2014.03.20
スタートアップ女性デザイナーへの大質問会!―Designer's Meetupイベントレポート

スタートアップ女性デザイナーへの大質問会!―Designer's Meetupイベントレポート

スタートアップで活躍する女性ウェブデザイナーが登壇した【Designer's Meetup】レポート第2弾。来場者から集まった質問をもとに行なわれたパネルディスカッションと懇親会の様子をお伝えする。

0 0 14 0

スタートアップの女性デザイナーのホンネ・働き方にせまる

スタートアップで活躍する女性ウェブデザイナーが登壇した【Designer's Meetup】レポート第2弾。

iQON(VASILY)、CrocosSTORES.JP(Bracket)、nanapiLang-8のスタートアップ計5社の女性デザイナーが発表した仕事内容や働き方、考え方については第1弾レポートを参照して欲しい。
※スタートアップ女性デザイナーの生態系とは?―Designer's Meetupイベントレポート

本レポートでは、来場者から集まった質問をもとに行なわれたパネルディスカッションと懇親会の様子をお伝えする。

登壇者への大質問会

Q1


木村真理さん

nanapi 木村真理さん

木村さん:
エンジニアと衝突する大きな理由は2つあると思います。ひとつは想定されてなかった実装が行なわれるとき…「そもそもそういう仕様じゃなかったじゃん!」という場合ですね。もう一つは「やってもいいけどすごく時間がかかるよ」という場合。

どちらの場合も、前提となるリソースや時間の制限を再確認し、折り合いつけることはひとつの手ですね。はじめから突っぱねては、何も進みません。

あと例えば、インタラクション要素で「こんな気持のいい動きで」とデザイナーがオーダーしてしまうと、エンジニアとしては、すごく時間がかかったり難しかったりする。そんな時はその動きが必要なことを熱弁したり、子犬のようにプルプル震えた目で訴えかけると話を聞いてくれたりします(笑)。大事なのはやっぱり相談ですね。


市田舞さん

Crocos 市田舞さん

市田さん:
「自分がやりたいからじゃなくて、ユーザーのために」ということを話の主軸に置きますね。誰のための施策かを訴えて、理解してもらえるよう努めます。そうすることで、何かしらの解決策や妥協点がみえてくると思います。


編集部:
彼女たちが一様に挙げていたのが、エンジニアに意図を伝えること、日常からの密なコミュニケーションの重要性。Lang-8椚さんの「CTOであるエンジニアがデザインの知見を持ち、円滑なコミュニケーションがとれていることで、仕事がスムーズに進んでいる」という話も印象的だった。



Q2


木村さん:
意識的に勉強しているということはありませんが、個人的に心に刺さっている言葉があります。糸井重里さんと任天堂の宮本さんの対談で出てきた言葉なのですが「いいうんこするためには美味しいものを食べないとダメだ」と。(注:社長の代わりに糸井重里さんが訊く [6.インプットがおろそか])やっぱり良いデザイン・いいアウトプットしてる人ってそもそもインプットの量が多いと思います。インプットって良いデザインに触れることもそうなんですけど、自分と違う意見を聞いたり取り入れたりするのもすごく大事だと思います。こういったイベントでいろんな人の話をきけるのもすごく刺激的なインプットです。


河原香奈子さん

Bracket 河原香奈子さん

河原さん:
私も時間を区切っての勉強はしていません。テクニカルなことは実務で取り組むことがいいと思います。あと自分で生活している上で意識的にやっているなと思うのは、自分の好き嫌いのジャッジをすること。そうすると、なんで好きなのか嫌いなのかと、考えられるんですね。そういう感情的な判断を常にしていることは、デザインに生かされているかもしれません。


椚さん:
私も定期的な勉強はしてないですね。ただ、自分がやってきた作業なんかを一回疑って、改善策・解決策を調べたりする事があります。突発的に生まれる疑問やこれヤバい!となるときに、それを解決する都合のいいツールはないかと考えたり、もっと効率良く出来る方法があるんじゃないかと思ったり。


編集部:
共通していたのは、定期的に時間を区切り、インプットの時間をとることはないということ。一方で、社外とのコミュニケーションの場、WEB以外のデザイン領域(グラフィックや電車の中吊り広告、建築…)などで触れるあらゆるデザインに刺激を受け、プロダクトに良い影響を及ぼしているという。



Q3


権美愛さん

VASILY 権美愛さん

権さん:
TPOを意識してコーディネートをする際にiQONでアイテムを探したりしています。そういう時に、悲しいかな…やっぱりまだまだ足りないことをすごく感じますね。自分の私生活の中でサービスを使って悲しくなりながらも改善しなきゃと。デザインや機能の改善に活かせるので意識的に使っています。


河原さん:
わたしはSTORES.JPのキャラクターのストアくんというのがいるんですけど、自腹でステッカーとかのグッズを作ったりしています。サービスもあらためて普通にストアを作ってみようとしたら、もう出来た!って自分でびっくりもして。

でも、実際ものを発送するということになると、戸惑う部分も見つかるんです。代引きとかって業者に頼まないといけないとか発送完了メールを送らなきゃとか。そういう細かい気付きがあります。

Facebookとかで告知すると売れるという声をユーザーさんから頂いて実践してみると、本当にその通りだったんです。ユーザーさんから頂いた情報を実践してみることも意識的にしています。


編集部:
自身がユーザーになることが、サービスをブラッシュアップする近道のようだ。一方で、あくまでも開発者目線のバイアスがかかっていることには注意が必要という意見も出た。



Q4


権さん:
昨年の11月に、大幅なUIの変更などチャレンジングなアプリのリニューアルをした後に、そこからDL数も利用者数も伸びているので、数字という観点で言うと検証結果になるかと思います。

加えて、社内に元iQONユーザーのアルバイトの方が多くいるので、リリース前にユーザーテストやユーザーインタビューを盛り込んで事前にフィードバックなどを得ています。


Q5


椚亜希子さん

Lang-8 椚亜希子さん

椚さん:
昨年の夏まではLang-8のヒアリングを。それ以降はいま新たに始めようとしている新サービスのヒアリングをやってます。

Lang-8に関してはTwitter経由で集めていたんですが、IT系の方が多くご協力いただき、UIやUXなど高度な知識を提供していただいたりしていただきました。

でもサービスのコアユーザーはITとは少し離れたところにいる語学学習者なんですね。つまり対象をもっと狭めてやろうとなって。サービス内からユーザーさんを集めようと、サイト内からしか飛べないリンク先を用意して、そこから集客したりしています。

Designer's Meetup開催の思いとは?


パネルディスカッションの後には、懇親会が開催された。本イベントは登壇者・参加者ともにデザイナー限定のイベントであったが、彼女たちの手掛ける領域はWEB・IT企業でも大企業からスタートアップ、媒体別では紙やグラフィックなど、バラエティに富んでおり、様々なデザイン談義がなされていたのが印象的だった。

最後に、どうしてこのイベントを開催したのか?そんな質問をDesigner's Meetupの主催者でもあるVASILYの権さんに投げかけてみた。


権さん:
スタートアップの女性デザイナー同士の横のつながりを創る機会があまりないんです。それなら、イベントを自ら開催しようと思いました。

今回協力していただいたスタートアップの女性デザイナーは、個別の勉強会などで知り合った方々です。場所としてオフィスを使いたいと経営陣に相談したところ、金山(VASILY CEO)も今村(VASILY CTO)も快諾してくれたことも後押しになりました。むしろ「なんで今までやらなかったの」って(笑)

さっき「デザイナー同士でデザインのレビュー会をやると面白いかもね!」という話をしていたところです。これからもスタートアップで女性デザイナーとして働く人たちの情報発信やつながりを持てる場を作っていきたいと思っています。


注目を集め、急激に成長しているWEBスタートアップ業界でも、まだまだ女性・デザイナー職の絶対数・割合は少ない。強い思いを持って開催されたこのようなイベントが数多く開催されることは、業界の発展に間違いなく寄与するのではないだろうか。

今後も彼女たちの働き方や思いに注目していきたい。

(おわり)

[取材・文] 松尾彰大



編集 = 松尾彰大


特集記事

お問い合わせ
取材のご依頼やサイトに関する
お問い合わせはこちらから