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DeNA『Anyca』が、CtoCカーシェア業界1位になるまでの試行錯誤

2018-12-04

DeNA『Anyca』が、CtoCカーシェア業界1位になるまでの試行錯誤

DeNAのカーシェアリングサービス『Anyca』が好調だ。グロースのために、PMの馬場光さんが重視したのは「フェーズによってPMを変える」ということだった。

Anycaは「トンマナ」から決めた

2015年開始の『Anyca』は、今でこそ新規事業の成功例として語られることも多い。

リリースから3年で会員17万人以上、登録自動車は6000台へ。これはCtoCカーシェア業界1位。BtoCを含むカーシェア業界においては、登録台数ベースでは2位の規模だ(*1)。

しかし、過去には「 "絶対に流行らない” と、南場さんにつぶされかけた」 という逸話もある(*2)。

すでに既存プレイヤーがいたカーシェア業界。スピード感を持って進めなければ競合他社に置いて行かれてしまう。

PM馬場さんがまず取り組んだことは、『Anyca』の世界観作りだった。はじめて利用する人でもAnycaがやりたい事を理解できる。そして、その結果ビジネス・エンジニア・デザイナーが同じ方向を向き、円滑な開発が可能になるという。

「まず決めたのがサービスのトンマナです。ビジネスとデザイナーが、事業に対する“想い“や計画を、プロダクトの文脈で翻訳していきました」

利用者に直感的にとらえられたい、5つのイメージ

「重視したのが “プロダクトの価値を明確にする“ ということ。利用者の皆さんに『Anyca』でどんな価値を届けたいのか、どんなイメージを持ってもらいたいか。ビジネスメンバーが中心となって、検討する、揉む…という工程を何度も繰り返しました」

決まったのが 以下の“5つのイメージ” だ。

  ・クルマのサービス
  ・男性
  ・新しいサービス(体験)
  ・品質の良いサービス
  ・今までより安く使える(だけど安心感もある)

Any

「このイメージを満たすように、さまざまなクリエイティブを決めていきました。サービスのカラーもその一つです。クール、ソフト、ハードなど様々な色の組み合わせがある。どれも“5つのイメージ“ をもとにしています」

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「これは、サービスのキャラクターを決める時も同じ。“5つのイメージ” を軸に意見を出し合います。ここではビジネス、デザイナーのメンバーが責任をもってリードしてくれました」

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「『Anyca』から出すプロダクトはアプリだけではなく、リアルなものもルールにそって一つひとつ魂を込めて作っています。その積み重ねの結果、きれいな世界観を提供していくことができたと思っています。迷った時に立ち返る、メンバーの軸が出来たことが大きかったと思います」

PMが権限を持ちすぎると遅くなる。

リリース前の『Anyca』はスピードが最優先だった。必要最低限の機能だけでサービスイン。競合に追いつくためにも、足りない機能をはやく追加し続けた。

ポイントは、PMの役割をフェーズに応じて変更すること。

「リリース直後、捉えたユーザー・市場のニーズを、いかにはやく機能追加できるかが開発スピードを上げる要になります。ユーザーニーズを最も知るビジネスメンバーにPMを変更していました」

「リリースから3年たった現在。PMの役割を分担しています。いちいち時間を取って私に相談や許可を得る必要はない。現場で判断できるようにして、メンバーが自らの意思でリリースしています。

"どういうリリースをするか?" ”その順番は?” ”今月は何をするべきか?” といった優先順位をつけるところまでは、ビジネスのメンバーが行なう。また、 "どう作るか・作り変えるか" に関しては、エンジニア1人ひとりが権限を持つようにしました」

データドリブンも失敗する。

『Anyca』を運用する上で重視しているもの、それは3年間で蓄積した膨大なユーザーデータだ。ただ、データに基づく、新しい機能のトライアルでは失敗した施策も。

「“同時に複数の問い合わせができる機能” を追加しました。ただ、全然使われなかった。ものすごく多い利用者の声だったにもかかわらずです」

利用した方はわずか3%程度。ここからテコ入れを行なった。

「”実はもともとニーズがなかったのか?” ”それともリリースした機能が認知されていないことが原因か?”分析すると、単に機能が認知されてないことが理由だと判断しました」

改善のための施策はこうだ。

「具体的には、ボタンを増やして機能への動線を作ったり、アプリ内のチャット機能・通知を使ったり。それでも利用度は上がらず、むしろ減少していました。そこまでやって、ようやく"この機能ではニーズを満たせない" ということが明確になりました」

しかし、使われていないだけで機能をクローズしていいかは悩みどころだったという。

「影響を与えあっている機能がないかデータを見て、慎重に検討した上でクローズを決めました」

PMに求める7つの要件

最後に語られたのが、DeNAが考えるPM論について。PMに必要な能力・スキルは何だろうか。

「PMに求められる能力は、ビジョンを伝えられること、ガントチャートを作れること、データ分析ができること、エンジニアリングを理解していること……色々あると思います。でも、それらの能力を1人で発揮できる人ってなかなかいません。だからこそ、手段・スキルによりすぎることなく、まずはPMとしての姿勢・責任を明確にして持ち続けることが大事だと思います」

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「プロダクトを成功させるまでの役割分担や、誰がどの工程をどう担いながら担保していくか。一番大事なのはそこです。まずはPMがPMとしての姿勢・責任を持つ。その上で、メンバーに任せていく。姿勢を重視して取り組み続けることで、ビジョンを語る・ガントチャートをひく……といった手法も磨かれていくのだと思います」

(*1)  2018年9月時点。DeNA調べ。
(*2)DeNA南場智子氏が語った「経営会議より、UI/UXが大事」なぜ今デザインなのか?リクナビNEXTジャーナル



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