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エンジニアの道標|GMO現場責任者が語る『理想のエンジニア像』

2014-03-03

エンジニアの道標|GMO現場責任者が語る『理想のエンジニア像』

WEBインフラ・ECを始め、証券やソーシャル・スマホなど多彩な事業を展開するGMOインターネットグループ。約1400名のエンジニアが、様々な領域で活躍している。分野や役割が異なるエンジニア集団において、共通する理想像は存在するのか。GMOインターネットの現場トップに聞く、理想のエンジニア。

エンジニアは何を目指せばいいのか

WEB・IT業界で働くエンジニアに、目指すべきキャリアのロールモデルは存在するのだろうか。

歴史の浅い業界であり、いま最も変化が激しいといえるWEB・ITの世界。立ち止まって考える余裕のないほど、目まぐるしく状況が動いている。時代の最先端をいくエンジニアで、自分の1年後、3年後を冷静に予測できない人たちも多いことだろう。

キャリアが自己責任になった現代において、ロールモデルを指し示してもらうということ自体が間違っているのかもしれない。しかし、過去を知り、潮流を知ることで、未来を予見する手がかりを得ることはできるだろう。

エンジニアはどこを目指すべきか。そのヒントを探るべく、グループに約1400名ものエンジニアが在籍するGMOインターネットを直撃してみた。

話を伺ったのは、GMOインターネット システム本部 マネージャー 末原氏と次世代システム研究室(※特定の領域によらない、グループを横断するような重要プロジェクトの開発を推進する部署) チーフアーキテクト 片野氏。それぞれ現場で重責を担うエンジニアである。

GMOインターネットが掲げる理想のエンジニアとは。そこから推測できる、全エンジニアが意識すべきマインド・スキルとは。

明確な定義はなくとも共通するスピリット


― 事業領域から推測できるように、エンジニアに求められる能力は様々かと思います。GMOインターネットが共通で求めている、掲げている「理想のエンジニア像」のようなものはありますか?


末原:
“こんなエンジニアを目指すべき”といった明確な定義は設けていないんですよ。むしろ私は、色々なエンジニアがいて良いと思っています。たとえば、新しくサービスを作っていく人間と、そのサービスを提供・維持していく人間では、求めるスキルは違ってきますよね。だから極端な話、“理想のエンジニア像”はチームによって変わってくると。

でもどのエンジニアにも共通して大事だと思うのは、“現状に満足せず新しいことにチャレンジし続ける”という気持ちを持っているか。月並みかもしれませんが、それが最大の理想だし、大前提ですね。

片野:
次世代システム研究室も同じですね。探究心とか、挑戦心。うちの場合、毎回まったく領域が異なるプロジェクトがふってくるので、自分が関わったことがない技術だったとしても、“できない”とは言っていられません。

だから、技術も競合もイチから調べて、常にNo.1サービスを目指してチャレンジすることを楽しいと感じる精神を持っていることが大事。そこを“おもしろい”と感じられないと、合わないし続けていけないでしょうね。

あとは、私の所属部署は"研究室"と付いていますが、技術の研究が目的ではありません。お客様の笑顔のため、研究した技術を実践し、システム開発を通してビジネスを成功させることが目的。その視点は技術を磨くエンジニアこそ忘れてはいけないものではないでしょうか。


― 当然、チャレンジ精神は必要だと思いますが、明確な定義がない中で、揃ってキーワードに挙げたのには理由があるのでしょうか?


システム本部 マネージャー 末原孝積氏

末原:
危機感、のようなものがあるかなと思います。とにかく動きの早い業界です。現状に満足してしまえば、今のポジションすら維持できない状況に陥りかねません。

なので、「新しいモノを作ろう」という時に、プロジェクトメンバーから「今までと同じ技術を使って実装する」という提案をされた場合は、何故そうなったのか、それ以外の可能性はないのかを詳しく聞くようにしています。手を抜いたとか、楽な方法を選んだわけではなく、目的にとっての最善の手段であることが大事ですからね。


― なるほど。マインドの部分は危機感からくるチャレンジ精神が大事ということでした。では、テクニカルスキルについては何か理想がありますか?


次世代システム研究室
チーフアーキテクト 片野道雄氏

片野:
うちの部署では変化に対応できることが何よりも重要なので、「この言語や技術しかできません」とならないように心がけています。一人ひとりが何かしらの強みをもってほしいですが、それだけのスペシャリストでなく、いろんな技術を学んでいってもらいたいですね。

「Javaにすごく精通しているけどPHPはダメ」でも、PHP開発が求められたときに変化しなければ活躍の場が減ってしまいます。複数のプロジェクトに関わるため、それぞれに適した言語や技術を学ばないといけません。そういう意味では、スペシャリストでありゼネラリストであることが目標です。また、複数のプロジェクトを回すので、マネジメントができるようになることも望んでいます。ま、理想のメンバーですけどね(笑)。

末原:
システム本部は何か一芸あれば大歓迎です。“これは負けない”という強味があること。そういう人がいるなら、うちの部署に欲しいくらい(笑)。

ネットワークに強い、ストレージに強い、プログラムだとしたら何かしらのWEBアプリケーションに強い、など“俺に任せろ”と言えるようなスペシャリストであること。技術のトレンド自体は、ぐるっと一周回ってくるわけですから、そういう強味があるエンジニアは重宝されますよね。

チャレンジ精神を持続させる環境づくり


― エンジニアの皆さんがチャレンジ精神を持ち続けられるように、意図的に行なっていることはありますか?


末原:
まず、メンバー個々人が何に挑戦したいのか、どんな志向を持っているのかといった部分を把握するように努めています。

常にコミュニケーションをとって、こちらからも積極的にチャレンジの環境を与えていますね。タイミングが合えば希望のプロジェクトにアサインしたり、その領域を得意とするエンジニアに任せたり。

ただ、エンジニアと言えどイチ会社員なので、時には本人の志向と合わなくても“会社としてこれを任せたい”とお願いすることもあります。過去には「絶対に嫌だ」と拒否されたとか、言い合いになったこともありますよ(笑)。


― 言い合いですか!


末原:
傍から見たら「言い合い」とか「喧嘩」のように見えるかもしれませんが(笑)、ディスカッションになることはよくありますね。さすがに取っ組み合いはしたことないですけど。でもメンバーと腹を割って技術の話をする時間は、絶対に必要だと思いますよ。

自分の指示に対して「はい、わかりました」と答えてくれるエンジニアはもちろん大好きです(笑)。でも「ここは譲れない」という所があるのは当然だし、論理的・合理的なところで納得いかなければ反論してくれてかまわない。


― 結構、本人の意向をくんだプロジェクトへのアサインが容易なんですか?意向っていうのは、このスキルを伸ばしたいから、このプロジェクトにってことなんですけど。


末原:
やったことない人に新しい案件をアサインしてみたり、得意な人だからこそ任せたりといった感じで、スキルを伸ばすというより、業務をアレンジする形ではやってみるのはありますね。会社として伸ばしてほしいスキルは、事業計画に直結しているので前提としてあるわけですから。

それを理解した上で、完全に本人の希望とか、食っていくのに困らないかなっていうスキルがあるんだと思いますけど、将来的にどういうスキルが求められる世界になるのかはわからないです。

ただ言えることとしては、長所は突き抜けて伸ばしていくべきだけど、サブスキルとして、あまり詳しくないけどそれなりにできるっていうのを1つ2つくらい持ってると良いですね。

片野:
やっぱり、ここでも意識しているのはチャレンジですね。実績を積んで意欲がある人には積極的に機会を提供していきたいと思っている。可能な限りできていると思いますし。逆にこちらから機会を用意して、本人の変化を引き出すこともあります。

理想のエンジニアとは理想の環境にある


― 事業計画に則った業務を中心に、挑戦していけるエンジニアを育てているという印象ですね。ということは、業務として、評価にからめて理想のエンジニア像に近づけていくようなところはあるんですか?


片野:
例えば人事制度として目標設定する際に、前クォーターと同じレベルの仕事しかしなかったら達成できないように注意してますね。必ず右肩を少しだけ上げる。でも上げすぎてしまうと達成できないので、今よりも少し背伸びだったり、チャレンジするというところを設定しています。

仕組みとして、チャレンジし続けなければ目標達成できないようにしている部分はあります。責任ある行動さえ伴っていれば、どんどん技術や職種の幅を広げる挑戦をしていってほしい。

メンバーが背伸びしてチャレンジをして、プロジェクトの目標が達成できること。そのために目標設定とチーム体制を整え、サポートすることが最も大切な役割だと感じています。チャレンジして改善した部分があれば、プロジェクトの目標達成だけにとどまらず、きちんと評価します。全体のプロセスも見ていますので。

末原:
部門として取り組んでいくべき技術だったり、将来に向けて投資していくべきことに挑戦したのなら素晴らしいことですから。当然、会社の業績を重視すべき時もあるんですよ。でも私としては、「やってみたい」と思ったことはぜひ実行してほしいと思っているんです。

実際の現場でも、基本的には“いいからどんどんいけ!”って言っちゃいますしね(笑)。理想のエンジニアという姿を言語化するのは必要かもしれませんが、やっぱり管理職としてエンジニアたちに提供できるのはそこ。

手を動かすメンバーが気持ちよく仕事をして結果を出せるように、最大限の環境や刺激をあたえるのが役目ですし、それを利用して成功体験を積むことが理想のエンジニアなんじゃないかと思う部分もあります。挑戦した結果がサービスに結びついたりって、エンジニアとして最高に嬉しい瞬間ですから。

― 理想のエンジニアっていうのは明確じゃなくて、もしくは一人ひとりにあって、挑戦できる環境を得られることこそが、理想のエンジニアである。すごく真理だと思います。その環境を得られる人であることが、まずは目指していく所かもしれませんね。ありがとうございました。


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[取材・構成]城戸内 大介  [文]平野 潤




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