2021.07.14
TBSのUXデザイナー「のだかつき」の勉強法。ゴールから逆算、「壁」を突破するためのインプット

TBSのUXデザイナー「のだかつき」の勉強法。ゴールから逆算、「壁」を突破するためのインプット

Twitterにて、UXデザインに役立つTips、海外情報などを発信する、のだかつきさん。GoodpatchでのUXデザイン/マネージャー(当時最年少)を経て、2021年4月からTBSにて勤務。リモートや副業など激変するテック業界で、いかに自分を成長させ続けられるか。のださんが考える「最強の勉強法」とは?

0 0 7 8

保全型か、拡散型か。性格に合った学習スタイルを

みなさんなりの「最強の勉強法」を伺っているのですが、のださん(@ktknd)の勉強スタイルがあれば教えてください。

まず身も蓋もないのですが、毎日続けているような学習習慣はありません。オンライン学習など、いくつかやっていますが、計画性もなく、「寝る前にやろうかな」くらい(笑)

ただ、自分の性格に合った勉強スタイルを認識し、適応させるのはすごく大事だと思っています。ちょうど先日、ドラマ『ドラゴン桜2』で、「性格にあった勉強のやり方があるんだ」といった話があって。すごく納得したんですよね。

本の読み方でも傾向がわかるらしく、自分なりに整理をすると、


▼保全型
一冊の本を読み切って次の本を読むタイプ。
一つひとつ物事を着実に進めたい派で、しっかり準備してやっていく人。

▼拡散型
いろんな本を並行して読むタイプ。
とにかくやってみる派で、ワクワクするか、その瞬間を生きる人。

となるようで、僕は完全に「拡散型」だと思いました。

飽き性だけど、自分が好きだと思ったものには没入をする。モチベーションの源泉は、何かできないことにぶつかった時の悔しさだったりもします。ロールモデルとなるような人が自分よりも高いレベルでそこができていると、火がつくタイプで。そのスイッチに対し、クリティカルな勉強をしてきたように思います。

一方で、たとえば「世の中でブロックチェーンが流行ってるからと勉強しなきゃ」と、なんとなく本を読んでも全く頭に入らない。仕事でブロックチェーンによる課題にぶつかったことがなく、そこに挫折もないので、モチベーションが沸きづらいのかもしれません。

ゴールから逆算、「壁」を突破するためのインプット

性格に合ったスタイルを見出すことが大切だと。Twitterを見る限り、てっきり緻密にスケジューリングされたストイックな学習の習慣、マイルールがあるのかと思っていました。

熱量がすごく散り散りなので、むしろ苦手ですね(笑)Twitterもリスト管理さえできていません。良くも悪くもゴール逆算型というか。現場でごりごりやっていくなかで「ここが足りない」「もっとこうしたい」と思ったところを、集中的にインプットする感じかもしれません。

たとえば、要件定義をしなければならない時は、机の方に要件定義関連の本をドサッと積み上げて、読みながら仕事をしていきます。ペルソナやコンセプトを決めるワークショップを任されたら「そもそもペルソナとは何か?」から学び直す。書籍とWebの記事をめちゃくちゃ読み込んで、実践として「使える」ところに落とし込むというか。

たまたま今の職場でも「UXとは何か」についてプレゼンする機会があり、ちょっと前の本ですが『デザイン思考が世界を変える』『UXデザインの教科書』あたりから、読み返して、10冊くらい本棚から引っ張り出してきて、総ざらいしました。

+++

過去に似たような仕事の経験していたとしても、立ち戻って勉強するのでしょうか?

そうですね。古い本から、最近の本まで、できるだけ網羅して読むことで、共通していること、本質的なところが抜き出せるので、数はあたるようにしています。

結局は似たアウトプットになることもありますが、イチから勉強し直すと、あらためて気付くことも。たとえば、プレゼンにしても伝える相手の理解度が違うし、文脈も違う。いろんな角度から質問をもらうかもしれないので、網羅して答えられるようにしておければと準備はするようにしています。

当然、どうやるか(How)だけではなく、そもそも、なぜやるのか(Why)から考えていくのですが、ゴールから逆算したインプットを行うことで、解像度があがっていくように思います。

+++

「ヤバい…勉強しなきゃ」と思える場所に身を置く

新人時代から、その勉強スタイルは変わっていないのでしょうか?

そうですね。いろいろなところに顔を出し、挑戦させてもらって、できないところの穴を埋めるために勉強する。ここをひたすら繰り返していた気がします。

たとえば、ビジネス寄り、開発寄り、デザイン寄り、それぞれのプロジェクトに携わらせてもらうようにしたり。それぞれ「ビジネスモデル、セールスの仕組みについて全然知らないから勉強しよう」とか「Flutterのことが全然わかってなかった」とか「ビジュアルに対していいフィードバックができるようにデザインを勉強しよう」とか。

運が良かったのもあると思いますが、「仕事だから勉強しなきゃやばい」という環境にずっと身を置けたんですよね。

新人時代から先輩たちから任せてもらえたのも良かったのかもしれません。もちろんいざとなったらサポートはしてくれるのですが、自分が学んだことを実践してみる場が確実にあった思います。

仕事に「使う」ために調べ、インプットしたことは抽象化してツイートすることも多いという。「複利を得る、ではないですが、学んだことを自分のなかだけで完結させるのはもったいないな、と。本業にも活き、SNSでも誰かに使ってもらえたら、自分にもよい影響が返ってきますよね。コメントやリアクションも仕事に活かせるリファレンスになることもあります」と、のださん。

とくに、切り出した仕事ではなく、自分がいないと何も進まない、プロジェクトのリーダーを任せてもらえた時は、ブレイクスルーが起きた気がします。

そもそもプロジェクトマネジメントとは何か?から始まって、UXのプロセスの設計、開発の要件定義、デザインのディレクション、プレゼン、作ることになったのがメディアだったので、情報設計含めて勉強しなきゃいけない。積み上げてきたインプットを総動員して、さらにインプットをして。新卒2年目でこういった経験をさせてもらえて、そのときがすごく成長を実感できましたね。

「英語、タイピング、議事録のとり方、ロジカルシンキングなど、いわゆる社会人としての基本スキルは、早いうちにやっておいて損はないので、インターン、就活時代からやっていた気がします」と、のださん。英語に関してはもともと学生時代から好きが高じて勉強してきた部分。とくにUXは海外から生まれた考え方でもあり、原文をあたることも多い。

すごい人の、すごいアウトプットを基準にする

たとえば、「仕事を任せてもらえる環境」にいたとしても、アウトプットのクオリティが上がらないケースも。どう突破していくといいと思いますか?

他の人のアウトプットをよく観察して、比べて、「あ、これ全然足りてない。自分のレベルが低い」と自覚することだと思います。すごい人が何やってるか、ここを基準にする。ドキュメントひとつ取っても、すごいアウトプットってわかるもの。

前職のGoodpatchではそういった仕事がオープンになっていたので、自由に見にいって「Aさんの課題の構造化、めちゃくちゃすごいな」と人のアウトプットを研究する、トレースするのは、クセになっていたと思います。

もっというと、直接聞きますね。「僕も同じようにやりたいけど、できない。どうやったらできるようになりますか?」と(笑)すると「こういう本があって」とだいたいの人が教えてくれます。その人も何かしら必ず勉強してるので、教えてもらっていました。

自分のアウトプットがイケているのか、他を知らないと判断できないですよね。

そういった意味では本当に恵まれていたと思います。本当にすごいアウトプットを出す人たちがたくさん周りにいたので。

同時に、今ってTwitterとか、YouTubeとか、コミュニティとか、ハイクオリティなアウトプットが無料でどこでも見れますよね。世の中に溢れているので、いい時代になったなと思います。そういったアウトプットを見て「すごいな」で終わるのではなく、実戦で自分が超えていくために勉強する。これが僕にあった勉強法で、最短ルートかもしれないです。

+++


取材 / 文 = 白石勝也


関連記事

特集記事

お問い合わせ
取材のご依頼やサイトに関する
お問い合わせはこちらから