2021.10.20
数字だけじゃ人は動かない。駆け出しPMの武器になる“現場に立つ”チカラ|10X 浦祐介

数字だけじゃ人は動かない。駆け出しPMの武器になる“現場に立つ”チカラ|10X 浦祐介

10Xに「1人目のPM」として入社した浦祐介さん。小売チェーンストアECのプラットフォーム「Stailer(ステイラー)」のプロダクトマネジメント全般を担う。データアナリストのバックグラウンドを持つ浦さん。キャリアを振り返りつつ、共に「1年目PMにとって大切なこと」について考えた。

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数字だけでは上手くいかない。定性と定量の両軸が必要なことを痛感。

2021年4月、10Xに「1人目のPM」として加わった浦さんのファーストキャリアはグリー社でのデータアナリスト。そこからランサーズ、ZOZOでの新規事業立ち上げなどを担ってきた。データ分析をバックグラウンドに持ち、当然「死ぬほどデータにこだわる」ことは重要だという。ただ、PMとして大切なことはそれだけではないと経験談を語ってくれた。

データはすごく重要です。ただ、それだけだと人は動かない。数字だけで判断してしまうと、だいたいうまくいかないですよね。仮説でもいいので「why」とセットでゴールを言語化しきる。その「why」は数字以外にもあったほうがいいと思っています。ここはキャリアを振り返ってみて思うことかもしれません。

前職のZOZO(旧ZOZOテクノロジーズ)で「広告ビジネス」の立ち上げにPMとして携わりました。ZOZOTOWNに出店してくださっているブランドさんから広告費用をいただくモデルだったので、ZOZOのブランド営業のチームと一緒にビジネスを進めていきました。

現在、順調に伸びているビジネスとなっていますが、当時は立ち上げ時期。ただ唐突に「数十億円規模のビジネスをつくるので協力してください」と伝えても、「why」に納得感もなく、営業の人達は気持ち良く動いてはくれない。

広告費用をいただくことでブランドさんにどういったメリットがあるのか、サービスがはじまる前ではイメージを持つことも難しいし、手触り感もないですよね。

当たり前ですが、広告を出すことで、そのブランドさんにどのような良いことがあるか。お客さまにどんな価値を提供できるのか。そういうことを、営業の人たちと一緒にストーリーに落としていく。その上で、“数字をつくるところ”までやる。その重要性はすごく感じました。

たぶん多くの会社が「職種」で部署をつくったり、区切ったりしますよね。ただ、特にPMに関していえば「PM」という職種・部署のなかでは、何一つ仕事は完結しない。職種、年次、ステークホルダー…など、自分とは距離がある人たちの中に入り、とにかく各方面との対話を重ね、信頼をしてもらうしかないのかなと思います。


浦祐介さんのキャリアサマリ

▼2014年4月〜2016年9月
グリー株式会社 データアナリスト
データアナリストとして社内の様々なサービスの分析や企画を経験。プラットフォームGREEの分析、企画、ディレクション、各種ゲームのKPI設計、BIコンサルやTVCMなどの大型プロモーションのシミュレーションや費用対効果の算出、事業計画の作成。

▼2016年10月〜2018年5月
ランサーズ株式会社 プロダクトマネージャー → 新規事業責任者

ランサーズ本サービスの分析基盤整備( Big Query導入)、BIの導入、KPI設計、事業企画などを担当。C2Cアプリ「pook」プロダクトマネージャー兼事業責者

▼2018年5月〜2021年3月
株式会社ZOZOテクノロジーズ(※現株式会社ZOZO) PMチームマネージャー

部署立ち上げ、広告事業の立ち上げ、採用/育成、画像検索などのAI/ML活用の推進、ABテスト基盤構築、大型リニューアルなどを担当。

▼2021年4月~
株式会10X プロダクトマネージャー

Stailerのプロダクトマネジメント全般を担当

すべては「使われるプロダクト」のために。

これまでC向けのプロダクトをメインで担当することが多かったという。10Xに加わり、とくに「BtoBtoCであること」「オペレーションにまで入り込むプロダクト」ならではの難易度、おもしろさについて伺えた。

どのように業務が動いているか、一気通貫で理解し、その上で改善ポイントを探していく。ここはすごく大切ですし、おもしろいと感じています。StailerはBtoBtoCのモデルとは言え、最終的にtoCのお客さまに価値を提供することに変わりはないです。

たとえば、「スーパー・店舗側の配達枠が埋まってしまって、もうスーパーのアプリから新規の注文を受け付けられない」という時、単純にスーパー・店舗側の配送のキャパを増やせばいいのでは?と思われがちです。しかし、そもそも「店舗のバックヤードにスペースが無く、配送のための梱包作業ができないこと」が課題だったりもするわけです。

また、toC側のお客さまとしては「商品が届くまでの詳細な時間が知りたい」とか「フードデリバリー系のサービスのようにように配達員が今どこを走っているかを見たい」など、いわゆる「あったらいい」はたくさんある。ただ、toC側の体験を突き詰めすぎると、スーパー・店舗側のオペレーションにシワ寄せがきてしまう。

今の段階でどのくらいでやるか、どこまで必要か。プラットフォームとしてどうあるべきか。パートナー企業での立ち上げをいかにスムーズに行えるか。ここに加え、これからC向けにもいろいろな機能を提供していきたい。なので、その両方のバランスはよく議論しているところ。同時に、考え得る「いつかやりたい」は、いつかはできること。それらをストックしながら、カタチにしていける楽しさもありますね。

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2021年7月、約15億円を資金調達した10X。提供するStailerは「イトーヨーカドー」「ライフ」などのスーパー、「薬王堂」などのドラッグストアで既に導入されている。Stailerを通じたネットスーパーアプリ利用者の翌月継続率は約70%、1ヶ月平均購入額(ARPU)約2万円と、生活に欠かせないサービスとなっていることが伺える。

そもそも「小売チェーンストアECのプラットフォーム」という領域そのものを切り拓くStailer。「10Xに加わった直後からスーパー・店舗側の現場を見ることができ、多くの知見が得られた」という。

BizDevやパートナーからのinputだけでなく、社内のNotionにも情報が多く蓄積されており、たくさんキャッチアップできました。加えて、自身でも現場を見れたのは大きかったと思います。そもそも店舗スタッフさんが、どのようにPCを操作しているか。たとえばPCのキーボードの上にはノートが置いてあったりして、マウスでしか操作していないとか。そういったことは、やっぱり現場を見ないとわからないところだったと思います。

もうひとつ「オペレーションに入り込むプロダクトマネジメント」の実例も。

別の例では、注文が入ると、店舗スタッフさん側では配送に向けて「ラベル印刷」の業務が発生します。注文が入った商品を袋に入れて、ラベルを印刷して貼っていく。これを、一つひとつやっていると非効率的で、時間もかかってしまう。まして複数人で同じ作業を行うと、そもそも移動するスペースがバックヤードにはない。

そこで、まとめてラベルを印刷するようにする。もっと言えば、冷蔵、冷凍、常温…それぞれの商品のラベルを、どの順番で、いくつまとめて印刷するか、人間が狭いスペースを何度も行き来しなくていいよう、業務の流れから一緒に考えていきました。こういうところも、現場に立つことで知見が得られたところだと思います。

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スーパーの食材・商品に見立てた小道具をもとにデモを行うことも。現在、PMとしてStailerのプラットフォームとしての機能拡充、パートナー企業によって異なる決済、オペレーション、規模に合わせたスムーズな立ち上げ、要件の整理などを統括する。また、プロダクトの品質(QA)、CSを含めた運用体制構築を2021年7月に入社した2人目のPMと進めているという。BizDevとの役割の違いについては「オーバーラップする部分もありますが、BizDevはより対パートナーの成長にフォーカスし、PMは本質的にプロダクトがどうあるべきかを担っていくイメージ」という。

日本の食品EC化率は約3%。より身近な人たちが当たり前に使ってくれるモノを。

データアナリストからPMへ。そして新規事業、数字をつくれるPMチームの立ち上げなど経験してきた浦さん。最後に10Xに加わった理由、そして今後について伺えた。

これまでのキャリア選択でいうと、それぞれでやりたいことが比較的はっきりとあったように思います。たとえば「プロダクトをつくる」「事業で数字をつくる」「PM組織を立ち上げる」など。それぞれ経験させてもらえて。ちょうどZOZOのなかで大きなリニューアルが終わるタイミングでもありました。もし次に何かするとしても、やはりC向けがやりたいと思っていて。そういった中で、チャンス、伸びしろがある領域として同じ「EC」を見ていました。日本におけるEC化率はまだ約8%で世界に比べても低く、中でも食品のEC化率は3%程度。その市場にベットしているのが10Xでした。

日本市場における食品のEC化率は2019年で市場規模の2.9%にとどまり、物販全体の6.8%を下回ります※。アメリカやイギリス、中国でEC化率が10%を越える急成長を遂げている中、日本市場は大きな成長ポテンシャルがあります。この背景には、小売事業者内での大量のSKUに対応したシステムの不足、デジタルに特化した知見の不足、初期投資のリスクなどがあげられます。※経済産業省「電子商取引に関する市場調査」より2019年の実績より、食品・飲料・酒類のEC化率

引用:10X、シリーズBで15億円を調達 Stailerの展開加速と採用・組織拡大に投資

また、小売・流通はほとんどインフラといっていい。自分の親をはじめ、身近な人が使ってくれるものがつくりたい。そういった思いもあったかもしれません。

今までいろいろなプロダクトに携わってきましたが、実は自分の親に使ってもらえたことがなくて(笑)ネットスーパーなら使ってもらえる可能性はかなり高いはずです。

より身近に使ってもらえるものをつくりたい。そう考えるようになった原体験は「東日本大震災」だったという。

東日本大震災での経験は大きかったかもしれません。大学3年の頃だったのですが、電話が全く使えなくて、ほとんど情報も得られない状況でした。ただ、当時、Viberだと通話できたり、Twitterで交通情報が知れたりした。この体験があって、インターネットで誰かの役に立つことをしていきたいと思うようになった気がします。

そう考えると、10Xの場合、日常のなかにある「買い物体験で困っていること」をダイレクトに良くしていける。単に「こうやれば数字は伸びる」だけじゃなくて、その数字の伸びは、誰の何を解決しているのかという手触り感がある。そしてまだまだアーリーフェーズのスタートアップで、一気通貫で大きなプロダクトを作っていける。組織もこれから作っていく。こういったフェーズに携われるのは、すごくいい機会だなと思っています。


取材 / 文 = 白石勝也


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