CAMPFIREで働く大橋桃太郎さん(22)。ある日、代表である家入一真さんから相談が。「新しい事業をつくりたい」。そこから彼の新規事業責任者としての怒涛の日々がはじまった?!
今回取材したのは、約1年前にCAMPFIREに入社した大橋桃太郎さん(22歳)。ある日、家入さんから、こんな相談をもらったという。
「CAMPFIREの可能性を拡げる事業をつくりたい」
家入さんの言葉に、大橋さんは率直にこう思ったそうだ。
「…なんで僕に相談されたのか、正直よく分からない(笑)」
なにか特別なスキルがあるわけでもない。
「ただ、話をもらえて、すごくうれしかったんですよね。純粋にワクワクしたし、僕ならできると信じて声をかけてくれたこともうれしかった。全力でやってみたいと思いました」
こうして始まった大橋桃太郎さんの挑戦。具体的なアイデアはゼロからのスタート。市場リサーチ、資料集め、現状把握、事業構想…彼に「未来への種まき」を託された!?
【プロフィール】大橋桃太郎 CAMPFIRE hibana 事業部責任者
1996年生まれ。17歳のときに高校を中退し、高校生のイベント団体Up to youを創設。18歳で、Zeppダイバーシティに2000人の高校生を集めた。広告代理店でプランナーとして働いた後、現在大学院に通いながら、CAMPFIREの新規事業を仕込み中。
ー22歳で事業責任者…年齢を引き合いに出すのはズレているかもしれませんが、やはりすごいと思ってしまいます。どういった経緯で?
家入さんからある日、「CAMPFIREの可能性を拡げるような新しい事業をやりたいんだよね」とと相談をもらいました。「どう?」と、家入さんに聞かれて、最初はどういう意味だか分からなかったんですけど、「やってみない?」といわれて。またとないチャンスだなと思ったし、即答で「やります!」と返事をしました。100人近い組織でも、一人一人の適性を見てくれいて、こういったチャンスをもらえたことは純粋にとてもうれしかったです。
通常業務と並行しながらだったのですが、半年ほどかけて具体的な案に落とし込んでいって、「自分がやるならこういうことをやる」という事業案として経営陣にプレゼンをし、昨年末に正式に新規事業として立ち上がることが決まりました。
ー経営陣からどこを評価されたと思いますか?
どうなんだろう…プレゼンでは事業自体の思想、成したい社会を伝えることはすごく意識しましたね。
同時に、家入さんからは「ビジネスとして成立するのかちゃんと考えよう」と「誰が使うのか、もっと解像度をあげよう」といったフィードバックをもらいました。すごいありがたいですよね。何が駄目かちゃんと言ってくれるので。
“ビジネスとして成り立つのか”というところは、あまりメディアで見ない家入さんの姿かも。すごく厳しいわけじゃないけれど、「そもそもビジネスとして成功しないと解決したい課題解決ができないじゃん」って。
もうひとつ、「誰の役に立つのか」というところは、社内の事業開発に携わるほぼ全員に言っていますね。どんな気持ちや悩みを抱えている人に届けたいのか。どうして使ってもらえるのか。この感覚を多分すごく家入さんは研ぎ澄ましている。プレスリリースを出す時も、誰にとって、どんな良いことがあるのか。できるだけ分かりやすい言葉で書く。言葉を大切にする。事業をつくる時も同じような感じですね。
ーはじめてで戸惑うこともたくさんあったのではないかと…
「事業をつくる」ことに関して、右も左もわからなくて、最初は何から手をつけたらいいのか全くわからなかったですね(笑)。…と過去形で話しましたが、今もそう。
そんな僕にもできることとして、とにかく類似サービス、競合について、過去20年分くらい遡って事例を調べまくりました。大きなテーマは「共創」「マーケティングリサーチ」「コミュニティ」など。キーワードをもとに、論文や本なども読み漁りましたね。
ただ、僕だけでアイデアを考えても、偏ってしまいやすい。だから、家入さんや周囲の人と壁打ちしながら、やっていった方がいいと思っていて。
…ただ、家入さんは忙しい。あと連絡をしてもなかなか返ってこない(笑)これは新規事業に携わる前から、分かっていたことでした。
ーどうしたのでしょうか?
家入さんって…ずっとスマホを見ているんです。とにかく気づいたこと、アイデアは、家入さん宛にMessengerで全部共有していました。
で、送っているうちに「返信がくるもの」「来ないものがある」と少しわかってきて。興味がある事とか、もっと知りたい事とかには返事がくる。既読になるので、読んでいるってことはわかってるんです。
家入さんと僕とでは、見ている視座や知識も全然違う。だから、全て共有して、彼の返してくるものを待つほうがより良いアイデアを生み出せるのではないかと考えました。
ーちなみに、新規事業はどういったものに?
これはちょっとまだ具体的には言えないのですが、クラウドファンディングと相乗効果のあるリサーチサービスを構想しています。ネーミングとしては『hibana(ヒバナ)』です。思想としては、資金や注目度がそこまでない人たちに向けて、、小さな声に対しても、もっと機会をつくっていきたい、というものです。
たとえば、クラウドファンディングでは現状、無名な人、フォロワーが少ない人ってお金を集めづらい。注目度のあるのほうが集まりやすい傾向にあります。もちろんそれはわるいことじゃない。多いから集めやすいのは良い。ただ、「少ないから集めづらい」という環境をなくしていきたいここを解決したいと考えています。
すごい好きな言葉で、
“ 「履いたら足が痛くなるようなら、それは悪い靴でしかない」”
というもの。『ハッカーと画家』という本に出てくる言葉です。
何を意味しているかというと、足は変えられないんだから、靴を変えるべき。自分にあったものを探すべきという考え方。誰もが自分のやりやすいやり方を選べる環境ができれば、もっと良いものが生まれると思うんです。
ーどんなサービスが立ち上がるのか楽しみです。ちなみに、もともと事業には興味が?
そうですね、事業づくりには関心がありました。とくに、目的を持った仲間と一緒にコミュニティづくりやイベント運営には昔から興味があって、高校生のときは夢中になって取り組んでいました。
高校はやめちゃったんですけど、Zeppダイバーシティで2000人ぐらい高校生を集めたイベントをやったりもしてて。2014年当時だと17歳だったので、たぶん最年少で借りたヤツだったんじゃなかな。ステージにも立ったんですが、目の前に2000人ぐらいいるとビビりますよ。
その後、広告代理店でプランナーとして働いていたんですが、大学院に通い始めたのをきっかけに「ソーシャルビジネス」という分野に興味を持ち始めました。収益を出すだけでなく、さまざまな課題や困難を抱えている人たちの力になる。そんなビジネスに携わりたいし、自分もやってみたいという気持ちはずっと持っていました。
ーすごくイケイケだったように見えます…!
どうだったんですかね。たぶんイケイケとはちょっと違って。なんていうんだろう。「ちゃんとやりさえすれば、何でも出来る」みたいな感覚はそのときに得られたものかもしれません。
たとえば、Zeppを貸し切るってすごい大変だし、赤字にしないのも大変だし、2000人を集めるのすごい大変そう…でも、できたんですよ。
もちろんみんなで頑張ったからできたのですが、きっと再現できる。何度でも。そういう感覚がありました。失敗しつつも、最終的には何とか出来るだろうなって。
普段の生活がイケイケだったかといえば、ぜんぜんそんなこともなくて。高校中退しちゃってるし、大学に入ったものの、ぜんぜん馴染めなかったし。共通目的のないコミュニティにいるのは苦手でした。
だから、広告代理店で働きつつ、副業でイベントプランナーやったり、知り合いと事業を作ったり。CAMPFIREへ入社したのもたまたま。求人をたまたまTwitterでみて家入さんにDMしたことがきっかけでした。
入社後、クラウドファンディングのキュレーターをしていたのですが、圧倒的に自分が得意なところだと思えたんですよね。あと仕事内容を見る限り、「ぜったい好きだな」って。
誰かの夢を応援する。どうやれば上手くいくかプロジェクトオーナーと一緒に考える。話をしながら、伴走をする。めちゃくちゃ楽しそうだなって。
振り返ってみると、べつにこれといった「軸」があったわけじゃないんですよね。自然なつながり、流れの中で、思うがままにやってみたらできたという感じ。
多分…僕は頑張れないだけなんですよ。頑張れないから、何かを見つけようともしていない。だから気楽に飛び込める。わかんないですけど(笑)そんな感じです。
ー最後の質問なんですけど、大橋さんが新規事業(hibana)を通して実現したい事について教えてください
今って「誰が」やるか。「どの会社がやるか」みたいなところに注目が集まりますよね。それだけじゃなくて「何をやるのか」というコトにも注目が集まるようにしたいですね。
インターネットとか、SNSとか、これだけ広まってきたなかで、ちょっと「誰が」に偏りすぎじゃないかなって疑問に思うことも多い。個人的に「ちょっとイヤだな」って思うこともあって。だから、プロダクトにもそういう思想はめっちゃ込めています。5月を目標に準備を進めているので、ぜひ楽しみにしていただけるとうれしいです。
文 = 野村愛
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