2020.08.04
口だけの評論家にはならない。航空パイロットの免許取得、空飛ぶ投資家「千葉功太郎」の白熱教室!

口だけの評論家にはならない。航空パイロットの免許取得、空飛ぶ投資家「千葉功太郎」の白熱教室!

新型コロナウイルスの感染拡大により、一変した世界のあり方。2020年以降の新しい「常識」にどう適応し、どう生きていくか。DRONE FUND代表、ドローン産業を興すべく「空」に人生を捧げる投資家、千葉功太郎さんを取材。「これからの時代を生きる若い世代」への熱いメッセージをお届け!

39 8 1 2

※本記事は、6月23日に実施した公開取材『ドローンで僕らの暮らしはどう変わる?新型コロナで見えた可能性』を編集したものです。


2本立てでお送りいたします。
【1】今が「ドローン前提社会」の礎を築く、その時。千葉功太郎の志
【2】口だけの評論家にはならない。航空パイロットの免許取得、空飛ぶ投資家「千葉功太郎」の白熱教室!

航空パイロットの免許を取得、自ら空を飛び、得られたもの

航空パイロットへの道を歩むこと1年9ヶ月。46歳にして、航空パイロット国家試験に合格した千葉功太郎さん。ドローン特化型VC『DRONE FUND』代表であり、日本屈指の投資家は「航空機を自らの手で操縦し、空を飛ぶ」ことで何を得たのか。

まず、DRONE FUNDしかり、投資先企業しかり、私たちはこれから「ドローン」と「エアモビリティ」を日本の空に飛ばさなくてはいけません。しかも「人」の頭の上に。決して事故はあってはなりません。

ですが「空に何かを浮かべる」ということは物理的に、落ちる可能性を0にはできない。飛行機でもそうです。落ちない「飛びもの」はありません。

だからこそ「落ちる」ことを前提とし、落ちないためにやるべき努力の方法を知る。落ちても、大きな事故にならないようにする。この2つを血肉にしないといけない。飛行機業界が築いてきたことや歴史、やってきたことを徹底的に、良い意味でマネしていく。これがDRONE FUND及び、その仲間たちで作る未来に最も重要だと考えました。

飛行機について学ぶ時、「事故の歴史」は、現在の安全性に直結していて。マニュアル一つをとってもそう。これはドローン産業の勃興、発展に有効だと確信しています。

もともと「人が空を飛ぶ」ということは、最初は命がけ。命知らずな行為でした。そこから100年あまりの歴史のなかで、急激に安全性を高めてきた。今では自動車より、飛行機のほうが事故率が圧倒的に低くなりました。100年の歴史の中で、1/100、1/1000、1/100000といったように事故率を着実に減らしてきたのです。

なぜこれだけの短い歴史で安全に飛ばせるようになったのか。ここには2つの大きな理由があります。1つは優れたオペレーションの構築、そしてもう1つがテクノロジーの進化です。

「優れたオペレーションの構築」というのは、徹底的にマニュアル化をしていくということです。たとえば航空機の場合、事故が起きると必ず「事故調査委員会」が発足し、なぜ事故が起きたか、徹底的に調べあげていきます。

それは人的なミスなのか。それともハードウェアのミスなのか。ハードウェアのミスであれば、人的に防げなかったのか。なぜメンテナンスで気づくことができなかったのか。

原因を徹底的に解明し、全てマニュアルに落とし込んでいく。定期メンテナンス、事前チェック、運行中のチェック、それらがオペレーションに組み込まれてきました。

+++2020年6月、自身のホンダジェットの副操縦席で「ナビゲーション航法」を勉強している千葉さん。(※航空法はじめ、全ての法令を遵守した上での操縦と撮影)

じつは私たち航空パイロットは、実際に飛んでる時間よりも、飛行前の準備に時間をかけていて。点検だったり気象状況の確認だったり、最低でも2時間はやっている、というのはあまり知られていないことです。

どのようなことが起ころうとも決して焦らないようにしておく。たとえば天気の急変も「もしここで雷雲が出たら、こう迂回しよう」など、あらゆる「最悪」のパターンをシミュレーションした上で離陸するのです。

もうひとつの「テクノロジーの進化」で言えば、現在、ボーイングも、エアバスも、最新鋭の飛行機はほとんどが自動運転となりました。そして自動運転で生まれた時間をどうしているか。ここも「安全」に時間を割いてるのです。

運転を自動運転に任せる代わりに常に最新情報を収集し、ルート上の天気、他の飛行機の状況、飛行機自体の機器に異常がないか。到着する場所の天気に急変はないか、あらゆる角度から「安全」を追求していきます。

私自身、免許を取って飛んでみて、その歴史、産業、安全についての考え方を肌で感じられた。パイロットの目線、産業界の目線、その両方から語れる人は世界でもそう多くない。そこに立てたことは、自分自身すごくプラスでした。

口だけの評論家には、絶対なりたくない。

1年9ヶ月、想像以上に国家試験合格までの道のりは長く、険しいものでした。ただ、私は自分のポリシーとして「口だけ評論家には絶対ならない」と思ってきた。やってもいないのに「安全とはこうあるべき」とか「こんなことをしてはいけない」とか、現場も知らないのに言うような人にはなりたくない。

だから私自身「誰よりも先にやってみる」、そしてある意味「誰よりもリスクを先にとって体験する」を徹底したかったのです。

リスクとは1つは「命」です。もう一つは「お金」ですよね。せっかく今まで一生懸命仕事してきて、自分で使えるお金も増えた。そのお金を有効活用するには、人が取らないリスクにお金を出す。それをやらないのは純粋にカッコ悪いですよね。

新型コロナは大きな転換点

取材終盤、キャリアハック読者に向け、千葉さんより「これからの時代を生きるために大切なこと」について伺った。

読者の方のなかには10代、20代の方、これからの時代を生きていく方も多くいると思います。ひとつ言えることがあるとすれば、大いにチャレンジしてください。「今はめちゃくちゃチャンスだ」と、ぜひ前向きに捉えてほしいです。

新型コロナウイルスは、人類の歴史の中で大きな1つの転換点です。私は「Withコロナ」という言葉を使っているのですが、これからは「ウイルスと共存していく人類、社会」となります。季節によって大流行、第2波、第3波もあるかも知れない。さらなる新型が出てくるかもしれません。これは避けられないこと。

そういった中、生活様式が激変しています。インターネットを使ったライブイベントが当たり前になってきたし、ビジネスの世界でもZoomの会議はすでに日常です。いわゆるニューノーマル、今までにない常識が急激に生まれています。

「旧常識」の中で商売をしてきた人にとっては危機かもしれません。ただ、起業家の観点からするとチャンスでしかない。

せっかく旧常識に併せて事業拡大して投資し、インフラも拡大し、ハードウェアをたくさん準備してた人が「耐えられない」と苦境に立たされていて。大きな図体をしている、ある意味「大人」こそがニューノーマルな状況に適応できず、苦しんでいる。

若者である皆さんは、まだ何も持っていません。背負うものも、しがらみも、守るべきものもない。ということは、新しいことにチャレンジできる身軽さが最大の武器になる、ということ。

この状況でこそ流行るサービス、企画を打ち出していく。一気に世界に飛んでいく可能性だって十分にあります。どさくさに紛れて生まれた新しいものこそが定着していく。昔のように大きな投資、大きなお金も必要ありません。誰もがソフトウェア、アプリを作ろうと思えばつくれる時代です。ぜひプログラミングは勉強してほしい。何か思いついた時、パッと作ってリリースし、世界の反応を確かめられます。これは未来にとって強い力になり、絶対に食いっぱぐれることはないはずです。

「夢」と「仕事」が近づいていく。そんな未来を自らの手で

最後に、千葉さんにとっての「仕事」とはーー。

私にとって仕事は、自分の夢を実現するための趣味です。やっぱり仕事は楽しいほうがいい。お金を稼ぐための仕事ももちろんあります。大切なことです。ですが、「自分がやりたいこと」と合致してたほうが当然幸せですよね。

もちろん、いきなりできるものではありません。20代、特に前半は社会経験のため、お金を稼ぐために仕事をする。非常に重要です。

ただ、30代、40代、50代と人生を積み上げていく時に、本来自分がやりたいと思うこと。あるいは走ってるなかで「やりたいこと」が見つかった時、それを仕事と近づけていく努力をしたほうが、仕事は楽しくなるはずです。

完全に離れていることをやるのも手ではありますが、相当割り切らないといけない。ムリをしてやっていくと、対処が難しい局面になった時、心が折れるリスクもあります。

私のように「空を開拓すること」は楽しい夢でもあり、仕事でもある。だから、心は折れない。パイロットの試験、じつは死ぬほどきつかったんです(笑)でも、乗り越えた先には「エアモビリティの未来がある」と思えた。仕事ともつながってる。だから、泣きながらなんとか乗り越えられた。こういった側面もあります。

自分の夢、趣味と仕事がより近づいていく。そういった未来は、皆さんにとって楽しい仕事の価値観になりますし、自分自身でもより実践していきたいと思います。


取材 / 文 = 白石勝也


関連記事

特集記事

リモートワーク時代の戦い方

新型コロナウイルスの影響によって進むリモートワーク。とくにテック企業でいち早く導入され、日々アップデートされている。リモートワークが当たり前となるなかで、いかに働き方を変え、さらに組織として戦っていくか。各社の取り組み、工夫、リモートワークのやり方などに迫ります。

AFTER 2020

時代は平成から令和へ。そして訪れる「2020年以降」の世界。2020年からの「10年」をいかに生きていくか。より具体的に起こすべきアクションのヒントを探る連載企画です。お話を伺うのは、常に時代・社会の変化を捉え、スタートアップと共に"一歩先”を見据えて歩まれてきた投資家のみなさんや、未来を切り拓く有志者のみなさん。それぞれが抱く「これから10年間で現実的に起こり得ること」と「新しい生き方」の思索に

お問い合わせ
取材のご依頼やサイトに関する
お問い合わせはこちらから