1年で90名を採用! 急成長を遂げるキャディ。採用を後押しするのは「ミートアップ」だ。2019年の開催数は約40回、参加申し込みはトータル1000以上。スタートアップの採用イベント、どんな効果がある? どう運営したらいい? キャディ 人事責任者の安藤宏樹さんに、採用ミートアップのコツを解説いただきました。
・応募数も満足度も、採用数も追わない
・まずは質より量。準備は最小工数で
・肝は、「質疑応答」や「座談会」
・経営陣を巻き込み、肌で感じてもらう
── キャディでは、ミートアップを月に10回以上開催したこともあると聞きました!すごい回数ですね。
自分たちでも、異常な開催頻度だなと(笑)回数が多いので会社説明会的なものだと思われることもあるのですが、役割としては「採用候補者の志望度向上」がメインなんです。
というのも、もともと「リファラル採用施策の受け皿」としてはじまったもので。2019年の3月頃ですかね。当時はメディア露出もまだまだで、キャディについて知ってもらえていない状況がありました。とはいえ、候補者一人ひとりと面談を重ねるリソースもない……。
どうすれば限られた時間の中でキャディを知ってもらえ、かつ採用につなげられるか。たどり着いたのが「ミートアップ」だったんです。初回は、社員の知り合いでキャディに興味を持ってくださった方を15~20人招待して開催しました。
途中から間口を広げWantedlyで一般の方の募集もはじめたのですが、メインのターゲットは、いまも変わらず「採用候補者」ですね。
── 志望度を上げるため。そうなると、「採用数」の目標を追っているのですか?
いえ、今はとくに明確な指標は置いていません。ミートアップ経由での採用数を追おうとした時期もありましたが、短期的に結果がでるものでもないですし、ミートアップ単体での成果とは言えないパターンもあるので正直難しいんですよね。
明確に型が定まっていない頃は、ミートアップへの応募数や満足度を追ってみたことも。でも、人を集めたり満足度の高いコンテンツを提供することは、徐々に「当たり前」になっていって。
実際、回を追うごとに雰囲気はどんどん良くなっていきました。参加者はいい表情をしているし、ミートアップ中に「キャディに入社したいです」と声が上がることも。アンケートに「明日入社したい」って半分遊びの項目を入れているのですが、結構チェックがつくことも多かったんです。
数字にこだわらず、参加者全員がキャディのファンになれるよう全力を尽くすのがすべてなのでは?そう思い、途中からKPIを追うのはやめました。指標に踊らされるんじゃなく、ただ目の前のミートアップを盛り上げるために本気で取り組む。そうすれば、数字では測れないものが確実にアップしていくのではいかなと思ったんです。
── イベントって、なかなか継続的に開催できない企業も多いのではないかなと。
僕たちの場合、とにかく回数を重ねることを意識していました。最初の3ヶ月ほどは隔週でやると決めて、あらかじめ日程も場所も押さえる。いわば、逃げられない状況に追い込んで(笑)。
ただ、やっていくうちに「キャディのミートアップが良いらしい」といった評判が徐々に広まっていったんです。思った以上に参加者の反応が良かったので、「こんなテーマどう?」と、現場や経営陣からもどんどんアイデアが上がってくるようになって。「もう来月待たずに今月やっちゃえばいいんじゃない?」って、気づいたら月曜から土曜まで毎日開催していた週もありました(笑)。
── 週6?!準備の時間など、どう捻出していたのでしょう?
じつは準備にはそこまで時間をかけていないんです。プログラムや資料をガッツリ作り込むこともなければ、リハーサルもしない。集客用ページの写真は使い回しですし、同じテーマ・同じ資料で開催することもよくあって。
社外の参加者を募るイベントってなると、「失敗しちゃいけない」とガチガチに準備してしまうんですよね。でも準備に時間をかけるほど、効果への期待が大きくなる。
先ほどお伝えしたように、イベントって数字的な成果が見えにくい。なので「コストに対して効果が見合わない」となってストップしてしまうケースが多いのかなと。
未完でもいいから、「まずやってみる」。これはキャディのカルチャーでもあるのですが、改善を前提にライトに走らせることは意識していましたね。
── とくに参加者の反応が良いプログラムってあるのでしょうか。
そうですね、参加者が「話せる場」であることが重要だなと思います。テーマに対して登壇者が一方的に話すだけでなく、グループに分かれて皆で話す時間をつくるとか。
キャディのミートアップは、プレゼン時間より質疑応答や座談会のほうが長いです。最初の頃にアンケートで「もう少し他の参加者と交流したかった」と書いてあるのを見て、次回のミートアップですぐ形式を変えました。その後から、「沢山話ができて良かった」などの声が増えていって。
プログラムは、参加者の反応に合わせて結構すぐ変えますね。ミートアップが終わったら改善できそうな点をまとめてSlackで共有。アンケート結果やアサインメンバーの反応も見て、次回に活かすことを決めています。
たとえば会の初めに投影するスライドには、アジェンダじゃなくWi-FiのパスワードやキャディのTwitterアカウントを載せたり。参加者の方一人ひとりに名札を用意したり。小さなことですが、あがった改善アイデアはすぐに取り入れています。
あとは、その日の雰囲気を見てプログラムを変更することも。通常はテーマに沿ったコンテンツの後に複数の島にわかれ座談会をする流れなのですが、参加者の大半が時間通り集まらないときは座談会を先にやったり。懇親会でかなり盛り上がっていたら、コンテンツをしなかったり。そこは人数や雰囲気を見て、柔軟に変えていますね。
── 最後に、イベント運営において心がけたほうがいいことを教えてください!
企業のカラーや方針にもよるので正解はないのですが……「強いメンバーをアサインする」のは重要かもしれません。つまりは、マネジメント層や経営陣を仲間にする。キャディでは、ミートアップに約6割のマネジメント層や経営陣が参加しています。
彼らはまず人前で話すことに慣れている。かつ経営的観点で話ができるので、参加者の満足度も上がりやすいんです。
それに馬力があると言いますか、「なんとかする力」が強い。たとえば、以前CS部門のマネージャーとCEOの加藤が登壇するミートアップを開催したのですが、何かの手違いで上手く連携ができていなかったんですね。もう参加者が会場に集まっているのに、「なに話すんだっけ?」って、内容がまったく決まっていなくて。
でも加藤たちは、会場に向かう階段を降りながらコンテンツを詰めていました(笑)「まずこの話からしていこう」「OK、じゃあその後にこの話入れるといいね」「よしレッツゴー!」って。これが現場のメンバーだったら、きっとパニックになっていたと思います。
あともう一つ。経営陣を巻き込むことで、イベントの盛り上がりを「体感」してもらえることが何より大きいです。イベントってものすごく良い雰囲気だったとしても、その場にいなかった人には伝わりにくい。数値の共有だけでは、経営陣もやる意味があるのか判断しづらいんですよね。
決定権を握る人材がその場にいることで、言葉にしなくても意義や役割が伝わる。まだ小規模で、経営層との距離が近いうちに走り出せた。これはキャディのミートアップにおいて、大きな成功要因だったのかもしれません。
取材 / 文 = 長谷川純菜
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