3/29に開催されたTECH KIDS EXPOのイベントレポート。1年生から5年生までの小学生プログラマがオトナ顔負けのプレゼンテーションを披露した。これからのWEB・IT業界、いや日本を支え、成長させる彼らの開発結果をお伝えします。
まず登壇したのはプログラミング歴半年の小学校3年生、杉本勇太くん。社会科の勉強に役立つ「地図記号アプリ」を開発した。アプリの機能は地図記号の検索、クイズ、そして図鑑形式で一覧表示できるというもの。
「開発に使ったのはXcodeとiOSシミュレータ。たくさんの画面をストーリーボードでつなげると納豆みたいになって大変だった。条件がいくつもあるアプリだったのでif文をきちんと書くのに何日もかかった。みんなに楽しんでもらえるゲームを作って、将来はゲーム会社を設立したい」
小学校2年生の菅野晄さんはScratchからプログラミングの勉強をはじめ、いまではJavaScriptに取り組んでいるという。
今回彼女が発表したのはCPUと対戦もできるオリジナルWebアプリ「石とり合戦」。友だちとやっていた、ことば遊びのような「石とり」をゲームにしようと考えたそう。
「ゲームにある20個の石にそれぞれidを付与したり、取られた石にマークを付けるためにdocument.getElementById(id)という構文を使った。これからもっとプログラミングを勉強して、次は自分が教える立場としてTech Kids Schoolのメンターになって、いろんな人にゲームを作ってもらえるようになりたい」
最年少の7歳、小学校1年生の澁谷知希くんは、HTML、CSS、JavaScriptで作った「冒険RPGゲーム」を発表した。1万秒の制限時間内で、道具や体力のバランスを調整しながらゲームを続けていく。
「ボタンを押したときにランダムにアイテムを獲得するプログラムを工夫した。体力、経験値、鉄アイテム、いずれかの変数、もしくは時間が0以下になるとゲームオーバー画面に遷移するプログラムを組んだ。今作ってみたいのはマインクラフトというゲームに拡張機能を与えるMOD。そのために、Javaなど新しい言語も触ってみたい」
昨年、大きな注目を集めた感情認識パーソナルロボットPepper(ペッパー)をプログラミング制御したのは、小学校5年生の中馬慎之祐くん。
ペッパーの開発に用いたのは、コレグラフという命令ブロックを並べる形でプログラムする専門の開発ツール。今回の発表に合わせ、ペッパー自身にコレグラフについての説明をさせるプログラムを組み、動画で紹介した。
「ブロック数は57個だが、ブロック一つ一つの中にも条件分岐するようなブロックが入っている。単純そうに見えるプログラムでもかなり込み入った制御をしており、大変だった。」
また中馬くんは、PepparAppChallengeで特別賞を受賞している。その際に応募したプロダクト動画はこちら。
「昨年秋にはiOSアプリをリリースした。今後はUnityでの開発にも力を入れていきたい。今年のPepparAppChallengeでは賞金を本気で狙っていく。」
最後にプレゼンテーションを行なったのは、小学校5年生の菅野楓さん。「プログラミングで制御するドローン(無人機)のデモ飛行」を行なった。
「これまでiOSアプリの開発など画面の中の物を動かすプログラミングを続けてきたが、実物のものを動かすプログラミングをしようとAR DRONEというカメラを搭載した、4枚羽のクアッドコプターの制御に取り組んだ。Processingを用いて開発したのは、キーボードでコントロールできるモードとARマーカーを自動で追尾するオートパイロットモード。」
「いまの小学生はこんなことまでやっちゃうのか!?」
そう思われた方も多いのではないでしょうか。驚いたのは、ペッパーやドローンを用いた開発は、彼らがTech Kids CAMPやTech Kids Schoolでの経験を基に自主的に開発したものだということ。
主催したCA Tech Kidsの代表・上野氏によると、プログラミング教育で身につくのは単なる開発能力だけではなく、主体性や論理的思考力、そして積極性が挙げられるそう。
21世紀人材にとって英語が右腕、プログラミングが左腕になるとも言われているいま、日本社会の将来を担う小学生たちの活躍に私たちも奮起したいものです。
[取材・文] 松尾彰大
編集 = 松尾彰大
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