Tokyo Work Design Week 2014 連載イベントレポート第2弾。『サラリーマンの逆襲』をタイトルに、サラリーマンの”新しい働き方”を考えるカンファレンス。会社に仕えるのではなく、会社を使えるものにする。新しいサラリーマン像を実践する登壇者たちに注目です。
未来の働き方を作る祭典「Tokyo Work Design Week」。11月22日(土)に行なわれた「“新しい働き方” を発見する8時間ブートキャンプ」。そのプログラム内の『サラリーマンの逆襲』をレポート。
フリーランス、ノマドワーカーなど、“新しい働き方”が増える昨今。普遍の肩書きである「サラリーマン」の“新しい働き方”を考える本セッション。会社に「仕える」のではなく、会社を「使える」ものに変えると、サラリーマンだからこそできる社会への貢献が見えてくる?登壇者たちが当日語った内容を、トピックスで紹介する。
[登壇者紹介]
・高橋 大就氏
オイシックス株式会社 執行役員 海外事業部長
・小杉 俊哉氏
THS経営組織研究所代表社員/慶應義塾大学SFC研究所上席所員
・刈内 一博氏
野村不動産株式会社/新宿360°大学
・羽渕 彰博氏 [モデレーター]
株式会社パソナテック ハッカソン芸人
最初に登壇したのは、オイシックスにて執行役員を務めている高橋大就さん。高橋さんは、オイシックスで働きながら、東北の食を支援するNPO「東の食の会」を運営している。パラレルキャリアを実践する上で「やるか、やらないのか」の視点が重要だと語ってくれた。
「新しい働き方を分類すると、ベンチャー企業と大企業、組織や個人といった縦軸で整理でき、アントレプレナー、イントレプレナー、ノマド、などがあります。しかし、これから大事だと思うのは、行動するか、しないかという視点での働き方の分類。すると、職種名ではなく「実践者」「評論家」「傍観者」に分けられると思うんです。
日本には「実践者」が少なかったのですが、ファンドをやりながら週末は医者をしている人や、NPOに参加している人の中に、おもしろい「実践者」が増えてきていると思います。
たとえ会社組織の中にいたとしても、会社員としてリーダーシップを発揮して行動すれば、「実践者」になれると考えています。つまりは社会問題に対して、会社を使っていくという考えですね。これまでは会社に「仕える」ものだった。これからは自分からリーダーシップをとって会社を「使える」ものに変えていくことが大事だと思っています」
続くのは、元アップル人事本部長、現在は慶應義塾大学SFC研究所上席所員であり「起業家のように企業で働く」の著者である小杉さん。著書に掲載した起業家たちを紹介しながら、会社員でも起業家精神を持って挑戦すれば規模の大きなことができると語る。
「起業家は、自己責任のリスクが大きい。できるかできないかを考えてしまったら普通はできないです。なので、やってみようかなと迷う人は向いていないんですよね。
比べて、会社員として社内で起業することはリスクが少ない。会社のリソースや社内外のネットワーク他を活用して、自分のやりたいことができる。そんな恵まれた環境を活かすかどうかは個人次第ですが。
とはいえ、社内起業は承認を得にくい。成功している多くの人は、外部を巻き込み、既成事実を作ることで成功させていますね。また、自分のためではなく会社のため、国のためという大義のために動いているという特徴があります。そのため、ビジョンがあればやってしまう方がいい。出る杭は打たれますが、出過ぎた杭は引っ張られるのも企業なんです」
分譲マンション「PROUD」の商品開発の一環として、社内にて「かやぶきの里プロジェクト」を起案したイントレプレナー刈内さんの登壇。現役サラリーマンとして、都市と農村をつなぐ同プロジェクト活動における社内を巻き込む苦労話や、その経験の中で掴んだ「イントレプレナーの心得」について紹介した。
「かやぶきの里プロジェクト」は、今でこそ良い活動と認められてきましたが、最初は大変でしたね。会社は実益がないことや、前例がないことは、なかなか承認しないもの。とはいえ、明確にダメという理由もない。言ってみてば空気が拒否しているような状態なんですよね(笑)。
そのため、広報誌で特集を組んだり、社員研修としてバスツアーを組んで、100人近い社員にボランティアで茅葺き小屋作りに汗を流してもらいました。すると、会社に戻った社員が言うんですよね。「なんかよくわからずに連れて行かれたけど、あのプロジェクト良かった」とか。こうして地道に理解を求め続けた結果、プロジェクトに対する社内の空気が変わり、かやぶきの里プロジェクトが市民権を得るに至りました。
それらの経験を通して得た、イントレプレナーとしての5つの心得はこちらです」
1.会社リソース(お金、人、ノウハウ、信頼)を活用して活動にレバレッジを効かす
2.自分がやりたいこと、会社が求められること、社会が求めること、の公約数からテーマを決める
3.タスクがダメなら他部署でやる。他部署でダメならスカンクワーク(課外活動)でやる。それでもダメならプライベートでやってみる
4.「手続き決裁」がダメなときは、まず「空気決裁」をとりにいく
5.出逢い、学び、アイデアは、それだけでは価値を生まない
それぞれの発表が終わると、最後は全員でディスカッションに。経歴も所属もまったく違う、登壇者たちが共通して行き着いたのは「やるのか、やらないのか」というメッセージ。来場者からの質疑応答も時間いっぱいまで行なわれ、「サラリーマンの逆襲」は盛況のまま幕を閉じた。
「やったことより、やらなかったことの方が後悔する。特に東日本大震災を経験して強く思いましたが、とにかくやりたいことをやる、ということが重要。やりたくないことをやってる暇はないのではないでしょうか(高橋)」。
「皆さんに改めて伝えたいことは、「出逢い、学び、アイデアは、それだけでは価値を生まない」ということです。是非アウトプットをしてください(刈内))」。
「興味関心に蓋をしないことが大事です。色々なものに手を出して、動いてみて、それから、考えればいいと思うんです。そこに制約条件があるなら、その時なんとかすればいい。とにかく動いてみましょう(小杉)」。
編集 = 手塚伸弥
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