激しい変化が起こったこの数ヶ月間を、どう過ごしてきた?ーそんな素朴な質問を、テック業界で活躍する”あの人”に尋ねる、新連載「ぼくらのNEW NORMAL」。今回登場してくれたのは、「THE GUILD」のデザイナー小玉千陽さんです。変化に対して常に前向きな彼女の姿勢が見えてきました。
日本屈指のクリエイティブ・ファーム「THE GUILD」。
テクノロジー、ビジネス、デザイン...それぞれのスキルを持つメンバー約20名が所属するギルド型チーム。
アートディレクター・UI/UXデザイナーの小玉千陽さんも、その一員として働くひとりです。
じつは彼女、大学時代からアルバイトとして THE GUILDに関わり、2020年4月にはTHE GUILDの運営・意思決定に関わる「ボードメンバー」に。
さらには新組織「THE GUILD STUDIO」の代表に就任。着実に活躍の場を広げています。
そんな小玉さんは、新型コロナウイルス感染拡大に伴って世の中が急激に変化したこの数ヶ月間を、どう過ごしていたのか。何を思い、どんなアクションをとっていたのか。お話を伺いました。
新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに世の中が変わっていくなか、この数ヶ月間をどう過ごされてきたか伺っていて。まずは仕事の量でいうと変化はありましたか?
量としてはそこまで変化していないのですが、クライアント企業から「オンライン領域の相談に乗ってほしい」という声は多くなりました。
たとえば、ファッションブランド。「オンラインカタログを充実させたい」「EC サイトを強化したい」などが多いですね。もともと「紙」と「ウェブ」両方のデザインの仕事に携わってきたので、よく相談をいただけるのだと思います。
ユーザーに届けたい体験に合わせて、いかに最適なデザインにしていくか、「紙」と「ウェブ」両方で考えていくのはとても楽しい。両方とも大好き(笑)。この領域で私にできることがあれば、全力でお力添えしたい。そういった気持ちです。
働き方に変化はありましたか?
2月末から、ほぼ毎日リモートワークになりました。
テキストでのコミュニケーションが多くなり、ミーティングは全てオンラインに。直接顔を合わせる機会はほとんどなくなりました。
オンラインミーティングで大切にしていることがあれば教えて下さい。
カメラの「画質」にはこだわるようになったかもしれません。もともとパソコンに内臓されているカメラでミーティングに参加していたのですが、同席していたTHE GUILDのメンバーの画質がとても良くて。一眼レフのカメラを接続して、自分を映していているとのことで、私もやってみよう!と。
そのメンバーは学生向けの講師もやっていて、画質にこだわる理由について「存在感って大切だよね」「生徒も、きっとちゃんとした人から教えてもらいたいと思うから」と言っていました。リアルだと講師のたたずまいや雰囲気で存在感が伝わったけれど、Zoomだと参加者全員が同じフレームになるので、講師感が薄れてしまう。この言葉に、すごく影響を受けました(笑)。
「誰も見てないだろう」「気にならないだろう」と、画質や見栄えって意外と疎かにしてしまいがち。けれど、カメラ越しに複雑なニュアンスを伝えなくてはならない場面がたくさんある仕事をしているからこそ、少しでも説得力をもたせたり、信頼につなげるためには、自分の写り方は良いほうがいい。そこから、普通のパソコンのカメラではなく、一眼レフカメラをつなぐことが習慣になりました。
同時に、メイクもちゃんとしなきゃと、コスメや美容についてYouTubeで学びはじめました(笑)。
オンラインのカメラ越しで伝わる印象って、顔がほとんど。少しの工夫でよく見えるなら、ちゃんとしておくべきだなと思って大事にしています。
この数ヶ月で小玉千陽さんがはじめたこと
◆毎朝のオンライン英会話
お酒を飲むのがすごく好きなので、夜は飲みに行ってスイッチをきって、ちょっと反省もしながら次の日また頑張ろうってなっていたのが、ずーっとオンの状態が続きやすくなっちゃったので。朝のルーティンというか、習慣をつくるようになりました
とくにここ数ヶ月で始められたことって何かありますか?
インテリアコーディネートを本格的に勉強しはじめました。どういう時に人は「心地よい」と感じるか。「心地よい」はつくれるか。日々の生活のなかでオフラインとオンラインはどう溶け合うか。
いつもデザインしている「オンラインでの体験」をスマホやPCの画面上だけで考えるのではなくて、日常の「体験」からヒントが得たくて。もともと大学時代に建築の勉強をしていたこともあり、空間からデザインを捉え直してみようと思いました。
「空間」って本当におもしろくて、意識してないところでけっこう大きく人間に影響している。たとえば、部屋は視界の大半を覆う「壁」か「床」を変えると印象ががらりと変わる。照明によっても視界はコントロールできる。こういった視覚効果を自分で生み出し体験することで、新しいデザインの引き出しを取り入れられたらいいなと試行錯誤しています。
インテリアの勉強以外だと、日常のなかで始めたことはありますか?
朝起きてすぐ、仕事を始める前にオンライン英会話のレッスンを受けるようになりました。
オンライン英会話は新型コロナウイルス感染拡大の前から契約はしていたのですが、気まぐれに朝起きれた時しかできていなくて。家にいる時間が増えたので逆にチャンスだと思って受けるようにしています。朝起きてすぐ喋ると頭が活性化する…ような気がします(笑)
なかなか続かないケースも多いですが、続いている?
そうですね。THE GUILDでは以前から週に1回先生を招いて、英会話のレッスンを受けていました。この状況になってからも、オンラインで続いています。週に1回メンバーと英語を使って話すチャンスがあるので、そこまでに少しでも上手くなっていたいということが、モチベーションになっているかもしれません。
誰かと一緒にやるって大切かもしれないですね。
あとは「みんなで」ってリアルだとハードルが高いですが、オンラインだと参加しやすいので、やってみるといいかもしれません。ゲームにのめり込んできたタイプではないのですが、直接人と会う機会がなくなって、最近少しフォートナイトにハマっています。
最後にこの数ヶ月で起こった変化について、どう捉えているか、教えて下さい。
家にずっと籠もっていると、つい色んなことを悲観的に考えてしまうのは仕方がないこと。旅行にも行けないし、大好きなフェスもすべて開催中止。外食をするにも気を遣う。
ただ、オンラインだからこそできることもたくさんある。これは変われるチャンスだと、なるべく前向きに捉えるようにしています。
朝から英会話レッスンを受けるのは、今までは辛いけど頑張らなきゃいけないこと、だと思っていましたが、今ではいい1日をはじめるためのルーティーンに。インテリアの勉強にしても、きっとこの変化がなければ取り組んでいませんでした。
これまでの生活にも、自分なりには気を配っていたつもりでした。でも、この機会に本当に自分が求める体験や空間ってなんだろう?とさらに突き詰めたら、日常の本当にささやかな時間もより一層幸せに感じられるようになりました。
旅行に行ったり、打ち合わせの合間に街を歩いたりと、外部から受けていた刺激が減った分日常と向き合い、今まで「当たり前」と思って思考停止していたことに気づくいいチャンスなのかもしれません。できそうなことがあれば、ちょっとずつ変えていってみるのもいいのかもしれません。
ぼくらのNEW NORMAL
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