「あ、今日ちょっと暇ができたな」というスキマ時間にバイト!? そんな働き方あり? 21歳の大学生が仕掛ける新しい働き方、スキマ時間のバイト市場を狙う『タイミー』を取材した。
スキマ時間を有効につかいたい、そんなときに『タイミー』が提案するのが「スキマ時間バイト」だ。
ユーザーの「働きたい時間」と、人手が足りない飲食店などの「働いてほしい時間」をマッチング。
面接・履歴書さえ必要ない。働きたい時間を入力するだけで、希望の時間帯に働ける仕事がすぐに見つかる。もちろん即日の勤務も可能だ。
『タイミー』を仕掛ける小川嶺さん(21)は、スキマ時間バイトのニーズについて、こう語る。
「約4000人のユーザーのうち約9割が大学生です。彼らは現状のアルバイトでは満足していない。もっと新しい働き方が必要です。好きなとき好きな場所で働けるアルバイトがあればいいと思いました」
「もっとバイトに入りたい」という学生は多い。
「最近の大学生は、平均して週24.8時間は働きたいと思っているというデータ(※)があります。でも、現実は週に14.7時間しか働けていない。これは、シフトを出しても希望通りに入れないから。人気のバイト先はたくさんのアルバイトを雇っていたり、授業終わりの夜に働ける人が集中して溢れたり。時間はあるのに働ける枠がないと思っている人が多いです。この働きたいのに働けない10時間を、『タイミー』が埋めようとしています」
自分の好きなタイミングで働きたい学生たち。
ただ、固定のバイト先を辞めたいわけではないようだ。
「実際の使われ方としては、足りないバイト時間を『タイミー』で補うような使い方をされていますね。アプリを試験的につかってもらったテスト時では1回の報酬が4000円〜5000円で、4〜5時間働く人が平均です。『半月前にシフトを出さなくても働ける』『すぐにお金が必要』といったニーズに応えています」
スキマ時間にバイトする。意外とも思える利点も見えてきた。
「体験バイトができることも価値だと思います。新卒採用でよくある1DAYインターンみたいな感じ。あとは下見がわりにタイミーが使われることも想定しています。試しに働いてみて、気に入ったら固定バイト先として働いてもいい。体験アルバイトって、早期離職を予防することにもつながると考えていて。55%が6カ月以内に辞めている(※)のですが、試せないからじゃないかと思います」
さらに、実際にリリースして、意外な効果があったそうだ。
「単発バイトで働いた人がそのお店のファンになることがあります。後日、お客さんとして戻ってきたり。良いお店だったと友達に広めてくれたり。マーケティングにもつながっています。このお店で働いたことをあるというOB・OGが増えていけば、いつでも人手不足で困ったときに助けてもらえるエコシステムが生まれていきます」
「面接ナシで働ける」というのはいままでの当たり前を覆すこと。雇う側には抵抗感はないのか?
「その点は『タイミー』の相互評価機能によって解消できると思っています。働き手と企業・雇用主が相互レビュー評価をする。前もって評価がわかれば解決できますよね。スキルを可視化し、誰でも簡単に“採用すべき人材が判断できるようにする”ことは可能だと思っています」
さらに、小川さんは「面接」に対する課題感を語った。
「アルバイト採用において面接という概念自体が遅れていると思うんですよね。面接は求職者と雇用者の双方にとって負担になっています。交通費と時間をつかって面接に行くのは大変だし、雇う側が飲食店なら業務の忙しい合間に面接対応しなくてはいけない。これが当たり前になっていることは良くないと思っています」
他にも「カギ機能」という仕事に必要なスキル条件を絞り込む機能がある。例えば、「レジ打ちの経験が1年以上」という条件をつければ、そのスキルをもった人から応募がくるいうもの。「スタバでのバイト経験者」という具体的なものまである。大学生の9割がアルバイトの経験をしているため、なにかしらスキルや経験を持っている人がほとんどだ。
『タイミー』のこれからの課題は、需要と供給のバランスだ。
「現在は、まだまだ働ける案件が少なく、すべての働きたい人に仕事を紹介できていない。これがサービスとしての課題ですね。約95%の案件は働きたい人が見つかって成立している状態です。ぜひアルバイト採用したい方はお問い合わせください!」
これからの目標とは。
「まずは働きたい人が検索したとき、条件にマッチした仕事が3〜4件必ず出てくる。この状態を作ります。そして、早く全国展開も実現していきたいです。例えば福岡に旅行したときも、『タイミー』をつかえば、すぐに働ける場所がみつかる。いろんなところを旅行しながら、いつでもどこでも働ける世界観を実現したいですね。仕事を通じてその地域や人を知ることができる。お金を稼ぐ以外の価値を『タイミー』で生み出していければと思います」
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文 = 大塚康平
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