CAREER HACK初のオフラインイベントを開催!「新しいキャリア」や「働き方」をテーマに、リアルの場にゲストをお呼びし、来場者の皆さんと深堀りしていきました。一体どんな話が飛び出しのか?書き起こし形式でお届けします。(読了時間:約10分)
[記事ハイライト]
・登壇者プロフィール
・CAREER HACKが、この3名を取材しようと思った理由
・人生で大事だと思うところに熱量と命を向けないと失礼
・本業にフィードバックされていく、個人のプロジェクト
・異業種からWEB業界へ。活かせる本質的なスキルとは?
・広報とは、会社やサービスの共感者を社外に作る仕事
▽カズワタベさん(ウミーベ CEO)
洗足学園音楽大学を卒業し、自身が結成したクラブジャズバンドのリーダー/ギタリストとして活動。その後、東京でGrow株式会社を創業。2013年に独立し、フリーランスに。2013年末に福岡県に移住し、2014年8月にウミーベ株式会社を創業。現在、最初のプロダクトをローンチすべく、アプリを開発中。東京、福岡2拠点生活と場所にとらわれない働き方を実践。
▽前田裕二さん(DeNA)
『SHOWROOM』総合プロデューサー。UBS証券株式会社に入社後、日本の国内機関投資家向け営業を担当。1年後、ニューヨークにて北米機関投資家向け営業に。起業のアドバイスを受けるためにDeNA南場智子氏にプレゼンしたことがきっかけでDeNAに入社。外資系金融企業からWEBサービスのプロデューサーにキャリアチェンジ。仕事だけではなく、人生において多くの逆境を経験し、その逆境をはね除け、キャリアの可能性を広げる努力を実践。
▽櫻井友希代さん(元クックパッド 広報)
PR会社に新卒で入社。2年間、さまざまな業種、クライアントのPRを担当する中で、「自分が心から信じられるサービスを世の中に広めたい」と考え、2007年に当時、社員数20名弱のクックパッドにジョインした。そこから7年間さまざまな経営課題に沿った広報として活躍。2014年夏、次の成長を目指すためにクックパッドを退社。これまでロールモデルが存在していなかった「スタートアップベンチャーの広報」という職種において、役割を新たに定義し実践。職種の枠を超え、自ら仕事を作り、新しい価値を創出。
松尾(CAREER HACK 編集部):
まずは皆さんをCAREER HACKが取材させていただくことになったきっかけをお話させてください。
カズワタベさんは、もともとすごく面白い方だなと、Twitterで個人的にフォローしていたんですよ。そしたら福岡に移住されたということで、僕、福岡出身なんですね。で、すごく福岡のことよく言っていただけたり、個人的には福岡のスタートアップ支援みたいなのも盛り上げたいという思いがあったり、これはぜひ!と。
前田さんを知ったきっかけは、他メディアで「南場さんが5年待って口説いたという男」ということで名前が出ていて。この男は誰だ?というところで、リサーチして取材させていただきました。
櫻井さんは、「クックパッドを退職する日にCAREER HACKで記事を出す」という提案をいただいたことがきっかけでした。CAREER HACKで何度もクックパッドを取材させていただいてたんですけれども、そこで窓口になっていただいたのが、当時クックパッドだった広報の櫻井さんだったんですね。退職エントリ的な記事を手がけるのも2度とはないだろうなということで取材させていただきました。
本日はよろしく願いいたします。
松尾:
今日のテーマですけど、「キャリアの可能性を広げる実践」と、けっこう固いテーマに見えますが、もう少しラフに、キャリアをどう捉えているのか?その捉え方は皆さんのなかでどう変わってきたか?登壇者みなさんとのセッションで考えていけたらなと思います。
まず最初にCAREER HACK編集部からいくつか皆さんに質問させていただいて、そのあと会場の皆さん、そしてschooの皆さんから質問に答えていただくという流れで進めたいと思います。
まず最初に伺いたいのが、キャリアの選択についてです。キャリアって結構、「3カ年計画」みたいに、たとえば「新卒で入った会社3年で辞める」みたいに計画していく方がいたり、声がかかるなど何かのきっかけで自分のキャリアを変える選択をされたり、いろいろな方がいらっしゃると思うんです。皆さんは、ご自身、どういうきっかけ、考え方で、キャリアを積まれてきたのか。その選択について伺えればと思うんですけれども。それでは最初に、カズさんから。
カズワタベ:
僕の場合ですね、行き当たりばったりなキャリアの選択をしていまして、ミュージシャンからスタートアップをやって、そのあとフリーランスをやって、スタートアップに戻ると。まあ、よくも悪くもすごく飽きっぽいところがあるので、そのときそのときで興味の対象が変わっていく。で、これやりたいなと思ったときに、割と我慢ができないタイプなんですね。
なので、そのやりたいことというのが、もしかしたら個人でやったほうがいいのかもしれないし、フリーランスという立場でやったほうがいいのかもしれないし、今回みたいに法人、会社立ち上げてやったほうがいいかもしれないし、場合によってはNPO法人かもしれないし。
なので、よく、「起業とかするの、すごいね」みたいに言われることはあるんですけど、僕の中では企画が思いつくのが先なんですね。
1人でできることだったら、別に個人でやっちゃえばいいですし。もしくは、チームを作ってとか、何かしら資金調達をしてやるとかってなったら、株式会社という選択肢だってあるし。
まだ会社員になったことがないので、会社員というキャリアの部分は、全くコメントができないんですけれども、何かプランが思いついて、企画が思いついて、それをやるうえで自分がどういう立ち位置で、どういう組織とか、どういうチームで動いたらベストなのかというのを考えた結果、そうなってたという、ちょっと結果論じみたところが強いです。
松尾:
結構、自分がこれまで選択してきたものに関しては、あまり後悔しなかったりするタイプですか。
カズワタベ:
僕、一切後悔しないですね。時間って戻らないので。未来の糧になればいいと思っています。
松尾:
ありがとうございます。じゃあ、続いて前田さん、お願いします。
前田:
キャリア選択で重要視していることなんですけど、自分にとって二つしかなくてですね。
一つは、人生において自分に何が一番重要なのかを必死に見極める。これが一番重要だと思ってます。で、見つかったら、もう、そこに対して誰よりも愚直に熱量をぶつけると。この二つに尽きると思っています。
私個人のケースでいくと、もともと実はビジュアル系バンドを大学のときにやってまして、「実は」というか、見た感じそう見えると思うんですけど(笑)。「そうだよね」という感じの反応がすごい楽しいんですけど。結構ですね、一生懸命やってました。
で、アメリカに行って、働きながらちょっとバンド活動は続けてたんですけど、ドラムとかやっていて。一緒にバンドをやっていたメンバーが、アメリカにいるときに亡くなるということがありました。
それが、自分のキャリアチェンジの大きなきっかけになって、アメリカでウォールストリートって、いわゆる金融の仕事していて、苛酷な環境というか、普通にリストラとかも日常的にあるところで。チームも最後、私1人がサバイバーみたいな感じだったんですけれども。それで、全米投資家を1人でカバーしながら思っていたことは、「本当に、自分が世の中に対して出してる価値というのは、自分の人生を通じて世に問いたい価値なのか」と、モヤモヤ考えてたタイミングに、バンドのメンバーが亡くなるということがあって。
で、すごい死を身近に感じたというか、明日死ぬかもって本気で思ったというのがあります。そう思ったときに、1秒でも早くこの仕事を辞めて自分が本当に人生で大事だと思ってるところに熱量であったりとか、自分の大事な命であったりを向けないと、自分の人生とか、命とか、家族とかに対して、失礼だなとすごい感じたというのがありました。
そこからの転換は早くて。いわゆる亡くなったという事実を受け止めるまでに時間はかかりましたが、そのあとすぐに大学時代にしたためていた「起業ノート」みたいの取り出して、アイデアをもう1回膨らまして。やっぱり、自分にとって代替不可能な、自分にしか生めない価値を0から1で作るということが人生で一番やりたいことだと自分で見極められた。
なので、投資家にアドバイスして、投資家により多くの利益をもたらすビジネスモデルより、自分が何もないところから、0から新しい利益や幸せ、雇用を創出するほうが、自分の人生にとって、生きがいを感じることだなと事業アイデアを考えて。100個ぐらい考えて、その中で一つ、二つ、三つ、自分の中で自信のあるものを選んで、DeNAの南場にぶつけたというのが、DeNAへの入社経緯につながってまいります。
繰り返しですけども、自分にとって何が重要かを見極めて、あとは頑張る。以上!みたいなふうに考えてます。
松尾:
結構、大学のときに起業ノートを書かれてたということだったんですけど、起業意欲というか、そういった感じはもともと持たれてたんですか。
前田:
大学の時、もともとやりたいという思いはあって、大学のゼミで仲いい友だちと2人でやろうみたいな話はしてたんですけれども。やっぱり、お互い気になるものがあって。彼の場合は、国家公務員になりたいと言っていて、僕の場合は、外資系の金融機関に入って、きっと世の中のサラリーマンでも、最も厳しい過酷な環境であろう場所で成長したいという思いがすごい強かったので。で、お互いそこに入ってみて、まずは目先の成長という感じでしたね。
松尾:
ありがとうございます。じゃあ、櫻井さんどうですか。
櫻井:
私の場合、キャリアの選択は、「出会いと直感、わくわく」です。大学時代から広報になろうということは決めてました。そこから10年近くずっと広報をやってるんですけども、「会社」と「人」というものとはやっぱり、出会い、タイミングがすごく重要だと思うので、自分が心から一緒にいてワクワクできる人たちと、彼らのやりたい事業というのを、広報という裏方の役割を通じて、どれだけ応援できるかな?というところを重視し、毎回選んできているような気がします。
松尾:
何で広報をやろうと思ったのでしょうか。一番最初に。
櫻井:
大学時代、芸術系の学校で、広告の勉強をしていたんですね。そうすると卒業後、みんな広告代理店とかに行こうとするんですけど、その中で広報の授業がありまして、広報というのを知ったときに、広報も一つ、「人にものを知ってもらって買ってもらったり、心動かす手段の一つ」で広告、広報、販促、マーケティング、全部、横並びの一つなんだなと知って。その中で広報自体はすごくこれから伸びるんじゃないかな、と。あと自分に向いてるような気がしたという、勝手な思い込みがありました。で、「私はもう広報だな」って決めてずっと今まできて。
なりたいものを決めている学生だったんですよね。中学校の頃はファッションのバイヤーになりたいと思ってましたし、高校のときはCM作る人になりたいと思って、芸術系の学校に行きました。直感で、思い込みで選んできているように思います。
松尾:
ありがとうございます。皆さん直感だったり、人がきっかけだったり、もともと持たれてる自分自身のマインドセットみたいなものが影響してるのかなというふうに思いました。
松尾:
続いて個別に質問させてください。一番最初はカズさんへの質問。
スタートアップの経営だけじゃなくて、「Pictathon」という、ピクトグラムとハッカソンをかけ合わせたイベントを継続的に行われていて。ちょうど先週末も行われているということだと思うんですけど。どういうきっかけで始められて、継続してらっしゃるのでしょうか?
カズワタベ:
Pictathonというイベントに関して言うと、2013年に初回をやって、3カ月に1回ずつぐらいやっています。で、先日やったのが第6回になります。
もともと、ハッカソンというのがよくIT業界はありまして、エンジニアが腕を競うんですけど、それのデザイナー版をやろうというのが一番最初で。
内容としては、デザイナーが大体30人ぐらい会場に集まって、その日、その場で出されたお題に対し、ピクトグラムを制作して競うイベント。男女のトイレのマークとかみたいな感じのアイコン、シンプルな造形で表現されたものをピクトグラムと呼ぶんですけど。
はじめたきっかけは最近NewsPicksにジョインした、「ビジュアルシンキング」というデザインに関するトピックを扱うブログの櫻田さんという方が、自分のブログでIconathonというのを紹介してたんですね。
シリコンバレーでピクトグラムのダウンロードサービスやってる「The Noun Project」というプロジェクトがあって、そこの人たちがIconathonを主催しており、その「Iconathon」を東京でやろうと櫻田さんとお話しして。
「Iconathon」はデザイナーさんが集まって、ディスカッションするみたいなイベント。こういうものをピクトグラムで表現するためには、どういう造形がいいかとか、どういうモチーフがいいか?ちょっとサロン的なイベントだったんですけど、ちょっと面白くないなと思って。
で、商品とかあったら盛り上がるじゃんみたいな話を飲みながらして。もう内容はアレンジしちゃって、名前も変えようと「Pictathon」という名前にしました。1回やってみたら思った以上によかったんですね。
松尾:
じゃあ、そんなに最初は続ける気は、あんまり考えずにはやられたという。
カズワタベ:
はい。1回やってみたら、このイベントは面白いぞって継続的に続けるべきだと思ったのが一つ。あとはピクトグラムは、もともと日本だと、1964年の東京オリンピックのタイミングで普及したんですね。海外の方がたくさん来るので、言語じゃなくて、非言語のコミュニケーションツールとしてピクトグラムが普及した。で、2020年にまたオリンピックが決まって、ピクトグラムの重要性は、また認められていくんだろうなということを思ったので、2020年までは続けようと思ってるんですけど。
松尾:
まだ数年ありますし、続けるのは大変そうですね。
カズワタベ:
3カ月に1回なので何とかなるんじゃないですかね。参加者の方々からすごくポジティブな反応をいただけてるので、これは続けたほうがいいと思ってますし。あとは今、会社始めたので、デザイナーさんのリクルーティングもやりやすいだろうなと、ちょっとした下心もあったりしつつやっています。
松尾:
本業とは最初は結びつかないプロジェクトをやられて、継続されていくということだと思うんですけど、そこで本業にいい影響を及ぼすようなことってもう既にあったりしますか?
カズワタベ:
会社ははじめたばかりなので、そちらへの影響というわけではないですけど、僕はデザイナーじゃないんですけど、デザインの仕事とをやりつつ、フリーランスやっていたので、信頼感というか、デザイン思考の部分で「あ、運営してるし、ちゃんとしてるんだろうな」みたいなポジティブな受け取られ方は増えていると思います。
あと朝日新聞のほうで、デザインというテーマでの連載があったんですけども、その1回に記事を載せていただいたり。そこからイベントに興味持ってくれる人が増えたりしたので、本業でのフィードバックという意味では、これからのほうが多分あるんだろうなと思います。
松尾:
続いて前田さんに質問させてください。今、WEB・IT業界ってどんどん大きくなって、日本でも次なる主要産業はWEBといった意識を持つ方も多いと思います。
前田さんのように他業種から転職されるという方も増えているのかな?と。そこでぜひ伺いたいのが、外資系金融からDeNAという日本を代表するWEBの企業にいかれて、前職の経験がSHOWROOMのプロデュースに、活きていたりすることってあるのかな?というところが伺えればと。
前田:
結論から言うと、大いにあるというか、今、SHOWROOMが成長してる理由と、私がニューヨークで結果を出して生き残っていたということは、本質的には全く一緒だと思ってまして。
一応二つあるかなって、ぱっと今思ってます。
一つは、成功体験をニューヨークで積んだというとこで、自分に自信ができたこと。あともう一つは、一応、営業だったので、営業の本質を理解できたというか、営業力がすごい高まったかなと。
最初は恐れがあったというか、帰国子女でもなく、お客さんがいきなり日本人から外国人になって、英語でセールスをしなきゃいけなくて。ウォールストリートって世界中でも最も頭のいい人たちが働いてそうなイメージがあったので、その中で頭も使って一番になるのは、すごくハードルの高いことだと思ったんです。でも、まあ、そうでもなかったみたいな(笑)
語弊があるかもしれないんですけど、日本で感じる難しさだったり、チャレンジだったりと質が変わらないという感覚をすごい感じました。冒頭で「がんばる」ってお伝えしたんですけれども、愚直に他の人がやらないけど、当たり前でやるべきことを毎日続けていると、ハーバード出身のすごいイケメンの同僚がいたんですけども、余裕で彼を駆逐できると、ダブルスコアという感じですね。
なので、一生懸命努力すると結果が必ずついてくる体験を、日本でしてきたけど、これは世界中どこ行っても一緒だな、と。私は特殊能力や才能がないタイプなんですけれど、一生懸命頑張るというところで、結構、世界でもトップレベルで戦えるんだなという体験を得たことが、例えば、取引先と打ち合わせをしたり、交渉の場においたり、すごい自信になっていて。「絶対、あなたに得させるよ」って本気で思ってますし、お互いにとって必ずこの取り組みはWin-Winになる自信がカラダの底からわき出てくる。営業失敗しないですよね。その自信がつきました。
で、二つ目につながるんですけど、基本、日本株をアメリカ人に売るということって、すごくチャレンジングで、全然見向きもしてくれないんですよね。「そもそも日本株高いじゃん」とか、日本株に関してわからないことが多すぎて、「調べてもよくわからないし、もうやらん」みたいな状態で。
日本株いいよ、こんなのもあるよ、みたいなハードルが高いなかで、「どうやって買ってもらうか」ということに対して挑戦してきたことで、自分のスキルが明確になったと思っています。
本質ってたくさんあるんですけど、営業って多分に属人的だと思ってまして、「プロダクトを買いたい」と思わせる以前に、「前田くんが言うなら買います」みたいな状態に持っていくことが非常に重要で、その力が身についたというのがありました。
あと、営業するとき、手持ちのカードを切っていくんですけど、カードを何枚持てているか?すごく重要で、相手の顔色、声のトーンを窺って、出すカードを決めていて。そのカードがめっちゃ増えたと。何で僕が人より多くカードを持ってるかといえば、投下労働時間が長いからということがあるんです。そこは一生懸命努力してるから、人よりカードが多くて、結果、勝率が高いという感じで営業力もついたという感じですね。
松尾:
DeNAって結構いろんなところからグローバルに人材採用されてたり、活躍されていたりすると思うんですけど、ずっとWEBの業界で経験積まれてきた方と、前田さんのように異業種から来られた方。その違いみたいなものって何かあるんですかね。
前田:
もともとプロパーで入った社員という意味でしょうか?
松尾:
そうですね。
前田:
プローパーで入って成長してきた方のフェーズにもよるかな、とも思うんですけれども。例えば、それこそ今、弊社のマネジメント陣にいるのは、もともとECで営業をしてたりとか、DeNAがまだ黎明期だったころに、ものすごい結果を現場で出していたりとか、そういう方々が多かったりして。
私が申し上げた話に似ているかなと思っています。もう、本当に廊下ですれ違うだけで、ほとばしる自信が湧きだしていて。もう「自信が歩いてる」みたいな感じの人たちなんですよね(笑)
一方で、プロパーで入ってきた1年目、2年目とかの社員に関しては、まだまだ自信というのを築き上げてるフェーズなので、そこを外から入ってきた方々と比べると、やっぱりまだ足りないかなとは思ってますね。
ひとつ補足すると、異業種とプロパーの比率でいうと、異業種の人たちが全然多くて、世界中から最強人材を採用しているという印象はすごく強く持っています。
松尾:
つづいて、櫻井さんへの質問なのですが、クックパッドという会社の広報部門の立ち上げからやられて、「テクノロジーならクックパッド」みたいな見られ方もされるようになりましたよね。採用にも強い。一般消費者の方にも「クックパッドはこういう会社」という部分を打ち出していった。
いろんな方面で広報という仕事を作られてきた、という印象があります。攻めの広報としてどんな動きをされてきたのか、具体的な話を伺えればなと思うんですけど。
櫻井:
まず最初にちょっとお伝えしたいなと思ったのは、よく「メディアとの関係性、どう築けばいいですか」というご質問いただくことがあって。メディアとの関係性から入るというより、広報のミッション自体、会社やサービスの共感者を会社外に作る仕事だと思っていて、そのために簡単なフレームワークは一つあります。
これは「誰に、何を、どうやって伝えるか」その三つだけ、割と毎回、シンプルに考え、いろんな広報の秘策を考えていく。それを考えた上で、最後の「どうやって伝えるか」のところで、いろんなメディアさんとの関係性であったり、ソーシャルメディアだったり、アプローチをしたりしていくんです。
そこがないままに、テレビ関係者とつながりたいを持ちたいとか、雑誌で自分たちの記事を出してほしいとか、そこだけを考えてしまうと、やっぱりアンバランスで。売り込みは相手に歓迎されないものになってしまうと思うんですね。関係性を作ることで記事や番組に出してもらえるという考え方だと、やっぱりうまくいかない。まず、このフレームワークを頭において、いろんな施策をやっていただけたらいいなと思ってます。
売り込みという意味では、本当に何でもしますし、どこでも行きます。青森に講演に行ったこともありますし、漁業組合みたいなとこで講演したこともありますし、何でもするんですけど。
私がクックパッドにジョインした頃、一番の課題は、ビジネス的な知名度が本当になかったんですね。当時、クックパッドの広告主になってくださる食品メーカーさんにアプローチするには、やっぱ流通さんを押さえるべきと考えて、流通系の専門媒体に自分たちのことを知ってもらうチャンスを作ろうと、かなりニッチな専門メディアの方にアプローチしたことがあります。
で、自分たちにできることは何だろうって考えたとき、提供できるネタの部分ですけど、クックパッドって毎月、検索キーワードが大きく揺れるんですね。夏には「カレー」というキーワードがすごく上がったりとか。そういったいわゆるビックデータが、自分たちには提供できると。それを元に雑誌で連載したいというふうに、編集後記など読み込むと、だいたい署名があるので、その方にクックパッドと申しまして…と、いきなりお電話してアポイントいただいて、そこから連載につなげていくみたいな、泥臭いことをしてました。
松尾:
ちなみにクックパッドの前職は、PR代理店で、いろんな業種のPRを担っていたんですよね。そこからクックパッドに転職され、事業会社、且つWEBでスタートアップということもあり、広報の仕方って大きく変わってくると思っていまして。特にWEB業界ならではの広報の面白さみたいなのはどういうところでしょうか。
櫻井:
お金がない(笑)なので、知恵の部分で勝負していく部分はすごく多いのかなと思ってます。まあ大きなタレントを呼んだ発表会とか、やれる会社さんもあると思いますけど、何かすごく違うと感じてやっていたことは特にないですね。何でしょう?どういうとこが違うと思いますか。
松尾:
そもそも広報という役割を担う人があんまりいないというところも多かったり。それこそCEOの方が取材対応したり、そのままメール対応したり。逆に、大きな会社になると広報という役割はだいぶ変わってくるというか。
櫻井:
そういう意味だと、一番経営に近いところで、経営課題を解決するために、広報というカタチで考えて動くというのが、一番シンプルで自分のやってる価値を会社にも伝えやすいところで。反響として会社に貢献しやすいので、そこからブレイクダウンしたことを自分たちの広報のミッションとしてやっていくのがわかりやすいかなと思っています。
松尾:
ありがとうございました。CAREER HACK編集部からの質問はこのあたりで終わらせていただいて、ぜひここからは会場の皆さん、schooをご覧のみなさんからの質問コーナーに移らせていただければと思います。
▼書き起し後編はこちら
編集 = CAREER HACK
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