2019.05.08
本田圭佑と夢を分かち合った25歳。『Homii』リリースまでの道のり

本田圭佑と夢を分かち合った25歳。『Homii』リリースまでの道のり

本田圭佑氏から出資を受けた洪英高さん(25)。「じつは当初、事業と呼べるものはなかった」と語る。満を持して、ホームシェアリングサービス『Homii』リリース!これまでの道のりを伺った。

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『Homii(ホーミー)』とは
・ホームステイ先が探せるマッチングサービス
・ホームステイ先を探す訪日外国人と、受け入れる日本人をマッチング
・滞在できるのは最短1ヶ月間
・ゲストは『Homii』を介してホストに謝礼を支払う。
・契約手続き、敷金礼金などの初期投資なし。
・ホストの部屋には家具が用意されている。
・ゲストは20~30代の社会人が中心
・ワーキングホリデー、ポスドク、社会人夫婦なども利用

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憧れの本田圭佑と夢を分かち合った

ーー会社も事業もない状態なのに、本田圭佑さんから出資を受けたと聞きました。すごいことですよね…

いやぁ……本当に嬉しかったです。いまでもあの瞬間は忘れられない。

ーーどのような経緯が?

もともと僕は2016年の春から2年間シリコンバレーに留学していて。その期間中に圭佑さんがサンフランシスコに来ることをTwitterで知り、思い切ってコンタクトを取ってみたんです。

そしたらすぐに会えることになった。場所は、サンフランシスコにある高級ホテルのロビーでした。まだ開発途中だった「留学希望者と留学経験者をマッチングし、相談ができるサービス」を見せながら、構想や実現したいことを必死にプレゼンしました。

すると、興味を持ってもらえたのか次のアポが決まって、1ヶ月後にメキシコでお会いすることになりました。

自身の原体験、事業戦略、そして「世界から差別をなくしたい」という思いをぶつけたんです。結果、本田圭佑さんから投資いただけることが決まりました。

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圭佑さんに言われた、最大の褒め言葉が宝物になっていて。僕の支えになっています。

「コウさんは会うたびに、成長してますね。はじめて会ったサンフランシスコより、再会したメキシコ。そして、今。 確実に、成長しているから面白い」と。

完全なる敗北

ーーそこからは順調に?

いえ、留学相談サービスを事業化したのですが、上手くいかなかったんです。

憧れの圭佑さんから認めてもらえて。やる気に満ち溢れ、意気揚々と帰国した僕は、法人登記をして正式に会社化したんですけどね…。

自分たちの経験のみを信じてユーザーヒアリングもしていなかった。事業戦略も正しく練られていなかった。コードもめちゃくちゃだった。いま思えば、当然の結果ですよね。完全に敗北でした。

ーー振り返った時、一番の失敗の要因とはどこにあったのでしょうか?

間違った意思決定をしてしまっていたこと。

仮説を検証してサービスを改善することよりも、「まずはきれいなソースコードを書く」に振って、そこが目標になってしまった。誰も使わないサービスを3ヶ月間ひたすら書き換えて、直していたんです。

ビジネスとして厳しいことは気づいていた。でも、やめられなかった。「時間も労力もかけてつくり直したサービスを今さら変えられない」という気持ちがありました。

意思決定が怖くなってしまっていたんです。

そうしているうちに、出資いただいた資金も底をつきかけていました。するとある日突然、一人の仲間から「何も前進していない。もっと時間を大切にしたいから辞めたい」と言われてしまって。

なにもかもが上手くいかない1年間でした。

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本田圭佑の一言で目が覚めた

そんな時、僕を奮い立たせてくれたのはやはり圭佑さんでした。

「終わったことはもう仕方ない。意思決定というのも毎日変わるもの。失敗は誠実に反省して次に活かせばいい」

こう叱咤激励をいただき、僕は救われました。

そして、思い切ってピボットする決意ができた。

とはいえ、すぐにいいアイデアはそう簡単には思い浮かばない。それでもメンバーへ給料を払っているのでお金はどんどんなくなっていく。気持ちだけではどうにもできないもどかしさ。エンジニアがいるのにつくるものがないなんて情けないですよね。あの時期は本当に地獄でした。

『Homii』誕生のウラ側

もう一つの転機は、インターンをしていたProgateの加藤さんにアドバイスをもらったこと。

「Progateが短期に何倍にも伸びたのは、俺らが頑張ったからだけじゃない。プログラミング教育の義務教育化もあって、市場が伸びたからなんだよね。」とおっしゃっていた。

上手くいっているサービスほど、事業に参入するべきタイミングが適切だし、腹落ちをして事業を運営しているんだと気づきました。

「タイミング」と「腹落ち」、2つの条件を満たしている領域がどこにあるのか。

とにかくたくさん人に会ってインプットをしてひたすら考えて。ようやくホームシェアリングサービス『Homii』のアイデアにたどり着くことができたんです。

アメリカ人のメンバーがいるのですが、彼は家探しに苦労していて。日本で暮らそうした外国人が家探しに困っていることがわかりました。

また、昔にシェアハウスをオフィスとして利用しながら、Airbnbで部屋貸しも行なっていた。自分たちで掃除をしたり、鍵を渡したり、すごく面倒だったんですね。民泊の大変さは身をもって体感していました。

極めつけは、入管法改正案の施行と民泊新法による民泊への規制です。

これによってAirbnbで貸し出しできない人たちが出てきた。それなら「僕らが新しいサービスをつくり、ホストは手続きや清掃といった手間を省き、外国人の住む場所の問題を解決をしよう」と思ったんです。

外国人が日本で家を探すことの難しさ

ーー「日本で部屋を探す外国人」と「部屋を貸す人」、双方の悩みを知っていたんですね。

そうですね。ただ前回の失敗を踏まえて、ゲスト、ホスト両方にきちんとユーザーヒアリングをしました。

たとえば、アメリカ人のメンバーを日本の不動産屋さんに連れて行って、カウンターで英語で家探ししていることを伝えてもらう。するとお店の人たちは「え?誰か英語できる人いない?」という感じなる。で、次に通訳として僕が同席する。

こんな風にして、外国人がお客さんとしてやってきたときの不動産屋側の対応、契約手続きがどういったものか、把握して。実際に外国人が来たときの課題などをヒアリングしていきました。

そもそも、外国語で対応できる不動産屋さんはかなり少ないんですよね。大家さん側もコミュニケーションを懸念して日本人を優先することもあるそうです。

あと、外国語レッスン予約アプリ『フラミンゴ』に登録している外国人講師もお話を聞きました。20〜30人の講師に会って「いま、住まいはどうしていますか?」「部屋を決めるときに何が問題でしたか?」とヒアリングして。みなさん、日本での家探しに困っていました。

ホスト側の調査としては、プロにスポットでコンサルを頼める『ビザスク』を使いました。

実際に「Airbnb」や「民泊」というキーワードで検索すると、経験者の方がたくさんいて。

彼らに話を聞いてみると、僕と同じように掃除などの手間が面倒だと感じている方がたくさんいることがわかりました。

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食事提供のありなしや金額をホスト側で設定できたり、清掃が不要であったり、ゲストからの謝礼制度を採用したりと、従来のホームステイサービスよりもゲスト受け入れの負担を軽くすることができる。長期滞在を予定している外国人のホームステイに特化しているため、民泊という扱いにはならず、自治体への届出をせずともホスティングを開始することができる。

ネットよりも足で稼ぐ

ーーリリース後、ユーザーは順調に増えていったのでしょうか?

LPを公開したところ、ゲストユーザーは比較的すぐ集まったんです。

でも、ホストを集めるのに苦労しました。ホストにリーチできるマーケティング手法って少なくて。ネットで「ホームステイ」を検索してゲストを探すホストが少ない。

リスティング広告なども出してはいますが、良い手とは言えない。どうすればホスト側にリーチできるかわからず、何度もLPを変えて試行錯誤を繰り返していました。

結局、他のホームステイ先を探せるサービスでホストを見つけて、メッセージを送るのが最も有効でした。

あとは、家に帰らずAirbnbで宿泊して、ホストの方に『Homii』の説明をして登録してもらうような営業をしたりもしました。

登録してくれたゲストユーザーにホームステイ体験を提供するためにも、まずはホストユーザーを増やすことに注力したいですね。

国籍や文化を越えて、「混ざって暮らす世界」

ーー今後の展望について教えてください。

月300人が毎月暮らしている状況をPMFだと捉えています。まずはここを目指していきたい。

在住外国人の1%〜5%が『Homii』を使ってくれたら、大きなビジネスとして成り立っていくはずです。

現状は外国人のゲストと日本人のホストに限定していますが、将来的には、国籍を問わず、あらゆる人が「混ざって暮らす」ことを実現するサービスへと進化させていきます。

例えば、大学進学で上京した学生が、寮やアパートではなく、独り暮らしのおじいちゃんのお家で暮らしはじめる。すると、そこにコミュニケーションが生まれ、おじいちゃんの孤独が軽減されるかもしれません。血がつながっていなくても、それを新しい家族と呼べるような未来があってもいいはずです。

また、例えば日本の伝統工芸に興味がある留学生が、職人さんの自宅で暮らすことができれば、日本で学べることがぐんと増えるでしょう。

大きな話になりますが、地域の過疎化、少子高齢化で増加する独居老人、増え続ける空き家、職人の継承人不在など、日本が直面する社会問題に「混ぜる暮らし」という切り口からアプローチしたい。

これは僕が見つけた「腹落ちした」思いです。今度こそ、起業家として大成してやります。

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「外国人と日本人のホームステイはあくまでエントリーにすぎない。ぼくが見ている絵は、シェアリングエコノミーの文脈にのるような、ホームシェアリングサービスを志向しています」


文 = 田尻亨太
編集 = 大塚康平


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