2019.05.14
面白法人カヤックで尖れなかった。『ビジネスモデル図解』作者の新人時代

面白法人カヤックで尖れなかった。『ビジネスモデル図解』作者の新人時代

特別な「強み」も「やりたいこと」もなかったーー。新人時代を振り返り、こう語ってくれたのは『ビジネスモデル2.0図鑑』の著者、近藤哲朗さん。クリエイティブとビジネスを武器に幅広く活躍する彼だが、周りと比べて思い悩んだ時期があった。それでも彼が続けたのは、目の前の仕事に全力を注ぐことだった。

キャリアサマリ
2011年4月…新卒で面白法人カヤックのディレクターとして入社。
2013年12月…カヤックを退社。
2014年9月...株式会社そろそろを創業。
2017年9月末…「#ビジネスモデル図解シリーズ」をスタート。
2018年9月...初の著書「ビジネスモデル2.0図鑑」を出版。
現在...「ビジネス図解研究所」を運営。経営課題やビジネスの悩みを図解で簡単に理解しやすくするコンサルティングや、起業向けの講演、ワークショップを手がけている。

+++「チャーリー」さんこと近藤哲朗さんの初の著書、「ビジネスモデル2.0図鑑」。彼が感動したビジネスモデルを図を用いてわかりやすく解説している。

【関連記事】大人気「ビジネスモデル図解シリーズ」チャーリーさん直伝、仕事に役立つクリエイティブ図解術

アイデアを出せる先輩たちに、圧倒されていた

「#ビジネスモデル図解シリーズ」で一躍注目を集める存在になった、「チャーリー」こと近藤哲朗さん。クリエイティブとビジネス、両方の知見を持つ彼のもとには、企業からコンサルティングやワークショップ、講演依頼が引っ切りなしに舞い込んでくる。

キャリアのスタートは、面白法人カヤックのウェブディレクター。今回は新人時代の中でも、とくに「入社1年目の頃」にスポットを当ててお話を伺った。

カヤックには面白いアイデアを次々に出せる先輩たちがたくさんいて、もはや自分と比較する以前に到底勝てない...とその才能に圧倒されていました。

僕はどちらかというと、じっくり考えたアイデアをアウトプットするタイプ。ブレストで即興的にアイデアを出したり、面白いアイデアを考えたりするのが苦手でした。

でも、アイデアで勝負できる人たちは、成果も目に見えやすく、評価もされやすい。先輩たちと自分を比べて、悔しさと焦りを感じていました。

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落ち込む暇もなく、働きまくった

ただ、入社して半年後くらいからは、劣等感は無くなっていたんですよね。

たぶん、毎日終電で帰る生活を送っていたのもあって、落ち込んでいる暇がなかった。体力的にはハードなだったけど、毎日新しい発見があって。仕事そのものに、どんどんのめり込んでいきました。

大きな企業と一緒に仕事をすること自体も初めてだったし、普段だったらなかなか会えないような人たちと仕事することもできて、常にワクワクしていたと思います。

目の前の一つ一つの仕事に対して向き合っているうちに、だんだんと自分の強みが見えてきた気がします。僕だったら、じっくり設計が必要な仕事が自分には向いている、と。徐々にそういう仕事が任され始めて、他の誰かと比較しなくなっていくというか。自分は自分でいい、きっと大丈夫だって。いい意味で諦めがついたのかもしれません。

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上司のフィードバックを毎日ストック

もともと大学では建築を専攻し、ウェブに関して全くの素人だったという。

最初は分からないことだらけでした。先輩に「ワイヤーフレームを書いてみて」と言われたとき、「ワイヤーってなんですか...?」という感じで。本当に基本的なところから先輩に教えてもらったり、自分で調べたりしていました。

とくに1年目の頃は「仕事の基本姿勢」や「心構え」について、先輩や上司たちから学ぶことがたくさんありました。

ひとつでも多く吸収して、早く一人前になりたい。当時、チャーリーさんが続けていた習慣がひとつある。

当時やっていたことが、毎日1つ自分にヒットした言葉をスプレッドシートに書き留めること。先輩や上司のハッとした言葉を、僕は「HITWORDS(ヒットワード)」と名付けていて。カヤックに入社してすぐにはじめました。新人研修の講師の方の「3分考えてから聞きなさい」という言葉。仕事の早い先輩に言われた「即レス即対応しよう」とか。いつ、誰に言われて、自分はどう思ったのか。1日の終わりに振り返っていました。

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この習慣は、本当に続けていてよかったです。カヤックの社長 柳澤大輔さんの「クリエイターの体つきをつくる」という言葉は、8年経った今でも自分の中に残っています。

「今日もヒットワード探そう」という意識が働くので、名言を聞ける確率が上がったような気がする。これは余談ですけど、日報にも、毎日ヒットワードを選んで記録していたので、「おもしろそうなことをしている新人がいる」と自分の認知が広がった感覚もあります。

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やりたいことがなくても、大丈夫

最後に、「入社1年目の自分」に伝えたいことを伺えた。

「もっと自信を持って」ですね。今はなかなか成果がでなくても、その後全部大丈夫になるから、と。

今でも鮮明に覚えているのが、当時カヤックの同期に「チャーリーって好きなものがないよね」と言われたこと。その子は競馬が好きだったのですが、僕にはそこまで強烈に「好きなもの」や「やりたいこと」がなくて。他の人の期待やお願いを受け取りやすい。自分の我があまり強くなかった。

当時はその言葉を気にして、「結局自分は何がしたいんだろう?」「本当は何が好きなんだろう?」と悶々としていました。

でも、やってきたことは全部今の活動につながっている。無駄なことは一つもなかった。

誰かと比較して落ち込んだりするのは簡単。でも、結構エネルギーを消費するし、1日の仕事がしんどく感じてしまう。根拠のない自信をもったほうが、結果的にもパワフルに動けるはず。

僕の場合は、社外の人とランチしてブログに発信する『昼食会』という小さな個人プロジェクトを続けていて。結果的に、根拠のない自信につながっていたと思います。

+++チャーリーさんのライフワーク「昼食会」。知り合いや友人を誘って1対1でランチをして、自身のサイトに記録を公開している。

【関連記事】昼食会・こんどうてつろう氏に学ぶ、ネットワークづくりをライフワークにする方法。

活動をはじめるにあたって、とくに目標や目的があったわけではありません。いろんな人の話を聞くのがなんとなく好きだっただけ。

明確に「これが好き」とか、「これがやりたい」と言葉にできなくてもいいと思うんです。直感に素直に流されてみることで、自分の感性を磨けるし、想像し得なかった出会いや経験につながるはずです。

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取材 / 文 = 野村愛


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