている。

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こうした組織文化の先に見据えるもの、それはコミュニティプラットフォームを次々に生み出すことのできる企業だ。AppBrewはコンシューマーテックに秀でた日本有数のテックカンパニーになることを目指している。


文 = 千葉雄登
編集 = 大塚康平


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