2021.08.30
freee責任者が語る、PM必須スキル。意思決定のためのインプット力を高めよ

freee責任者が語る、PM必須スキル。意思決定のためのインプット力を高めよ

クラウド会計ソフト「freee」をはじめ、すべてのプロダクトを統括している宮田善孝さん。新卒では戦略コンサル、そこからDeNA、SmartNews、そしてfreeeにて「プロダクト開発」の第一線で活躍してきた。なぜネット業界に?新米PM時代にぶつかった壁とは?自身の体験も踏まえ、新米PMにとって必須となるスキルについて伺った。

73 31 2 3

+++

戦略コンサルから、インターネットの世界に辿りつくまで。

ー 新卒で戦略コンサルとして1年半働き、そこからDeNAに入社されたと伺いました。なぜ、インターネットの世界に?

けっこう偶然なんですよね(笑)

転職活動をはじめた当時、ちょうどリーマンショックの時代。どこも採用をギュッと絞っているなかで、採用を強化していたのがスタートアップ・ベンチャーだったんです。そのなかでDeNAとご縁があり、入社しました。

余談ですけど、DeNAではもともとコンサル出身者を採用してなかったみたいで。ちょうど僕が転職活動をしたタイミングからコンサル出身者の採用を強化して、同じ時期にたしか20人くらい戦略コンサルからDeNAに入社してました。同じ目線で話せる人もいるし、スタートアップで面白そうなことやってるし、これはまたとない機会だと思ったのも入社の決め手でした。

ー コンサルを続ける選択肢はなかったのでしょうか?

そうですね。コンサルの仕事はとてもやりがいがあったんですけど、事業を自分でつくった経験がない中でコンサルをすることに、どうしても自分の中で限界を感じて。

たとえば、プレスリリースひとつとっても、僕は字面だけで「この会社こういう取り組みするんだ、へえ~」って読んじゃっていた。でも、事業をつくった経験のある人が見れば、「プレスリリースにはこう書かれているけど、実際にはこんなところに課題がありそう」とか、「ここまでは自社でやってるけど、あとは外注してる部分がありそう」とか、事業について解像度高く捉えることができる。

僕自身、一度事業会社に入って、中の人として経験を積むことで事業に対する解像度が上がってくるのではないかと思ったんです。

+++

「説明」に終始し、商談に苦戦した新米PM時代。

ー DeNAに入社されてからは、実際にどんなお仕事を?

DeNAに入社したのが2009年なのですが、当時はまだガラケーが主流の時代。天気だったり占いコンテンツだったり、さまざまなコンテンツを配信しているポータルサイトを担当していました。まだ「プロダクトマネージャー」という職種もなく、企画やプロデューサーという肩書でしたが、このときからPMに近しい仕事をしていました。

ー コンサルから、プロダクトやサービスの作り手へ。仕事内容が大きく異なり、苦労されたことも多かったのでは?

そうですね、職種や業界は違えど、コンサルでの経験が活きたところもありましたし、逆に裏目に出てしまったことも。たとえば、提携先にサービスの連携を提案しなくちゃいけない場面で、ただの「説明」になってしまった。

いま思えば本当に恥ずかしい話なのですが、僕は淡々とサイトの紹介をし、「新しくコミックコーナーつくるので、載せませんか?」と説明していて。そうすると、やっぱり、相手の反応って「ふう~ん」になるんですよね。「よし一緒にやりましょう!」という感じにはならない。

コンサルは、外部からクライアントの事業に対して戦略を提案したり、課題を指し示してあげる役割なので、論理立てて説明するの得意なところ。でも、事業をつくる側に立ったとき、ただ説明するだけでは人を巻き込めません。

人を巻き込んでその世界観に引き込んでいく。そのワクワク感だったり、魅力みたいなものを伝えることの重要性に気づかされました。

変化・トレンドに対して、鈍感なPMになっていないか。

ー駆け出しPMの頃を振り返って、失敗からの学びでいうと?

それでいうと、世の中の変化とか、ユーザーの変化にPMが先んじて気づいていくことですね。そのためにも、あらゆるものごとを俯瞰して、キャッチアップしておくことが大切です。

これは私自身の失敗体験から学んだことでもあるんですよね。ソーシャルゲームのプラットフォームを担当していたとこのこと。ゲームのアバターと課金基盤以外のマネージャーを担っていたのですが、スマホシフトの波を先取し、迅速に意思決定できず、ユーザーが離れてしまった経験があって。

アプリに注力してれば、もう少し事業展開のあり方って違ったんじゃないのかと。これは本当に今でも思い出すし、悔しいです。

当時は、2011−12年ごろ、ちょうどスマートフォンが出始めていたのですが、まだまだガラケーでゲームをするのが当たり前の時代でした。アプリよりもブラウザで展開したほうが課金率等も高く、アプリの優先度を低くしてしまった。

こういった時代の大きな変化って、気づいたときにはもう遅い。当時は数字を見ても、マンスリーアクティブユーザーはほぼ横ばい。リニアに下がるわけではなく、数値が下がったと思えば次の月には上がったりして。

ただ、長い期間で見てはじめて、1%ずつユーザーが離れている。今だと誰もがトレンドだとわかりますが、実際やってる身からすると気づけない落とし穴だと思います。

+++PMがトレンドをいち早くキャッチアップのために「海外トレンドのキャッチアップも重要」と宮田さん。「とにかくいろんなものを見聞きして試す。一次情報を取りにいく。SmartNews在籍時、ニューヨークのPMのプログラムに参加できたのも貴重な経験でした。海外だとPMは15年前ぐらいから体系化されてきたロールです。PMの職種人口も、もちろん情報量も桁違い。その国ごとのカルチャーや市場は踏まえながら情報をキャッチアップできるといいと思います」

意思決定のためのインプット力を鍛えよう

ー インプットの話がでましたが、日々の仕事に忙殺されてなかなか時間がとれない…ということもありそうな気がします。

コンサル時代に鍛えられたところでもあるのですが、とにかくまずはありったけの情報を集めきる。時間切れになってしまうので、最初からひとつひとつの情報に目は通しません。

たとえば、本を読むにしても、まず20冊ぐらいかき集めて、目次だけをざっと目を通して全体像を把握。

そこからプロジェクトを進めていく上で、重要度の高いものをリストアップします。限られた時間のなかで、必要な情報を絞って、頭に叩き込む。これは、プロダクトマネージャーにとっても、非常に重要なスキルです。

8月6日に上梓した宮田さん初の著書。
freeeのプロダクトマネジメントを事例にSaaS立ち上げの知見をまとめた一冊。

ALL for SaaS SaaS立ち上げのすべて

もちろんインプットしただけでは、戦略に落ちません。なので、リサーチもセットで行うことがおすすめです。

たとえば、外食チェーンのマーケティング戦略を担当したとき、もちろん市場の動向や会社の売上推移などあらゆるデータに目を通しましたが、ヒアリングをしてあらゆる角度から課題を洗い出したりもしました。

10店舗くらい回ってお客さん200人くらいにヒアリングしたり、会社のマネージャーや店長にもヒアリングしたり。現場でこそ見える課題が必ずあります。さまざまなアプローチのリサーチは、今何が一番原因で何を対策すればいいのか、あぶり出す上で効果的です。

プロダクトマネジメントのスタンダードを学ぼう。

ー 最後に、いまPM1年目で奮闘している読者のみなさんにメッセージをお願いします!

いまはPMに関する書籍等も相当充実しているで、それらを通じて「プロダクトマネジメントのスタンダード」をしっかり学ぶのをオススメします。

国内外でPMのカンファレンスやMeetupなども展開されているので、直近の取り組みなどもキャッチアップできます。

方法論を抑えた上で、そのまま導入しようとするのではなく、目の前のプロダクトやチームにしっかり向き合って、必要な要素を少しずつ試行錯誤していくこと。そのプロセスを繰り返すことが、プロダクトマネージャーとして一人前になるためのクリティカルパスになっていくのではないかと思います。

8月に出版した「ALL for SaaS SaaS立ち上げのすべて」も、とくにSaaS領域のプロダクト開発に携わる方がにとって役に立つ1冊になったらいいなと思って書いたので、是非参照いただけると嬉しいです。

+++

(おわり)

画像提供:freee 


取材 / 文 = 野村愛


特集記事

新社会人のみなさんへ

4月から新社会人となるみなさんに、仕事にとって大切なこと、役立つ体験談などをお届けします。どんなに活躍している人もはじめはみんな新人。新たなスタートラインに立つ時、壁にぶつかったとき、ぜひこれらの記事を思い出してみてください。

お問い合わせ
取材のご依頼やサイトに関する
お問い合わせはこちらから