プロダクトマーケティングマネージャー(通称:PMM)なる職種が、ネット業界で注目される。弁護士ドットコムにて『クラウドサイン』PMMを担当する岩熊勇斗さんが、自社での役割について解説してくれた。
特集「PMM」ってなに?
※全3本立てでお届けします。
#1 クラウドサインの場合:そのプロダクト、つくって終わりになってない?
#2 freeeの場合: プロダクトの価値を、社内外に浸透させよ。
#3 SmartHRの場合:新機能企画から「売り方」の開発も。SmartHRが置くPMMの役割
※2019年12月10日に開催されたPMM Night(弁護士ドットコム、freee、SmartHRのPMMが登壇)よりレポート記事をお届けします。
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弁護士ドットコムが運営する『クラウドサイン』にてPMMをつとめる岩熊勇斗さん。
2019年9月に、カスタマーサクセスから業務範囲を拡大する形で実質的にPMMとなった。社内で1人目、PMMというポジションができた背景から語ってくれた。
「プロダクトをリリースしても、お客さんに届け切れない。ここが課題でした。当時の状況を“消える魔球”と呼んでいたのですが、そんな状態が1年ほど前から続いていたんですよね」
組織の人数が急激に増え、チームやロールが細分化され、リリースに向けてのコミュニケーションが取れていなかった、と振り返る。
「つくっても届けるところが戦略的に描けていませんでした。届けるための試行錯誤はしていたものの、結局なあなあになっていたんです。"届ける”に責任を持つ役割として、PMMを置くことになりました」
【プロフィール】弁護士ドットコム株式会社 クラウドサイン事業部 PMM兼Head of Customer Success兼 アナリティクス事業責任者 岩熊勇斗 ディー・エヌ・エー(DeNA)を経て、2016年にクラウドサ インにジョイン。創業期のトラクションチャネルの開拓、 営業やマーケ、アライアンスなどビジネス側のあらゆる業務 を経験。PMF後は、創業期より自身や事業部長が兼任していたカスタマーサクセスを専任チームとして立ち上げた。 現在はHead of Customer Successとしてチームを率い、顧客とパートナーの成功と事業の収益最大化を担う。
PMMに就任した岩熊さん。現在、最も多くの時間を注いでいるのが、マーケティングからCS、営業まで一気通貫した「販売戦略」だという。
「プロダクトをどう販売していくか、どんなメッセージを打ち出し、営業資料にはどう落とし込むか。マーケティング、広報、CS、営業を一気通貫でのクオリティコントロールに注力しています。お客様に伝えきること、そしてその先の売上に責任を持っています」
リリースはもちろん大切だ。しかし、ビジネスなので最終的には売り上げにつながらなければならない。
「誰にどう売っていくのか、そこからブレイクダウンして考える。必然的に営業資料も勝手に営業が作ると統一性に欠けてしまう。マーケティングから営業まで、一気通貫で意思決定することはPMMとして重要な役目だと思います」
所属するクラウドサイン事業部は、弁護士ドットコムの本社とは別のオフィスにあり、ある程度の独立性を持つ。
「体制としては、ビジネス、開発、SRE、バックオフィス(弁護士ドットコム本体)に別れていて、ビジネスと開発はクライドサインの別オフィスで働いていますね。ビジネスの中には、マーケ、営業、CS、パートナーアライアンス、新規事業開発のチームがあり、PMMは僕一人です」
続いて語られたのは、PMとの役割・業務の棲み分けについて。
「PMとタッグを組む、というとイメージしやすいです。PMは開発側にコミットし、PMMはビジネス側にコミットする。相互の連携ができるよう、それぞれが間に立ってコミュニケーションをとっています」
たとえば、リリースのスケジュール管理について。
「開発側とビジネス側、現場同士で直接、スケジュールのやり取りしてしまうと"齟齬"、つまりズレが生まれやすいんですよね。公式見解ではないものが伝わり、認識が違ってしまうこともしばしばあります。さらに「リリース」という言葉も、開発側とビジネス側では若干ニュアンスが違ったりする。そういった混乱やズレを引き起こさないために、PMとPMMがタッグを組み、コミュニケーションをとっていくことが不可欠です」
最後に岩熊さんが語ってくれたのは、PMMとしての重要な心構え、役割について。
「PMMって響きはカッコいいですけど、要は"何でも屋だと思っています。経営陣のオーダーを遂行していく。そのためのタスク分解、実行・推進をする。たとえば、実行部隊の頑張りを経営陣が納得できるようにレポーティングしたり、売上にコミットしたり…。あらゆる部署と連携するので、バランスが求められると思います。正直、僕自身が完ぺきにできているとは思っていなくて。現場と事業の橋渡し的な存在になれるように、これからもっと頑張りたいですね」
特集「PMM」ってなに?
※全3本立てでお届けします。
#1 クラウドサインの場合:そのプロダクト、つくって終わりになってない?
#2 freeeの場合: プロダクトの価値を、社内外に浸透させよ。
#3 SmartHRの場合:新機能企画から「売り方」の開発も。SmartHRが置くPMMの役割
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