2019.03.13
2秒考えて分からないことは即メモ。村田あつみ流 読書の質を上げる習慣

2秒考えて分からないことは即メモ。村田あつみ流 読書の質を上げる習慣

ラブグラフ CCOの村田あつみさんの読書術を取材! 経営者として、デザイナーとして、忙しい日々を過ごす彼女。「読書の質を高めるメモ術」など、仕事で武器になる読書のポイントが伺えました。

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ラブグラフ CCO 村田あつみの読書術

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本への投資は惜しまない

ラブグラフの経営陣でありながら、クリエイティブを統括するデザイナーとして活躍する村田あつみさん。学生時代から自分に課しているルールがある。それは、「本への投資を惜しまない」こと。


知り合いから「本の購入をためらってしまう」という声を聞いたとき、正直とてもびっくりしました。というのも、「読書」ってめちゃくちゃ投資対効果がいいと思うんです。なので、大学生のときから、「読書に対して絶対ケチらない!」と自分の中で決めていました。

本って大体1000円、高くても2000円くらい。でも、それ以上の価値を得られる可能性が高いと思うんです。気付きや学びが必ずある。アイデアのインスピレーションになって、良い仕事につながっていく。会社のメンバーに共有すればチームとしての知見も溜まるし、自分のツイッターのフォロワーに共有すれば「この人の情報は役立つ!」と信頼にもつながります。毎月1万とか2万とか予算決めるのもオススメです。

同時に、「読み方の技術」を得るほど、投資した分のリターンは高まります。お金も時間も、投資した以上の価値をいかに獲得するのか。ここは自分なりにこだわっているところですね。のちほど、私なりに見つけた、読書の価値を最大にする読み方をお伝えします。

「変わること」と「変わらないこと」の2軸で選ぶ

最近ではの出版をプロデュースや、ズボラ旅とのコラボなど、新たなチャレンジを次々に生み出し変化を続けているラブグラフ。事業を牽引する彼女は、一体どんな本を読んでいる?


本選びは「変わること」と「変わらないこと」の2軸を意識しています。

まず「変わること」というのは、トレンドのこと。トレンドを掴むのに、一番効率的だと思っているのは雑誌です。『dマガジン』に登録していて、『ポップティーン』のようなギャル雑誌から『BRUTUS』のようなカルチャー誌まで、20誌くらいを隙間時間にざっと目を通しています。トレンドを掴むという意味でも、本屋さんには最低週1回で足を運び、ラインナップをチェックしています。書店に行くと、「今月はあいみょんがめちゃくちゃ表紙飾ってるな」とか流行りがわかるんです。

「変わらないこと」というのは、本質のこと。具体的には、経営者の自伝や、古きよき名著、歴史本などを指します。何百年、何十年と読まれている本の中には、時代の変化に左右されない本質が書かれています。

なにに人が心動かされ、熱狂するのか。世の中がどんな変化をしているのか。何が事業や成功の本質にあるのか。「変わること」と「変わらないこと」の2軸をバランスよく捉えることで、「ラブグラフらしさ」を伝えるのはどうしたらいいのか?唯一無二のクリエイティブを生み出すことにつながると考えています。

読書の質を高める「問いメモ」のススメ

続いて気になるのが、買った本をどう読むの?ということ。読書を通じて「学び」や「価値」を得るためには、「問い」が重要なカギを握るといいます。


「優れた問いは優れた答えに勝る」という言葉が好きで、これは読書においても大事な考え方だと思っています。「いい答え(気付き・学び)」を得るためには、「いい問い」が必要ということ。

なので、読書をして最大の学びや気付きを得るために、日々の疑問や気付きを「問い化」して貯めているんです。私の場合は、LINEの自分しかいない「ひとりごとルーム」というのをつくって、ふとした疑問はなんでもメモしています。このメモ習慣が、読書の質(=インプットの質)を上げていると思います。

たとえば、EXILEの元マネージャーの方が、「アーティスト同士が仲良いことは大事」とTwitterでつぶやかれていて。私も大好きなSEKAI NO OWARIのFukaseさんとSaoriさんが仲良くしているのを見ると「かわいい!」ってうれしくなるから、すごくわかる。でもなんで「他人が仲が良いことがファンの幸福につながるんだろう?」と疑問に思って、それをメモしておきました。

2秒で答えがでない疑問はメモ。日常的に自分への質問集をつくることで、本を読むとその答えがみつかるようになります。

疑問の「答え」を探す手段は、読書だけではありません。詳しい人や実践されている人に会って聞きにいったり、さまざまな場面でも活きています。たとえば、以前「会社のオリジナルグッズ販売は、何の数字につながるのか?なんのためにやってるのか?」という疑問をメモっていて。"イケてる"感じに見えるのはわかるけど、なんのためにやるのかに答えられない自分がいたんです。そこで、アパレルブランドのように自社のTシャツやパーカーなどを販売している、hey 佐藤裕介さんとお話する機会があった時に、なぜやっているのかを質問しました。

常に「問い」と「仮説」を何十個もストックしている状態でいることで、どんな場面でも「これ探している問いの答えだ!」って気付きがあるんです。

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アウトプットの機会は強制的につくる

本を読み終わった後、村田さんがセットでしているのが「アウトプットする場」を強制的につくること。


読書で学んだこと、気づいたことは必ず仕事の糧にしたい。でも、その意思だけでは、人間はなまけものなのでいつのまにか内容を忘れてしまいます。

なので、本から学んだことをアウトプットする機会を強制的につくるようにしています。アウトプットの機会があるからインプットをする。私は自分の意思を過信してません。無理矢理イベントの登壇や取材を入れたり、朝会で自分の発表の時間をもらうために宣言したり。定期的にアウトプットの機会をつくることでインプットを加速する仕組みにしています。

これは余談なのですが、「リーンスタートアップ」という考え方がとても好きで。本の購入→読書→アウトプットのサイクルにおいて、「スピード」を意識しています。速さ重視なので、本の購入はKindleも多いですね。読み終わったら、すぐにアウトプットする。スピードを重視することで、自分の思考や持論の質がアップデートされ続けます。

マネジメントに本を活用

もうひとつ、同僚や後輩などマネジメントのポジションにいる村田さんだからこその本の活用方法がありました。


後輩や同僚や弟子などに「これ読んだ?」っておすすめしています。本は、その人に足りないものをわかりやすく補完できるツールだと思うんです。

それに、本で得た学びをアウトプットすることで自分の学びにもなりますが、周りやチームにその学びを共有したほうがチームにとっても価値になると思うんです。自分の中だけでとどめていたらもったいない。そんな気持ちで、後輩や同僚に良い本を見つけたらオススメも積極的にしています。

最後に新社会人、若手のデザイナーに向けて、いつもメンバーにオススメしている本をご紹介します!

ビジネス基礎スキル編

・マンガでわかる!マッキンゼー式ロジカルシンキング(赤羽雄二)

・佐藤可士和の打ち合わせ(佐藤可士和)

・グロービスMBAクリティカル・シンキング(グロービス経営大学院)

マーケティング・ブランディング編

・コトラーのマーケティング4.0(フィリップ・コトラー)

・ブランディングの基本(安原智樹)

・SNSで夢を叶える(ゆうこす)

デザイン編

・なるほどデザイン(筒井美希)

・ノンデザイナーズブック(ロビン・ウィリアムズ)

・誰のためのデザイン?(D.A.ノーマン)


文 = 野村愛


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