スマートニュースのサンフランシスコ支社で働く大石剛司さん。アメリカ支社で唯一のプロダクトマネージャー。シリコンバレーで活躍しつづけるために実践した3つのことについて伺った。
Twitter本社でエンジニアとして働き、2016年よりスマートニュースに加わった大石剛司さん。現在、サンフランシスコ支社にて「アメリカ支社で唯一のプロダクトマネージャー」として活躍する人物だ。
東京大学を卒業後、国内大手ITベンチャーに新卒入社。エンジニアとしてのキャリアをスタート。常に「自ら考えて自ら作る」という姿勢を大切にしてきた。
「2008年、まだまだガラケー全盛の時代に、新卒で芸能人のライブ配信コーナーを担当させてもらえる機会がありました。でも、当時は動画は重くて流せなくて。試行錯誤した結果、写真を3秒ごとに撮り、ユーザーが更新しながら見ると動画のように見れる仕組みにして(笑)すごく手間がかかるのですが、誰もやらなかったことをやったので新人なのに凄く評価してもらえましたね」
こうした積み重ねにより、大きなチャンスが。ずっと「シリコンバレーで働きたい」と訴え続け、晴れてアメリカ子会社への異動が決定したのだ。
2009年より、ずっとシリコンバレーの開発最前線で活躍しつづけてきた大石さん。彼が実践してきた「日本人が海外で戦っていくための心得」を伺った。
まず、アメリカだと基本的に、プロフェッショナルとしての働き方が求められている印象がありますね。「成果さえ出せば認められる」、そこに尽きると思います。
同時に、期待される役割や成果も各ポジション、各タイトルで明確なことが多い。OKR(Objective and Key Result)という「何をすべきか」がしっかり決まっていて。それ以外のことをやってもあまり評価されない。だから私の場合、とにかく自分のミッションだけに集中していました。
日本にいた時は、常に「求められていることプラスアルファ」を意識して働いていたので、そこが大きな違いかもしれません。
もう一つ、アメリカの会社は、それぞれのメンバーに対するマネージャーの責任がすごく大きい。彼らはメンバー全員の給料も把握しているし、評価も真剣に行ないます。スマートニュースは日本の会社ですが、サンフランシスコ支社ではアメリカのスタンダードに合わせようと頑張っていますね。
ちなみに、働き方も企業によってさまざまで。Twitterではリモートで働いている人が多くいました。雨が降った時には「オフィスに行かなくても良いよね」とか。
リモートワークを100%認めている会社と、全く認めない会社、条件付きで認めている会社、いろいろある。意外と多いのが夕方に家に帰って、家で仕事をしていること。日本では「働く=オフィスにいる」という考え方がありますが、アメリカではその捉え方はないかもしれません。いずれにしても、成果主義であることは共通していると思います。
「プロフェッショナルというのがどういうものか」を自分で意識してやっていかないといけない。日本人であるかどうかは関係がないんです。甘さを入れてはダメだし、妥協をしてもダメ。それでお金をもらっているという意識を忘れずにやっていかないといけないと思います。
例えば、最近だとSRE(Site Reliability Engineer)というエンジニアがいます。彼らは常にサイトを信頼できる状態にしておくことに責任がある。そのために何が必要かを常に考える。それがプロですよね。
そう考えると、まずは1つの軸を徹底的に深めることが重要なんじゃないかなと思います。よくT字型と言われますが、1つのことを突き詰めると横にも展開できます。
もしかしたら「この領域を深めていっていいのだろうか」と不安になることもあるかもしれません。大事なのは軸の選び方。興味がある分野であることだけでなく、業界に需要があるかという視点も重要です。最近なら、iOSやAndoroidエンジニア、データサイエンティストでしょうか。
主流であるところ、求められるところを見定め、磨いていく。この考え方は戦術上、大事なこと。あとはそこに集中するだけ。あまり遠い将来のことは考えず、だいたい3年後にどうなりたいか、考えるようにしてみるのがいいと思います。
もうひとつ「グローバルで成功するためには、多様性の大切さをちゃんと理解しないといけない」と思います。日本で「多様性が大切だよね」と言葉だけで言うのとはちょっと違う。
たとえば、Twitterで働いていた時、あるルーマニア人と一緒に働く機会がありました。彼は物静かなタイプなのですが、実はかなりガッツがある。物事を前に進める力もあり、プレゼンが上手い。学ぶことがとても多くありました。また、女性のエンジニアもかなりの割合の方が活躍している。そういったメンバーの声や意見がプロダクトやカルチャーへダイレクトに反映させる。
そもそも人種などバックグラウンドが多様なので、「どの人たちにどういうものを見せていくべきか」といった前提の置き方、考え方も、とても重要になると思います。こればかりは現地で働いてみないと感じられないこと。ぜひ飛び込んで体感をしてみるといいのではないでしょうか。
[寄稿元メディア情報] SiliconValleyWorkers (文: 中屋敷量貴)
「シリコンバレーで働く日本人の声を届ける」をコンセプトに、シリコンバレーやサンフランシスコで働く日本人の起業家/エンジニア/マーケターなどの働き方やキャリア観を発信しています。
文 = 寄稿
編集 = CAREER HACK
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