2020.02.14
相談さえ億劫だった、あの頃の私へ|サイバーエージェント 上野千紘

相談さえ億劫だった、あの頃の私へ|サイバーエージェント 上野千紘

サイバーエージェントの上野千紘さん。9年間で6つのサービス立ち上げに携わってきたPMだ。そんな彼女にもあったPM1年目。事業が停滞し、心も体力も限界に。突破口は「プライドを捨て、人を頼ること」にあったーー。

全2本立てでお届けします!
[1]相談さえ億劫だった、あの頃の私へ
[2]若手PMは「カメレオン力」を磨こう

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「先輩を頼っちゃいけない」と思い込んでいた。

入社3年目に担当した大学生向けコミュニティサービス「QJ」での経験は、大きなターニングポイントになっています。

PMは最終決断はもちろん、それまでの過程まで全部1人でやらなくちゃいけないと思い込んでいたんです。

当時は、人に相談することさえできなくなってましたね。「まだそんなこと考えていたの?」「まだそこ詰まっていないの?」って色々突っ込まれるのが怖かった

先輩に「もっと頼ってくれていいんだよ」って声をかけてもらっても、「PMなんだから自分で解決しなくちゃ」と思ってしまって。

誰にも相談せず、自分の殻に閉じこもっていました。なるべく自分の中で完結させて、アウトプットだけ皆に共有しようとしていたんです。

でも、私の脳みその限界は超えないし、メンバーの納得度も低い。結局事業も全く成果がついてきませんでした...。

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【プロフィール】上野千紘(うえの・ちひろ)
2011年サイバーエージェント新卒入社。アラサー向け・大学生向けのコミュニティサービスや、生放送配信サービスの「FRESH LIVE」など、入社後幅広いドメインに渡り、複数のメディア立ち上げを経験。2017年6月〜社内新規事業会議にて自ら提案したコスメのクチコミサービス「Lulucos by.S」のプロダクトマネージャーを担当。また、社内では次世代経営者育成プロジェクト「CA24」の第一期メンバー、女性活躍推進プロジェクト「CAramel」の幹部としても活動している。

立ち止まって気づいた、「成長への焦り」

成果を出したいと遅くまで仕事をする日々が続いたあるとき、朝起きたら涙が止まらなくなってしまったんです。自分でも何が起きてるのか分からない。真っ先に頭に浮かんだ、仲の良い先輩に連絡しました。

そのとき、先輩がこう言ってくれたんです。「1回休んでゆっくり考えなよ。千紘ちゃんが頑張ってきたことは皆知っているから。誰も逃げたとか思わないから」って。肩の力がフワッと抜けて、張り詰めていた心がすっと軽くなっていくような感覚がありました。仕事から離れることも、周りからの目も怖かったけど、先輩の後押しもあって1ヶ月間休職することに。

休んでいるあいだ、「私って何のために仕事しているんだっけ?」って何度も自分に問いかけました。MVPを取るため?一人前になるため?事業の成果のため?...ぐるぐると考えるなかで気づいたのは、「早く一人前にならなきゃ」という焦り。

入社してちょうど3年目。「私がやりました」って胸を張っていえる成果が何もなくて、「そろそろ成果を残さなきゃ」って焦っていたんです。そもそもPMは、誰かと何かを作らないといけない職種なのに、自分ひとりでなんとかしようとしていた。

でも、「私が何ができたか」って大した問題じゃないよなって気づいて。私の成長とかどうでもよくて、事業やプロダクトの成長のためになんでもやろうと思えたんです。スッとプライドがなくなりました。

それに、一人で壮大なビジョンを掲げてみんなを引っ張っていくことは、当時の自分には向いてなかったんです。ひとりでアイデアを考えるよりも、チームと一緒に皆でワイワイ言いながら、「こういうのできたら楽しいよね」って言って膨らますほうが好きだし、得意なタイプなのに....。

もちろんプロダクトのビジョンを描くのはPMの大事な役目、でも必ずしも「自分ひとり」でゼロから生み出せなくてもいい。メンバーをはじめ、いろんな人に意見をもらいながら、ビジョンをブラッシュアップしていこう。そう思えた瞬間から、自分なりにPMとしてどう動くべきかクリアになりました。

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「アイデアを一緒に考えてくれませんか」

復職してからは、意識的にどんどん人を頼って巻き込むようにしていました。

プロダクトに関係のない先輩にも「サポートお願いします!」って声をかけたり、メンバーの人にも企画段階から一緒にアイディアを考えてもらったり。いま振り返ると、当たり前のことができてなかったんですよね。

私がやらなきゃと思っていた仕事も、得意な人がいるんだったら任せて。できるだけ自分ひとりで抱え込まないように意識しています。

自分以外の誰かがタスクを拾って解決できるように、情報は極力オープンにしてます。Slackで「こんな感じでタスクがきていて困ってます」ってすぐに共有したり、雑談のなかでポロっと相談してみたりとか。

そうすると、自然とメンバーのほうからタスクを拾って、「これって大丈夫ですか?」って聞いてくれるようになる。すべてをディレクションしたり、進捗確認しなくてもいい状態が理想だなと思っています。

「ネガティブな問い」を意思決定の拠り所に

いろんな人に相談したり、意見を聞くとき、いつも心がけているのは「最終的に決めるのは自分だ」ということ。

自分よりも経験や知見のある人からの意見って「たしかにそうかも!」って思いがち。でも、鵜呑みにしてしまっては、ユーザーに体験してもらいたい価値がブレてしまう可能性がある。プロダクトについて誰よりも考えているのはPMの自分。世の中に出す責任を追うのも自分。だから、他の人の意見に囚われすぎず客観視するように心がけています。

先輩に意見を聞いたら、「いや、でも...それってホントに?」と、一回立ち止まるのを癖にづけています。社長の藤田晋がよく「ネガティブに考えてポジティブに生め」というのですが、まさにそれで。「これってユーザー本当に使うんだっけ」とか、「私が想定しているユーザーってこういうユーザーじゃないんじゃなかったっけ」とか。ひたすらネガティブに思考して、アイデアを詰め直していく。そして最後に「これだったらきっと使ってもらえるはず」ってポジティブに世の中に出す。

ネガティブな問いは、「本当に体験して欲しい世界ってこうだよね」に立ち戻る手段。いつも心がけるようにしています。

>>>「2」若手PMは「カメレオン力」を磨こう|サイバーエージェント 上野千紘


取材 / 文 = 野村愛


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