約1年でユーザー数200万人を突破した通話コミュニティ『Yay!(イェイ)』。利用者の約8割が22歳以下と若いユーザーの心を掴む。一体『Yay!』の何にハマる? 運営元ナナメウエのCEO、石濵嵩博さんにお話を伺った。
▼全2本立てでお送りいたします。
【前編】「居場所を奪わないで」ひま部 閉鎖で届いたユーザーの手紙、Yay!での再起を誓った日
【後編】22歳以下がハマる『Yay!』とは? 通話コミュニティで「自分らしくいられる場所」を見つける若者たち
ー 約8割が22歳以下のユーザーだと伺いました。若い人たちにとって『Yay!(イェイ)』は、どういった場所になっているのでしょうか?
僕たちは「バーチャルグラフ」と呼んでいるのですが、リアルで面識がある人とつながるサービスではなく、オンライン上で「この人と仲良くなれそう」が見つかり、気軽にコミュニケーションがとれる場所だと思います。そこから新しい友達関係が生まれたりもして、良い出会いになっていく、というサービスです。
感覚としては、mixiのコミュニティ機能がとても近いと思います。mixiが流行った当時は「嵐が好きな人、集まれ」とか「競馬好きな人、集まれ」とかあり、ゆるくコミュニケーションをとって楽しんでいた。
同じ感覚で、共通の趣味や話題をきっかけにつながり、「通話」もできるのが『Yay!』ですね。
ー 22歳以下、とくに若い人にウケている理由とは?
いくつかありますが、まず2019年12月に閉鎖した『ひま部』から生まれたサービスで、もともと学生さんに使ってもらっていて。引きつづき使ってくれる方が多いです。
また、年齢認証なども徹底しており、同年代、同じ趣味を持った人たちと、サークルを通じてつながれる。ここの安全対策、アルゴリズムには、非常にこだわっており、年の離れた人にコミュニケーションを邪魔されること無く、安心して使えることも大きいと思います。
ー サークルがひとつ会話のきっかけになるんですね。そのなかに「自分磨き」があったりするものユニークですね。必ずしも「出会いたい」「つながりたい」だけがモチベーションではない?
そうですね。シンプルに、共通のテーマで話をしたり、気の合う人と一緒に笑いあったり、ちょっと仲良くなったり。ここは純粋に楽しい体験。mixi、モバゲー、GREEで、みんながやっていたことと同じだと思います。
大人になって「出会い」というと、なぜか「男女の出会い」が想起されますが、そればかりではありません。
僕たちが考えている「出会い」は、いわば学校や会社のようなもの。
友達との出会い、興味との出会い、その中に男女の出会いも内包されて、周りの環境を構築していく、そんなイメージです。
興味があることでワイワイ雑談をしているだけに見えますが、そうやって人と人がつながって、人生を形作っていくんです。
ー ちなみに、コロナ禍によってサービスの使われ方に変化はありましたか?
ユーザー数にしても、利用時間にしても、圧倒的に増加しました。やっぱり家にいる時間が増え、人と話したい、寂しい、と。
もちろんリアルな友達とLINEしてもいいと思うのですが、ずっと同じ話題で盛り上がれるわけじゃない。そもそもリアルの友だちはたまたま作られるので、根本合わない人も多くいます。
新しいゲームをはじめた、同じアーティストの音楽を聴いている、モヤモヤした気持ちを話したい…リアルの友だち関係に関わらず、ゆるくつながりたい人もいる。
こういったニーズにハマったのが「音声」というフォーマットだったのだと思います。
ー いきなり見知らぬ人との「通話」は、ハードルが高そうです。
そんなこともなくて、「ちょっと仲良くなった」ぐらいの関係でもバンバン通話を楽しんでくれていますね。
ここは、サービス全体に「通話」が前提にあるからだと思います。ここは他のプラットフォームができてないところで。僕たちができたところでもあります。
昔から「音声」は、何かを一気に伝えたい時に使いますよね。こうした取材もテキストでやり取りしていたら日が暮れちゃうので。音声でのコミュニケーションには言いたいことを一気に伝えられる特性があります。
とはいえ、TwitterやFacebookで、いきなり何も事前通知無く、通話がかかわってきたら、びっくりしてしまう。こちからかけるにしてもハードルが高い。相手がどういうテンションで、そのサービスを使ってるかわからないから。
『Yay!』だと、いま暇で、時間があり、通話することを受け入れて使っている。目的意識が揃っているので、かけても、かかってきても、普通なんですよね。
Clubhouseも少し似ているのかも。聞く側も、スピーカーとして呼ばれるかもしれない。その覚悟が揃っていることが大切なのだと思います。
ー もともと通話は、目玉の機能として考えていたのでしょうか?
じつは、そこまで価値があると思ってなくて(笑)もともと『ひま部』をつくっていた時、音声でコミュニケーションしたら楽しいよね、くらいの感覚でした。技術的にできそうで、僕らならではのフォーマットを探していて、そのひとつ。
結果論ですが、Clubhouseが出てくるまで、音声のプラットフォームはそこまでなかった。音声なら、人となりもすぐに伝わるし、テキストや画像にないコミュニケーションがスピーディーに、且つたくさん生まれていく。リアルタイムで同じ時間を共有するコミュニケーションに適していたのだと思います。
ー 最後に『Yay!』を通じて、どういった体験をつくっていきたいか、教えてください。
学校とか、会社みたいなものを、そっくりそのままを、僕たちのプラットフォーム上に置いていきたい、そういった構想があります。
たとえば、学校って「学び」も「遊び」も「恋愛」もありますよね。それら全体がプラットフォーム上にあり、自分の人生に影響を与えてくれる人とつながれる。時には恥ずかしい思いをしたり、コミュニケーションに失敗してしまうかもしれない。だた、最終的に、いい人間関係につながっていく。そういった世界を究極的には作っていきたいという思いがあります。
僕は、人生は、人間関係が全てだと思っていて。良い人とつながれば、良い人生になる。僕はかなり恵まれていたから起業できたし、今ここにいられる。ただ、まわりのみんなが犯罪を犯すような人たちで、そういった環境で育ったら自分もそうなっていたかもしれない。
だから、僕がやりたいのは、その人の人生にとっての「最も良い環境を作る」ということ。
今は、学校にしても、たまたま近くに住む人たちが数百人集められ、気まぐれに数十人のクラスが作られ、よーいどん!で思春期を過ごすしかない。これって完全に「運」でしかない。
それなら、自分にとってよりよい環境、人間関係をデータとアルゴリズムで作れたら、どのようなサービスより社会貢献の度合いが高いと思うんです。今はバーチャルだけですが、今後はリアルも含めて一気通貫にやります。
「運」じゃないカタチで「ベストな環境」を提供できるプラットフォームをつくる。人生をかけて、ここをやっていきたいと思います。
>>>【前編】「居場所を奪わないで」ひま部 閉鎖で届いたユーザーの手紙、Yay!での再起を誓った日
画像提供:ナナメウエ, Inc.
取材 / 文 = 白石勝也
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