熊本に住む大学生であり、ハヤカワ五味やきゅんくんのマネージャー、さらにはスタートアップの広報、そして7月よりQREATOR AGENT佐藤詳悟氏の秘書に!マルチに活動する大﨑祐子さんの働き方に迫る!なぜ彼女はリモートワーク、そして新しい働き方にチャレンジするのだろうか?
大﨑祐子さん(@koooooorin)は熊本在住の大学4年生。
普通の女子大生と違うのは、WEB・クリエイティブの世界でマルチに活動していることだ。「ハヤカワ五味」「きゅんくん」といった女性クリエイターのマネージャー(※ハヤカワ五味さんに関しては2015年6月にマネージャーを卒業)であり、株式会社Casterの広報、7月より株式会社QREATOR AGENT佐藤詳悟氏の秘書としても働いている。もともとのきっかけを大﨑さんはこう語る。
もともと東京にあるfestivo(起業家支援の団体/一般社団法人)の学生アンバサダーとして東京の代表とFacebookメッセージとかでやりとりしていて。そこからイベントの企画をしたり、運営をしたり、いろいろと経験することができました。
こういった経験を通じて「企画書の書き方」や「報連相」など社会人としての基礎を学び、東京の人とリモートで一緒に仕事をすることにも障壁を感じなくなったそうだ。さらにはブランドプロデュースなどを行う四角大輔さんのクリエイティブチーム「T4」でインターンとして働きはじめた頃から、クリエイティブな領域に活動の幅を広げていくようになった。
オンラインツールを駆使したリモートワーク、クリエイティブな活動、そして学生…全てをこなす彼女。ワークスタイルと共に、大﨑さんを突き動かす原動力に迫った。
― 熊本に住みながらリモートで仕事もしているということですが、具体的にはどのようなことをされているのでしょう。
マネージャーの仕事でいうと、メールをチェックして返すとか、請求書をつくるとか、カレンダーを見て予定を調整するといった仕事ですね。
「活動の幅は広げたいけど、制作にも集中したい」そういったクリエイターからすると“自分でやるのはちょっと面倒くさい”という部分をサポートしています。私は、段取りだったり、タスクを組み立てて処理したり、コツコツやるのが得意なので。
あと、自分で運営している「リモートワークを頑張る女子大生のブログ」の記事が拡散されたのもあって、そこから広報も任されるようになりました。今、株式株式会社Casterという会社で広報を担当していて、そこはまさに「オンラインアシスト」というサービスを提供しているんです。経理・人事・秘書など個人事業主や経営者が抱える細かいタスクを、優秀なバックオフィス人材がオンライン上でアシストする。
創業まもないですし、このサービスを知らないまだまだ人も多いので、認知を広めるために記事を書いたり、クライアントにインタビューをしたり…もうホントにいろいろですね(笑)
― すごくマルチに活動されていますよね。とくにWEBやスタートアップに積極的に関わっていて。もともとそういった業界に興味があったのでしょうか?
いえ、自分でいうのもヘンですが、ホントに普通の大学生でした。…正直、最初はWEBとかITってあまり好きじゃなくて。ITとかWebに対して苦手意識があったし、色々とスタートアップ系の人や起業系の人たちに対して誤解をしていました(笑)
大学1年生の頃はTOEICとか、行政書士とか、わかりやすい「武器」を探そうとしていましたね。「何か将来役立つ資格を取ろう」みたいな感じ。それが「自分だけの価値になる」と思い込んでいたんです。
…でも、結局、なぜその資格が取りたいのか?根拠がないからモチベーションが維持できませんでした。資格は手段なはずなのに、それが目的になってしまったんですね。自分は何者になりたいのか。そこから自分が成長できる場を学外に求めるようになりました。
ちょうど『ワーク・シフト』や『ワーク・デザイン』などの本が発売され、新しい働き方が注目されはじめていて。どう考えても「時代のシフトに疎く、なんとなく流されて生きる」より、「知識を積極的に得て戦略的になる」のほうが生き残る確率が高い、どんな業界に行ったほうがこれから有利に、かつ楽しく働けるかを考えはじめて。そこからWEBやスタートアップ界隈のイベントなどに参加するようになりました。
― 「これからの時代、どう生き残っていくか」という視点から、WEBやスタートアップに携わるようになっていったということでしょうか?
最初はそういった側面もあったかも…ただ、どんどんやりがいやおもしろさを感じるようになって。なによりWEBやクリエイティブの世界にいる人たちって多様性を受け入れてくれますよね。
地方は土地柄的にもどうしても保守的なところがあって、もともと通っていた高校が地方の進学校だったのですが、そこでは「将来は省庁で働くか、医者になる。それこそが目指すべき正しい道」という世界でした。
私もそのルートを目指したのですが、どうしても理数系科目の点数を伸ばすことができなくて…いわゆる「落ちこぼれ」だったと思います。人生ではじめての挫折だったかもしれません。
そんななかで、大学に入ってWEBやスタートアップのセミナーやイベントに参加するようになって。15歳で起業した吉田拓巳くんにあったり、四角大輔さんのところで働かせてもらったり、価値観はどんどん変わっていきました。
最近よく「失敗したらどうするの?」とか「ITとか不安定な業界、大丈夫なの?」みたいに聞かれることも多くなったのですが「失敗してから考えればいいや」みたいになって。この業界にいたらそれが当たり前だから。
「失敗したらどうするの?」「こわくないの?」って昔は私がIT系の人たちに聞く側だったんですけどね(笑)すっかり変わっちゃいました。
― ただ、正直、東京のほうがWEBやスタートアップ界隈の人たちともつながりやすいですし、プロジェクトも進めやすいですよね。
それはありますね。
東京でばっかりMeetupやイベントをやっててズルい!とよく思うんです(笑)でも、熊本に住んでいる私なりにできることをやろう!という気持ちもあります。月1回くらいのペースで東京に来て、仕事の話を進めたり、人を紹介してもらったり。
熊本では業務に集中して、考える時間をじっくりとって、リモートワークのノウハウを貯める。切り替えがしっかりできるのでいいことも多いです。
― そう思うと地方学生のリモートワークはキャリアの選択肢を広げる上でも良さそうですね。
ただ、落とし穴もあって、リモートワークで任せてもらえることは増えていますが、同時に仕事内容によっては「安く、早く」が目的のもの、単調作業・処理業務も多い。人脈を広げるような仕事ができないこともあります。だからこそ、「自分はどんなキャリアを歩みたいか」「どうなりたいか」をちゃんと考えながら取り組んだほうがいいと思います。
― なるほど。地方に住む学生でも、大﨑さんのように活動できれば、就活も優位になりそう…と思ったのですが…。
うーん…たしかに就活では優位に働くかもしれませんが、普段の実生活はすごくマイノリティ。地方に暮らす学生ほどFacebookとかTwitterをやっていなくて、LINEで仲間とだけつながっていればいい、みたいな人もいて。「情報ソースが少ない」ということをあんまり自覚していないケースが多い。地方は野心のない人が多いというのもあるんですけど、東京にいればいるほどみんなネットを使うし、人と会って新しいことにチャレンジしたりしていますよね。だからこそ就活をがんばろうと思ったら、地方学生こそ自ら情報を取りにいく姿勢がないと難しいと思います。
― 大﨑さんは、ご自身のバリューをどう捉えていますか?どんな場で活躍できそうか。
競合がいないところを意識する、ブルーオーシャン戦略的(笑)なところもありますね。たとえば、私みたいな事務処理・バックオフィスが得意なタイプってクリエイターが集まるコミュニティに行くと「浮く」と思われがちですが、実際は重宝されたりするんですよ。
「事務処理や調整は面倒…」というクリエイターも多いから。自分には合わないコミュニティだから…と敬遠するのではなく、能力と働く場所のかけ算で価値を発揮していければいい。ここも考え方次第ですよね。
― 今は学業と並行されているわけですが、大﨑さんにとっての「仕事」ってどんなものですか?また、どういうものにしたいなどお考えはありますか?
そうですね…生きがいに近いかもしれません。あ、あとRPGみたいな感じでレベルが上がって、次のステージに進んでいく感覚。できること、仲間が増えて、会いたい人に会えて…それはすごく楽しいです。
もちろん、仕事はお金を稼ぐ手段ではあるのですが、「できることが増えていく実感」のほうが何倍も価値があること。人生という時間を使っている以上、おもしろいほうがいいじゃないですか。仕事がつまらないなんてもったいない。
たとえば、大学を卒業してから「仕事が全然面白くない。学生はいいよね」みたいになりたくないんです。「きついけど楽しいよ」と言えたほうが私はいいなって思う。社会人になったとしても、言われたことしかできないのは…ちょっとイヤですよね。
なので、今のうちに自分ができることの範囲を広げて「じゃあ、これもやってよ、あれもやってよ」と、どんどん振ってもらえるようになりたいです。
そのために、いろいろとアンテナをはって、チャレンジして。今は学生なので、自分のやれる範囲でやりたいことに一生懸命になれる。ここは学生ならではの特権かもしれませんね。
― 地方に住みながら活動の幅を広げている姿は、学生はもちろん、場所にとらわれずに働きたい人にとって参考になりますし、勇気がもらえたのではないかと思います。本日はありがとうございました。
文 = 白石勝也
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