2019.01.15
『BathHaus』|さあ、銭湯をつくろう。シティで、チルな、私たちらしい働き方を探して。

『BathHaus』|さあ、銭湯をつくろう。シティで、チルな、私たちらしい働き方を探して。

仕事して、お風呂に入り、おいしいビールを飲む。全てひとつの場所でできたら最高なのに…そんな思いがカタチとなったハイパー銭湯『BathHaus』。ワークも、チルも、気の向くままに。オーナーである、roseさんに立ち上げのウラ側を聞きました。

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きっかけは、友だちとの何気ない会話だった。

「仕事して、お風呂入って、おいしいクラフトビールが飲めたら最高だよね」

こんな友だちとの何気ない会話から、ホントに銭湯をつくってしまった、roseさん(29)。

もともとウェブ業界でアプリのプロダクト・マネージャーとして働いてきた彼女。独立してアプリ開発ディレクションや音楽メディアのPRを行いつつ、ボーイズ・エチケットブランド「shyboi」をデビュー。

2018年12月、クラウドファンディングなどで7000万円を集め、ハイパー銭湯『BathHaus』を立ち上げた。そこに込めた思いから見えてきたのは「心地のいい生き方=働き方」へのヒントだ。

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ハイパー銭湯「BathHaus
ドイツの造形学校「バウハウス」をもじったBathHaus。1919年に創設されたバウハウスが目指していた、機能的でありながら人間らしさや手作りの温かみ溢れるデザインを意識した内容となっている。「どこか懐かしさがあってゆったりできるような居心地がいいデザインにしたかった」と語るroseさん。海外のヴィンテージライクな雰囲気を踏襲する

ワークも、チルも、気の向くままに。

noteで『BathHaus』立ち上げは友だちとの会話がきっかけだったと拝見し、すごくステキだなと思いました。肩のチカラが抜けているというか。


ホントに何でもない話がきっかけで(笑)

ただ、「自分のペースで働けない日本のワークスタイル」にも、どこか違和感はあったんですよね。

もちろん仕事はがんばるんだけど、自分を労いながら、もっとオンとオフを滑らかにしていけるんじゃないか。それができれば、暮らしが自然と豊かになるんじゃないか、と。


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だから「ワークスペース」も併設していると。日本の働き方への違和感はどこから?


学生の頃にポーランドに留学したり、アメリカに旅行しにいったりしていて。海外だとそれぞれが自分のペースを持っている感覚がすごくある。

「ヨーロッパの人はあまり働かない」とか、そういうステレオタイプな話ではなく、自由にオンとオフを切り替えているというか。

たとえば、ポーランドだと朝早くに出社し、家族とお昼ご飯を食べに一度家に帰って、午後また働いて、夜6時には家に帰る。LAで印象的だったのが、オフィスに併設されたヨガスタジオで汗を流したり、お茶を片手に雑談しながらリフレッシュしたりする人もいて。「自分のペースで働くのが普通」という共通認識があるように感じました。


ちゃんと仕事すればあとは自由という感じですね。


そうなんですよね。だから働いていないわけではないし、むしろ長く働いている人もいるけど、「好きなバンドのライブがあるから早めに帰る」とか、しっかりプライベートの予定も同じ比重で組み込まれていて。寛容さがすごくいいですよね。

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ワークスタイルに、もっとグラデーションを

roseさんご自身もずっとインターネットの業界で働いてきて。言ってもハードワークだったのではないかと勝手に想像するのですが、働き方に課題感が?


私自身は、5年くらい会社員として働いていましたが、仕事で頭がいっぱいになることも全然大丈夫で。仕事について考えつづけることも楽しいし、オンとオフの感覚もほとんどないんです。

ただ、会社員時代に思っていたのは、ホントは帰りたいのに、まわりが残るから、なんとなく残るみたいな「空気」は非効率だと思っていました。あとは定められた時間には絶対に会社にいないといけない、とか。本当にすべての人にとって必要なのかな?って。

いつどこで働いても、ちゃんとアウトプットして、成果が出ればいいはずですよね。なので、社員が自主的に自分のワークスタイルを組み立てられていないのでは?という疑問はずっとありました。


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2017年に独立したとき、ライターや取材の仕事も少ししていたのですが、自営業でいろんな働き方をしている人たちに出会って、ちょっとしたカルチャーショックを受けました。

「自転車屋を3店舗やってるオーナーさん」とか、「カフェやデザイン会社の経営者さん」とか。ずっと飛び回っているような人たちも多い。むしろ会社員の働き方のほうが非効率だし、いろんな働き方をしている人がいて。お店の近くのパン屋さんだと、夏は1ヶ月くらいお休み(笑)

だから「日本でも、いろんなワークスタイルを諦めなくてもいいんじゃないか」と思うようになりました。


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なぜ、銭湯だった?

いったん肩のチカラを抜く。リラックスする、いわゆる「チル」と「仕事」をいい塩梅で楽しむ感覚ですよね。ただ、それをカタチにする時、なぜ「銭湯」だったのでしょうか?


仕事が終わったとき、いつもより広いお風呂でお湯に浸かったら「ふぅ~~~」ってなるし、癒されるじゃないですか。

チルは息抜きじゃないですけど、何も考えない余白とか空白の時間なんだと思います。考えなきゃいけないことがある状態がワークだとすると、特別に考えなきゃいけないことがなくてぼーっとする。じつはそういうときにこそ頭の中でひらめくし、アイデアも湧くし、すごい大事な時間で。頭を休める時間というか。

そうなるために「お風呂」ってぴったりで。心も体もほっとしてオープンな気持ちになる。さらにひとっ風呂浴びて、おいしいクラフトビールで一息つけたら、最高にチルな瞬間だなって。


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普通のビールではなく、クラフトビールであることも大切?


そうですね。いつものビールを飲むのではなくて、今日の気分に合わせて選んでみたり、いつもより少し良いものを飲んでみたり。ごほうび感まで含めて体験として楽しんでもらえたらいいな、と。なので、ちゃんと醸造家さんたちがこだわって作ったものを仕入れています。


なんとなく、より心地よく暮らすために、「コト」や「体験」の豊かさがより大切にされているように感じます。


そうかもしれないですね。私自身が会社員からフリーになって思うところもあって。とくに代々木公園周辺のエリアって、夕方くらいにカフェや飲み屋さんによると、フリーランスの人たちがゆるっと集まって、喋っているのをよく見かけて。仕事と生活の中間というか、そこから新しいプロジェクトが生まれたりもしているんですよね。だから、自分が拠点にしている町で暮らすと心も楽になる気がして。そういう意味でも、代々木公園という立地で、チルと、ワークができる『BathHaus』をつくれて良かった。

仕事場であり憩いの場でもあるので、お互いにちょうどいい関係性で挨拶したり、話せたり。そういった場所にしていけたらいいですね。


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文 = スギタヨウヘイ
編集 = CAREER HACK


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