2013.10.29
昼食会・こんどうてつろう氏に学ぶ、ネットワークづくりをライフワークにする方法。

昼食会・こんどうてつろう氏に学ぶ、ネットワークづくりをライフワークにする方法。

社内外、自分とは全く異なるバックグラウンドを持った人とのネットワークを持つことは、自身のキャリアにどんな影響を与えるのだろうか。1年間に50人のペースで《昼食会》という「素敵な人と1対1でランチをする」というシンプルな個人プロジェクトを主催する、こんどうてつろうさんに話を伺いました。

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自分のネットワークをつくる

会社内のつながりだけでなく、自分とは全く異なるバックグラウンドを持った人、異業種の人々とのつながりから得られるものはきっと大きいだろう。

今回お話を伺ったのは、《昼食会》を主宰・運営するこんどうてつろうさん。友人、仕事で出会った人、イベントで出会った人たちなど、「素敵な人と1対1でランチをする」というシンプルな個人プロジェクトを1年間に50人のペースで毎回違う人、違う店で昼食を共にし、これまで200人以上の人たちとつながりを持ってきたという。


こんどうてつろうさん


そんな彼に、昼食会プロジェクトをはじめたきっかけやネットワークの広げ方、そして新たなつながりを持つことで自分自身のキャリアにどんな影響を与えているのか伺った。

きっかけは人に会うことへの飢餓感

― まず、昼食会をはじめたきっかけを伺えますか?


一番大きな要因は、環境の変化でした。大学院への進学を機に、生まれから今まで暮らしてきた東京から、千葉に移り住むことにしたんです。住む場所が変化したことで、今まで気軽に会えていた人とも会えなくなり、千葉という暮らしやすい環境から抜け出さず、誰とも会わなくなるのでは、というある種、飢餓感のようなものを強烈に感じるようになりました。

そこで、定期的に自らを人と会わせる仕組みとして生み出したのが、昼食会です。自分に合う仕組みを考えた結果、自分がホスト役となって毎回違うゲストを招き、1対1でランチを食べる、というかたちで、4年前の2009年4月に昼食会をスタートさせました。


― これまで、どんな人たちと昼食会を開催されてきたんですか?


大学時代の友人からエンジニアやクリエイター、中には政治家の方やニューヨークで働くお医者さんまで。昼食会をしていなければ出会えずにいた人たちも多くいます。


― 誘うゲストの選び方は?


選ぶ、というほど意識的ではありませんが、いままで昼食会にお誘いした方を振り返ると、ユニークさへの興味、スタンスへの共感、タイミングへの直感、この3つがキーになることが多いです。

まず、ユニークな人には惹きつけられます。最初の一歩として、つい話してみたいと思います。次に、その人のスタンス、姿勢に共感するかどうかをみます。最後に、タイミング。これが昼食会にお誘いする上で、最も大事にしていることです。毎回、不思議なもので、いまこの人と昼食会をすべきだ、というタイミングが必ずあります。それはほぼ直感に等しくて言葉に言い表しづらいですね。おおよそこの3つがキーになって、お誘いしています。


こんどうてつろうさん


― 既に200人以上と昼食会を開催されていますね。様々な人とつながりを持つことで、自身のキャリアにどんな影響を与えていますか?


いままでキャリアという視点で考えたことはないですが、影響はかなり受けていると思います。むしろ、影響が大きすぎて、どんな影響があるか答えられないほどですね(笑)

確かなのは、キャリアを築く上でメリットがあるとか、ネットワークを広げることができるとか、特定のメリットを求めて昼食会をしているわけではないことです。

蛇足かもしれませんが、昼食会は自分のことを基本的には書かず、ゲストをひたすら他己紹介しているだけなんです。

ですが、継続することで、その都度お誘いするゲストに自分の興味関心が反映されて、結果的には自分を紹介するメディアのように機能しています。続けていると知らない人が知っていてくれたりして、自分の知らないところで影響が広がっていることもあります。

自分にムリしない、ウソつかない

― 個人プロジェクトを4年も続けるというのはすごいことですね。どんなことを意識して開催されているんですか?


個人的な信条でもあるのですが、「自分にムリしない、ウソつかない」ことは意識しています。

実は僕自身、継続力がある人間では全くないんです。以前、体を動かそうとジムを半年間契約して合計3日しか、行かないくらい、文字通り三日坊主な人間です。

そんな僕が昼食会を継続できる理由は、結局のところ、それが自分に合う事柄かどうかだと思います。

そこで、どれだけムリせずウソついていないか、が問われます。ただ、「1年間に約50人とはじめましてをする」ということはおおよそ週に1回の昼食会を自分に課しているということ。

時にはその縛りが自分を苦しめます。実際年度末が近づいてくると、だんだん“ヤバイぞ…”と(笑)適度な制限をつけるのがポイントですね。

ネットワークの広げ方は人それぞれ

― それにしても、昼食会はどうして1対1の形なのでしょうか?一度にたくさんの人と会うことで、ネットワークを一層広めることもできそうですが。


1対1は、相手とより深い話をするのにうってつけだからです。昼食会は基本、既に何らか繋がりがある人と開催します。たとえ仲のいい人でも、面と向かって1対1で話すことなんて意外となかったりしませんか?なので、昼食会の限られた時間くらいは、表面的な話をやめて、深い話でもしてみようじゃないか、というつもりでいます。

そもそも、多くの人と面識を持つよりも、身近な人とより親密になる方が、自分にムリをさせないということも理由としては大きいですね。


大昼食会

1年に一度、昼食会のゲストを招待し、「大昼食会」を開催。この場で、ゲスト同士の新たなつながりも生まれるという。


― 個人プロジェクトだと自己完結してもいいですよね。どうしてWEB上で公開しているんですか?


当初、昼食会は自分のはてなブログの一つのカテゴリーでしかなかったんです。ところが、昼食会のゲストに招いたある方から「せっかくならWEBサイト作ろうよ」と提案していただいて。昼食会のロゴも別のゲストから書いていただいたものです。何気なくはじめたプロジェクトが、会を重ねる毎にゲストに成長させていただいているような感覚ですね。

また、発信をする背景の一つに、より多くの人が気軽に昼食会を開催できる世の中にしたいという思いもあります。この活動に「昼食会」という名前をつけるときも、あえて一般名詞にして、決して特別なことではないことを意識してつけました。

特別な準備もいらない、スキルも求められない、ただ誰かを誘ってランチをするだけ。自分が素敵だなと思う人と、もっと気軽に昼食会をするようになれば、今よりちょっとだけいい世界になるのではと思っています。

僕の活動を通じて、たくさんの人がそれぞれの「昼食会」を始めるきっかけになることができれば嬉しいですね。


― 業界や立場に関わらず、多くの人にとって非常に参考になるお話だったと思います。ありがとうございました!


(おわり)

[取材・文] 松尾 彰大


編集 = 松尾彰大


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