2019.10.18
社会の夜明けへ踏み出す旅を、今日も、明日も、仲間たちと。GoodMorning 酒向萌実

社会の夜明けへ踏み出す旅を、今日も、明日も、仲間たちと。GoodMorning 酒向萌実

GoodMorningは、クラウドファンディングのなかでも、少し不思議なポジションにあるサービスだ。社会問題と向き合う人たちと伴走、その願い、思いを丁寧に紡ぎ、出資・支援を募る。バラバラの個性、価値観が折り重なる運営チーム、「社会の夜明けへ踏み出す」という一つの太い幹でつながる仲間とは?

73 43 3 0

連載:ぼくらの未来へのチームづくり
平成から令和に、そして2020年代へ。これからの時代、とくに若手を中心とするチームの「ルール」や「大切にしていること」に迫る連載です。時代がどんどん移り変わっていくいま、チームはどうあるべきなのか?新しいチームをつくる皆さんとともに、そのヒントを探っていきます。(『ぼくらの未来へのチームづくり』の記事一覧はこちら

誰の痛みも無視したくない。GoodMorning 酒向萌実

自分の活動や夢を発信し、応援したいと思ってくれる人からお金を集める。そんなクラウドファンディングの中でも、ちょっと特殊なプラットフォームがある。

GoodMorning』。ここで発信される声は、社会への“違和感”だ。

誰かがおかしいと思ったこと、変えたいと願ったことを、また別の誰かが応援する、アクションを起こす。遠く感じてしまう「社会課題」と「自分」を、少しずつ近づけてくれる架け橋のようなものかもしれない。

GoodMorning代表、酒向萌実さん(25)はこう語る。

「GoodMorningには、“社会の夜更けへ踏み出そう”って意味が込められているんです。今日も明日も、何度でもおはようって言おう。そうやって少しずつ、誰の痛みも無視されない社会をつくっていけたらいいなって」

「なんでしょう、私たちがやっているのって、"バグの修正”みたいなものなんです(笑)社会が悪いほうに向かわないよう、みんなでちょっとずつアジャストしていくような」

あくまで心地よく、自分たちが本当に良いと思えるやり方で世の中を少しずつ変えていく。社会課題という大きなテーマを扱いながらも、酒向さんから語られる言葉はどこか軽やかで、気負いがなく思えた。

GoodMorningに集まった仲間たちは、いったい何を信じ、どう交わっている?見えてきたのは、ただ一つの思いでつながるチームの形だった──。

【プロフィール】酒向萌実(さこうもみ) 1994年2月生まれ。国際基督教大学卒業後、アパレル企業TOKYO BASEを経て2017年にCAMPFIRE参画。ソーシャルグッドに特化したクラウドファンディングサービス『GoodMorning by CAMPFIRE』の立ち上げに携わり、2018年1月より事業責任者に就任。2019年4月、GoodMorningの事業分社化に伴い代表取締役社長に就任。

社会の夜更けへ踏み出す、「旅仲間」という関係

いまのGoodMorningは10名以下のスモールチームなのですが、正社員、業務委託、副業、インターンなど、関わり方は本当にバラバラで。職種も全員違います。

価値観やタイプ、好きなものも全然違うし、お互い干渉もしない。若いチームなのにめずらしいねと言われますが、飲み会とかもあんまりしないんです(笑)

それでも信頼関係が築けているって、たぶん「自分と直接関係のないように思える誰かの痛みを無視したくない」という根っこの部分でつながっているからだろうなって思います。

難民問題を解決したい、子どもの支援をしたい、地方をもっと盛り上げたい。みんな何かしら、自分の中に「見過ごせないこと」があって。それを解決したい、ここに来ればできるんじゃないかって、GoodMorningに集まっている。

なので私自身、その太い部分が重なっていれば正直チームとしてのあり方は何だっていいと思っています。意味があるから集まっている。私含め、会社だけを自分の"居場所”と思っているメンバーはいないんじゃないかな(笑)なんというか、「旅仲間」みたいな割り切った関係なのかもしれないですね。

GoodMorningが大事にしたいのは、「誰の痛みも無視されない社会をつくること」だけ。それを実現するために、チームのあり方を最適化していければと思っています。

GoodMorningをうまく利用してほしい

面接や1on1で必ず聞くようにしているのは、「GoodMorningが踏み台だとしたら、その先何をしたい?」ということ。前提として、GoodMorningのためのみんながいるのではないと思っています。

チームって、それぞれの人生のワンシーンでたまたま交わった瞬間の集合体みたいなもので。寄り集まってGoodMorningが作られているけれど、それぞれが単体として強くなっていかないと、チームの力は大きくなっていかないんだろうなって。

だからメンバーにも、自分の人生のために「いい感じに会社を使う」くらいのスタンスでいてほしい。会社のために何かを諦めたりとかは、絶対にしてほしくないと思っています。

たとえば私ですと、最近大学院に通い始めたんです。自分がこの先どうなっていきたいか、私にしかできないことは何か、そして、GoodMorningの代表という役割を果たすために何をすればいいのか。色々考えたときに、やるべきことは目の前の仕事をやっつけていくことだけではないなと思って。

ただ想像以上に大変で…泣きながら通ってます(笑)でも、私が代表という立場にありながら大学院に通えるのも、チームのみんなが快く送り出してくれたからです。

メンバーにも、まずは自分の人生を第一に考えてほしい。その中でGoodMorningが目指す先と重なる部分はどこなのかを一緒に考えていきたい。会社と個人が、良きパートナーになるといいなって思っています。

無理にでも「ちゃんと寝る」

よく「ベンチャーだからめちゃくちゃ働いているんでしょう?」と言われるんですが、全然そんなことなくて。みんな20時くらいには帰っているし、長期休暇とか、私も普通にとっています。時期にもよるんですが、最近は毎日8時間くらいのびのびと寝てますね(笑)

じつは、2018年の夏に道端で倒れて救急車で運ばれたことがあって。当時仕事が忙しすぎて、かなり睡眠不足だったんです。

しばらく仕事を休むことになって、気づきました。私は仕事が好きだし、成果を出したくて際限なくやってしまうこともある。

確かにめちゃくちゃ働いて成果を上げた人は世の中にたくさんいると思います。でもそれは生き残った人たちがそう言っているだけであって、その途中で倒れていってしまった人たちは絶対にいるんだ、って。体調を崩して自分の身に何かあったら、何の意味もないんです。

だからメンバーには、「直近サポーティブであることより、2年間ずっとサポーティブであり続けることを考えよう」っていつも伝えています。20時くらいになったら「明日で良いことは明日やろうよ」「体調崩すからはやく帰って寝てね」って口うるさく言う。それだけは、譲れないです。

代表になってから、「寝てる?」「大丈夫?」といったことをすごく言われるようになりました。「会社の代表=寝ずに働いている」というのが世の中のイメージで、「正」になっているんだってことを改めて感じて。

だから私は、「寝てる?」と聞かれたら「すごい寝てるよ」って返します。内心は「こんなに休んでいて大丈夫かな…?」ってめちゃくちゃ不安ですけどね(笑)

ちょっとした不安をオープンにできる環境をつくりたい、と酒向さん。slackの日報チャンネルでは、毎日「今日の振り返りと明日の予定を書きましょう。明日ちょっと手伝って欲しいかもとか、体調があまり良くないとか、不安なことも書いておくと安心して明日を迎えられるかも」というbotが出るようにしているそうだ。

大きな声で理想論を語ろう

いまの私にできることって、大きな声で理想論を言うことなのかなと思っています。

「休みたいときに休む」「長時間労働をしない」とかって、正直理想論と言われてもおかしくない。現実問題、仕事が終わらないとか、人が足りていないとかもありますから。でも、それでも声を上げなければ社会はいつまでも変わらない。

私はいま会社の代表という役割を任せてもらえているので、誰よりも大きな声で理想論を言うことが、自分のやるべきことなんじゃないかって思うんです。

のんびり働きたいとかでは全然ないし、事業も大きくしていきたい。でも、おかしいなと思うことには声を上げたいし、やりたくないと思ったことは、やらずに成果を出せる方法をみんなで考えたい。

ソーシャルグッドというものをテーマにしていることもあり「意識高い」「尖っている」などと表現されることもありますが、自分たちが特別なことをしている感覚ってあまりないんです。社会に対しても、自分たちのチームに対しても、ほしい理想の形を掲げて、ただちょっとずつ実践しているだけというか。

良い方向に進んでも、何度も何度もほころびは出てくる。ちょっと違ったら話し合って、微修正して正しい方向にもっていくことの繰り返し。私たちにとっては、社会課題の解決もチームづくりも、やっぱり「バグの修正」みたいなものなんだと思います。


写真 = 黒川安莉
取材 / 文 = 長谷川純菜


特集記事

AFTER 2020

時代は平成から令和へ。そして訪れる「2020年以降」の世界。2020年からの「10年」をいかに生きていくか。より具体的に起こすべきアクションのヒントを探る連載企画です。お話を伺うのは、常に時代・社会の変化を捉え、スタートアップと共に"一歩先”を見据えて歩まれてきた投資家のみなさんや、未来を切り拓く有志者のみなさん。それぞれが抱く「これから10年間で現実的に起こり得ること」と「新しい生き方」の思索に

お問い合わせ
取材のご依頼やサイトに関する
お問い合わせはこちらから