2013.07.24
“グロースハッカー”はWEBビジネスに何をもたらすか?―シリコンバレーの第一人者の言葉をまとめる。

“グロースハッカー”はWEBビジネスに何をもたらすか?―シリコンバレーの第一人者の言葉をまとめる。

日本でも話題にのぼることが増えた“グロースハッカー”。CAREER HACKは、この領域の第一人者である米Qualaroo社 ショーン・エリス氏、500Startupsに選ばれた日本人起業家 高橋雄介氏らとお話する機会に恵まれた。その内容を踏まえ、グロースハッカーとは何か、備忘録的に改めて整理する。

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Q.グロースハック(グロースハッキング)とは何か?

グロースハッキングとは、プロダクトの本質的な価値を理解し、その可能性を把握し、実際に成長させていくアクションのこと。また、そのための技術・ノウハウのこと。

ポイントは、その成長を“インターネット的なやり方”で実現することだ。インターネット的とは、テストを重視するということ。テストを積み重ねることで、プロダクトの成長にとってベターな施策を見極めていく。エンジニアリングの変更やデザインの変更など、あらゆる場面でテストテストテスト……。

そうした観点で言い換えるならば、グロースハックは「シュリンクハック」であるとも言える。何をすることが良くないのか、何が失敗につながるのか。そのポイントを適切につかむことも非常に重要なポイントである。

Q.チームにグロースハッカーがいるかどうかで、何が変わるのか?

グロースハッカーがいないチームは、広告に頼らざるを得ない。広告は、とにかくお金がかかるもの。にも関わらず、多くの場合その成果は不透明だ。だがチームにグロースハッカーがいれば、広告に頼ることなく、自分たちの手でプロダクトを成長させていくことができる。

ただし、最も重要な問題は、グロースハッカーというポジションの有無ではない。例えば、Dropbox。グロースハックの第一人者である米Qualaroo社ファウンダー ショーン・エリス氏は以前Dropboxに在籍していたそうだが、彼が同社を離れて1年間、Dropboxには専任のグロースハッカーはいなかったそう。でも、その間の成長率はすさまじく、翌年にはショーン氏在籍中の10倍の成果が出たのだそうだ。その理由は、Dropboxのチーム全員が「グロースハッキング」を理解していたから。そうしたチームであれば、必ずしも専任のグロースハッカーが必要なわけではない。

Q.なぜグロースハッカーという新しい名前を用意する必要があるのか?

たしかに、グロースハッキングはマーケティングの一種であり、グロースハッカーを“マーケティングスペシャリスト”と呼ぶこともできるだろう。しかしその場合、人材採用の面で大きな問題が発生する。

企業がマーケティングスペシャリストの求人を出したとして、どんなタイプの求職者が反応するだろうか?「ハーバードでマーケティングを学んだ」「MBAを取得している」…多くの場合、集まってくるのはそういうタイプの人ばかりだ。彼らにできるのは往々にして「広告」だけ。“従来の広告に頼ることなく、プロダクトの成長を導ける人”を適切に指し示すためには、固有の、新しい名前を用意する必要がある。

Q. アメリカでのグロースハッカーの認知度は?

今や1000以上の「グロースハッカー求人」が出ていて、LinkedInでも自分のキャリアを「グロースハッカー」で登録する人が増えている。「マーケッター」を「グロースハッカー」と書き換えるだけで、20社くらいからオファーが来るような状況。

Q.グロースハッカーに必要な要素とは?

キーワードは以下の4つだ。


● creativity
● analyticity
● discipline
● empathy


まず第一にクリエイティブであること。従来のマーケティング手法に頼らないさまざまな施策を考え、実際に試していける人であること。

同時に、分析的であること。創造性と分析性の両方を兼ね備えた人というのは非常に稀な存在だ。だからこそ、グロースハッカーになるのは難しい…。

加えて、当然ながらプロダクトの成長に対して自らを律し、全てを賭せる人でなければならない。

そして、共感的であること。ユーザーがプロダクトに対してどんな気持ちを抱いているのか、何に困っているのか。ユーザーの感覚を持てる人が本当のグロースハッカーだと言えるだろう。

編集後記

非常に基本的な内容だったかもしれませんが、CAREER HACK編集部にて備忘録的に残しているメモを一部公開・共有させていただきました。間違いのご指摘や補足があれば、ぜひ下部のコメント欄にご記入いただけると幸いです。

いま、日本でも数多くのスタートアップが立ち上がり、続々と新たなWEBサービスが生まれています。「プロダクトの成長のために、テストを通じて最適解を導き出すこと」がグロースハックだとすれば、腕利きのグロースハッカーが日本から誕生し、そのノウハウが広くシェアされるようになる可能性も大いにあるはず。CAREER HACKでは引き続き、グロースハックについて追いかけていきます。



編集 = CAREER HACK


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