2017.03.23
OKRとは? グーグル、Facebookも活用する目標+成果「OKRメソッド」徹底解説!

OKRとは? グーグル、Facebookも活用する目標+成果「OKRメソッド」徹底解説!

いまさら聞けない!? メルカリ社をはじめ、国内でも目標設定・管理に「OKR」を取り入れるチームが増えています。そもそもOKRとは? グーグルやFacebookでも導入され、「飛躍する企業の共通項」のひとつとして注目。解説レポートをお届けします。

0 0 728 3

[寄稿者プロフィール]勝木健太
1986年生まれ。幼少期7年間をシンガポールで過ごす。京都大学工学部電気電子工学科卒業後、新卒で邦銀に入行。現場では法人営業、本店では外貨バランスシート経営の企画、グローバル金融規制対応(BaselⅢ、ドッド・フランク法 etc)、各国中央銀行との折衝に従事。外資系コンサルティングファームを経て、2016年12月より監査法人にて、ブロックチェーン技術をはじめとするFinTech領域の戦略立案に従事。

OKRメソッドとは?

まずOKRとは「Objective and Key Result(目標と主な成果)」の略で、チームや個人の目標を明確化する仕組みのことを指します。グーグルをはじめ、数多くのグローバル企業で導入される業績管理手法のひとつです。

開発したのはインテルのCEOだったアンディ・グローブ氏。2015年8月に刊行された書籍『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』の中で「OKR」は次の2つの質問に答えるものと説明されています。

1 自分はどこに向かおうとしているのか?(目標)
2 その目標に近づいていることをどう把握しているか?(前進していることを示す主な成果)
(※1)引用:P115


国内では、急拡大したメルカリ社が導入していることでも知られています。

なぜメルカリは、プロダクトチームのリソースを90%以上もUS版に割くのか?
https://careerhack.en-japan.com/report/detail/755

「メルカリでは、目標設定の際にOKRを採用する。1つのO(目標)に対して3つから4つのKR(指標)を設定する手法で、日本でも取り入れているチームが増えてきた。特にメルカリが重要視するのは、KRを極めてシンプルにわかりやすく設定する、ということ」


グーグルをはじめ、数多くのグローバル企業が導入

広く知られるきっかけになったのは、グーグルの取締役を務めていたジョン・ドーアがグーグル社でも取り入れたこと。インテルが活用して大成功を収めている業績管理手法がOKRでした。

(※[設定 → 字幕 → 自動翻訳 → 日本語]にて日本語字幕でご覧いただけます)



OKRとKPIは何が違うのか

OKRと似た概念として、KPIがあります。両者の違いについて触れておきましょう。

まず、KPIは「Key Performance Indicator」の略で、「重要業績評価指標」を意味します。経営を実行する上では、様々な種類の業績評価指標が活用されますが、KPIはその中でも「目標の達成に向かってプロセスが適切に実行されているかどうか」を計測する役割を担います。

一般的には、導入するか否かについては、部門ごとに決定されます。

一方、OKRはより大局的な全社レベルでの目標設定に活用。経営トップを含むあらゆる従業員が例外なくOKRを設定します。

また、業績管理手法としてOKRを用いる場合、「1」を基準に少数で表されます。つまり、OKRが「1」であれば、目標を完全に達成しているということ。実際には、OKRが「1」ということは滅多に無く、「0.6」〜「0.7」くらいの数値が良いと一般的にされます。

そして『ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える』で言及されているのは、「OKRは業績評価に影響するが、評価を決定することはない(引用:P.265)」ということ。つまり自身ではコントロールができない経済動向など「酌量すべき事情」が考慮される、ここが重要なポイントです。

OKRメソッドに取り組むための5ステップ

では、実際にOKRメソッドをどのように運用していけば良いのでしょうか。5つのステップに分けて見ていきましょう(『ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える』よりグーグル社のケースを参考にしています)。


ステップ[1]:Objective(目標)を設定する

まずは目標設定。

目標は次のような条件を満たしている必要があります。

● 野心的であること
● 定量的であること
● 期限が明確であること
● チームでアクション可能であること


特に「野心的であること」というのが重要です。グーグル社でも野心的な目標を立てることの重要性が広く周知されているようで、同社の創業者であるラリー・ペイジは、

「常識はずれの野心的目標を設定して失敗したとしても、きっと何かすばらしいことをやり遂げたことになる」(※2)引用:P.251


と語っています。

ちなみに、グーグル社が出資していることで知られるシンギュラリティ大学も、野心的な目標を打ち立てることを重視しており、MTP(Massive Transformative Puopose)と呼ばれる自社の利益を超える野心的で魅力的なミッションを掲げています。

シンギュラリティ大学の詳細な内容については、こちらのレポートが参考になります。

未来を読み解くキーワード「エクスポネンシャル」とは?シンギュラリティ大学卒、佐宗邦威氏の講演を受けて https://careerhack.en-japan.com/report/detail/739



ステップ[2]:Key Result(主要な結果)を設定する

Key Result(主要な結果)は次のような条件を満たしている必要があります。

● 計測可能で定量的であること
● 目標を達成可能にするものであること
● 目標を優先順位付けするものであること
● 困難だが不可能でないこと



ステップ[3]:全メンバーのOKRを共有する

OKRを運用する上で重要なことは、経営トップから社員に至るまで全員のOKRが公開され、共有されていることです。

グーグルの場合、経営トップを含むすべての従業員が四半期毎に自らのOKRを更新してイントラネットで公開することになっています。

実際、経営トップのラリー・ペイジも四半期ごとに自らのOKRを公表し、全社ミーティングでは彼の設定したOKRに基づいた議論が行われます。

事業部門の責任者も登壇し、ラリー・ペイジの掲げた目標が自らの所属する部署においてどのような意味を持つかについて語るのです。

この全社ミーティングに参加することで、従業員も四半期ごとの会社全体の方向性や優先課題を理解することができ、メンバー全員が同じ方向を向くことに役立っているのです。



ステップ[4]:定期的なコミュニケーションを図る

OKRを設定し、共有した後も、設定した期間が終了するまでの間、全社員が密接にコミュニケーションを図り、OKRの進捗を互いに確認することが重要です。



ステップ[5]:成果を測定する

期が終われば、すべてのOKRの達成度を数値化し、公開します。

概ね「7割程度の達成度であれば良し」とするケースが多いようです。グーグルでは各部門の責任者は、経営会議にて、OKRの数値の根拠への説明が求められます。

OKRなど「業績評価」が重要な理由とは

多くの組織で行われている従来型の業績評価システムは、管理すること自体が「目的化」してしまい、近年では業績管理そのものを廃止するケースも出てきました。

「2012年頃からアメリカ企業において、年次評価を廃止する企業が増えています。ギャップ、アドビシステムズ、マイクロソフト、GE、アクセンチュアなど名だたる企業もすでに導入しており、今後も拡大していく傾向です」

参照:人事評価はもういらない!? 「ノーレイティング」が突きつける評価制度、その課題
http://corp.en-japan.com/success/3434.html(エン・ジャパン 入社後活躍研究所より)


同時に、なぜ、グーグルはOKRを始めとする業績評価が重視だと考えているのでしょうか。

『ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える』の著者であり、グーグル人事担当上級副社長を務めるラズロ・ボック氏は、それは「公平さ」のためであると言います。

「業績評価はツールであり、マネージャーが給与や昇進について決定を下す過程を簡素化するデバイスだ。ひとりの社員として、私は公正に処遇されたい。ほかの誰かの報酬が自分より高くても、その人の貢献度が高ければ気にはならない。だが、同じ仕事をしているのにはるかに高給を取っている仲間がいれば、納得できないかもしれない。適正な評価システムがあれば、そんな心配をする必要はなくなる」(※2)引用:P.268


100社あれば100通りの業績評価の考え方が存在し、グーグルの方法論が必ずしもすべての企業にとって適用可能とも限りません。

しかし、多くの場合、能力主義で公平な企業文化を備えていることは、企業の競争力の高める上で必要不可欠な要素。OKRを導入することは、その実現のための有力な手段のひとつになり得ます。

また、より高度な人事戦略が求められる時代。あらたな管理手法やツール、HRTech領域におけるイノベーションにも期待が高まっています。今後も注視し、ご紹介していければと思います。

参考・引用文献

(※1)『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』

(※2)『ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える』



文 = 勝木健太


特集記事

お問い合わせ
取材のご依頼やサイトに関する
お問い合わせはこちらから