初の著書『英語日記 BOY』(*)がAmazon本総合人気度ランキング1位に。音楽、デザイン・イラスト、文筆…と、多方面で才能を発揮する新井リオさん。目標達成の達人である彼に「必ず目標を達成させるために大切なこと」を伺った。
※「英語独学」で、Google検索1位を達成。累計300万PVを誇るブログをきっかけに『英語日記BOY』を出版。Amazon本総合人気度ランキング1位となった(2020年1月 時点)
新井リオ
▼ロックバンド「PENs+」のギターボーカルとしてティーンエイジロックフェス「閃光ライオット」に出場。カナダツアーを実現。日本で4枚、アメリカで1枚のレコードをリリース
▼英語偏差値38から半年で第一志望の立教大学に合格
▼フリーランスのデザイナー/イラストレーターとしてカナダで活動
▼『英語日記BOY 海外で夢を叶える英語勉強法』を出版。Amazon本総合人気度ランキング1位を記録(2020年1月 時点)
ー『英語日記BOY』拝読しました。率直な感想として、英語習得だけではなく、あらゆる物事に通じる「目標達成の本質」が書かれた本だな、と感じました。
ありがとうございます。たしかに「ただの英語学習本ではない」と言ってもらえることが多いかもしれません。
とくに目標にタイトルをつける」を徹底してきて、これは必ずしも英語学習に限らない話だからかな、と。
例えば、僕がデザイナーになるためにカナダに渡った時は、
モントリオールでデザイナーとして働き、今後世界中の国でフリーランスとして働ける技術・知識を身につける生活2016〜2017」
というタイトルを決めてから旅立ちました。かなり明確ですよね(笑)
このくらいハッキリと具体的に目標設定すると、
・現地についてすぐ働けるように、英語の履歴書を日本で作ってから行こう
・デザインの指示を出す英語は今のうちに覚えてしまおう
というように、今日やるべきことがわかります。暫定的なものでいいので、
「いつまでに」
「どこで」
「どれくらい」
「〇〇する」
こういったことを決めてしまうんです。目標にタイトルをつけると、逆算で今日やるべきことを小分けにできるので、努力しやすくなります。
勉強が続かない人の多くは、たぶん目標が曖昧なんです。「いつか海外で働きたいから英語を勉強する」みたいな。
人間は曖昧なことは頑張れないけど、明確なことならけっこう頑張れる。目標達成のために「今はこれだけやればOK」ってわかれば、ちょっとやってみようかなと思いませんか?
ハードルを下げるところまで自分でデザインするのが勉強だと思います。どれだけ優れた方法論も、続けないと無意味になるので。
ちなみにギターを始めた時も、「ギターを弾けるようになりたい」ではなくて、「オリジナル曲を作って閃光ライオットに出場したい」というタイトルを無意識でつけていたと思います。でもこの時はうまく逆算ができていなくて、基本のコードすら覚えずにいきなり曲を作っていました(笑)
ー今回出版した本につけた、目標タイトルとは?
「『英語日記BOY』を10万部売って、「英語日記」勉強法を、留学・英会話スクールに続く第3の選択肢にする」
でした。タイトルが決まれば、次に大事なのは目標達成に繋がりそうなことを全てやるだけです。
『英語日記BOY』は、Amazonの予約が開始する前から、フォロワーの方にはもちろん、親戚、友達、昔のバイト先の先輩後輩、お世話になっている地元のカフェやレストラン、雑貨屋の店員さんにも声をかけました。「この日に予約が始まるから買ってください!」って。祖母は5冊買ってくれました(笑)
発売後のいまも、約2ヶ月間で出版記念イベントが全国12会場で決まっていたり、毎週どこかの書店さんにご挨拶に行ったり、サイン本や色紙を書いてお渡ししています。
「本をたくさん売りたい」程度の曖昧な目標だと、ここまでモチベーションは続かなかったと思います。
「英語日記を、留学・英会話スクールに続く第3の選択肢にする」という明確なタイトルがあったことで踏ん張ることができました。
ー明確なタイトルが見つからない人はどうしたらいいでしょうか?
「つけるべきタイトルが見つからない」人は、タイトルをつける一つ前の段階である「ハマれることを探す段階」にいるんだと思います。
やりたいことがわからない人は、今ある小手先の武器で結果を出そうとするより、「色々と手を出してみる」がむしろ一番正しい努力になるんじゃないかって。気になることがあれば、まずは1ヶ月くらいやってみるんです。この時は正直、根性が必要。で、1ヶ月やってみたときの自分の心の反応を見るんです。
「あまりハマれない」と思ったらすぐにやめる。これを繰り返して「もっともっとやってみたい」と思えるものが見つかれば、それが将来の自分の武器になるかもしれません。
僕も昔は「プログラミング」「カメラ」「webデザイン」など、色々手を出しながら試行錯誤していた時期がありました。1ヶ月くらい勉強してみたけど、どれも続かなかった。その中で、「英語」「デザイン」「音楽」の3つは、ほかのものと比べて明らかに輝いていたんです。「もっと突き詰めたい」と思いました。
ーそもそもですが、なぜそこまで「目標達成」に執着を?
いまの時代に、ちゃんと人間らしく生きるためには、自分でつくったルールを信じなきゃいけない。そう思ったことがきっかけにありました。
10代の頃、社会が決めた「正解のようなもの」を追いかけることが辛かったんです。
大学4年生になったら就活をはじめて、卒業後はブランクを空けず、就職をしなければフリーターと呼ばれる。
そして、フリーターと呼ばれるようになった人も、みんな20代の半ばに差し掛かるくらいで自動的に「正社員になりたい」と思う。まるで、スイッチが入ったかのように。それはすごく人間っぽくない風潮だと思い、悲しいと感じていました。
本来、自分のペースでやりたいことを見つけ、そこから仕事にするための努力を始めればいいはずです。少なくとも僕自身は、「自分の内側から発生する常識」だけを信じ、もっと人間らしく生きようと思いました。
子供の頃、たくさんの習い事を同時にやっていた感覚で、大人になった僕達も、もっと色々なことを同時に楽しんでいい。
その結果、「音楽」「デザイン」「英語」を、真剣な遊びのように楽しみ、仕事にしています。「人間的」の話でいうと、書籍のタイトルもそうかもしれません。
一般的に英語学習本って「1日5分でできる」とか「だれでも聞くだけで話せる」といったタイトルが多くて。でも、言ってしまえばこれは「嘘」ですよね。普通に冷静に考えて、新しい言語をそんな簡単に習得できるわけがない。
日本人の英語学習を本当に救いたいのなら、
「時間はかかるけど、本質的な言語学習はプロセス自体が楽しいものである。そして身に付けた能力は人生にフレキシブルさを与え、いまある悩みを解消し生きやすくしてくれる。勉強とは素晴らしくポジティブな経験なんだ!」
くらい言わないといけないと思うんです。
だから僕が書いた『英語日記BOY』は、教科書ではありません。「自伝的学習本」と名付けました。
勉強という行為が引き起こす「ドラマ」の素晴らしさを高い熱量で伝えた方が、読者の方の勉強の継続に繋がると思ったんです。これは出版社の方にも念を押して伝えていたことです。
だから、『英語日記BOY』は表紙も含めて「ドキュメンタリー小説みたい」と言われることもあります。小説のようにずっとそばに置いておきたくなる英語本を作りたかったので、すごく嬉しかった。
自分でいうのも恥ずかしいですが…英語にかぎらず何かを達成しようと頑張る全ての人に響く本になったと自信を持って言える。これからも、泥臭く、日本中へと広めていきます。
>>> [1]英語習得に、お金はいらない。日記だけで「英語が話せる人」になった青年、新井リオの発想
編集 = 白石勝也
写真 = 黒川安莉
取材 / 文 = 田尻亨太
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