急成長中のライブ配信サービス「Mildom」を手掛けるDouYu Japanで働く齋藤祐介さん。日本のPMチームでリーダーを務めている。中国の開発チームと連携を取るため、PMとして心がけていることを尋ねた。
全2本立てでお送りいたします。
【1】ただの伝書鳩だった。PM1年目に失敗から学んだ「鵜呑みにしない」スタンス
【2】中国語を喋れない僕が、中国の開発チームと信頼関係を築くためにやったこと
ー まず最初に、齋藤さんのDouYu Japanでの役割、ミッションについて詳しく教えてください!
DouYu Japanで、ゲームライブ配信プラットフォーム「Mildom」のプロダクトマネージャーをしています。
大きなミッションとしては、日本国内市場では後発サービスなので、市場にまだない価値を付加して差別化されたプロダクトにしていくことです。
プロダクト組織としては、日本と中国にそれぞれPMが約5名ずつ、UIデザイナーが数名ずつ、エンジニアは中国に40人以上います。僕自身は日本のPM・UIデザイナーのマネージャーを任されています。
ー 中国側の開発チームとのコミュニケーションは、中国語でされているんですか?
じつは中国語は喋れないんです。ミーティングのときは通訳を挟んで、チャットツールとか仕様書のコメントのフィードバックは英語でやっています。
ただ、通訳を挟んでも、伝えたいことが自分の意図しない形で相手に伝わることは往々にしてあるので工夫が必要です。
まだ試行錯誤しているところですが、たとえばプレゼンのときに通訳とその場で打ち合わせをして、ニュアンスまでしっかりと伝わるように言葉を選ぶようにしています。
具体的には、「ここはぜひ中国と一緒に考えていきたいんですが〜」というフレーズはよく使いますね。「日本だとこうすべきだと考えています」っていう伝わり方になると関係が悪くなるので、あくまでも「一緒に考えていきたい」という友好関係を築けるような言葉選びに気をつけています。
ー やはり日本のチームと中国のチームでは開発プロセスやデザインの考え方など違うのでしょうか?
全然違いますね。考え方のバックグラウンドが、全く異なります。
たとえば、「ボタン」の一つだけで、2.3時間くらい議論になったこともありました。
中国では確実に目に見えるものを見た目として追加していく、足し算していく考え方。でも、日本は比較的シンプルなデザインが好まれますよね。そういったところをひとつひとつすり合わせるようにしています。
ー 話が平行線になってしまうときは、どうされているんですか?
入社してすぐは正直どうしたらいいのかわからなかったので、LINEとかByteDanceの日本法人のPMの方にツイッターのDMを送って、ランチなどで相談してました。エンジニアは海外にいて企画は日本にいるという近しいプロダクト組織なので、同じような課題を抱えているんじゃないかと思ったんです。
アドバイスしていただいたひとつが、「相手が納得する強い根拠」を探すこと。たとえば、「日本ではこういった情報設計やUIデザインが自然に受け入れられている」という事例は、中国側からすると大きな判断材料になるわけです。自分たちの考え方をただ伝えるだけではなく、相手が納得できるような根拠を探すように心がけています。
あと、もうひとつ個人的に大事にしているのは「雑談」することですね。
これまで転職するときも、新しい組織やチームに入るときは、ランチに自分から誘ったり、共有スペースで作業されているときに立ち寄って声をかけたり。積極的に雑談の機会をつくるようにしてきました。
やっぱりまず、転職したばっかりだと顔すら覚えてもらえていないので、まずは顔を覚えてもらうことと、自分がどんな人なのかを自発的に伝えにいくことが大事です。
雑談が増えると、シンプルに話しかけやすくなりますよね。相談もしやすくなるし、してもらいやすくなる。風通しがよくなるから、良いチームには欠かせない重要なことだと捉えています。
>>>【1】ただの伝書鳩だった。PM1年目に失敗から学んだ「鵜呑みにしない」スタンス
取材 / 文 = 野村愛
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