NPOの立ち上げや海外でのMBA取得、そして起業と多彩な経歴を持つ《ココナラ》南章行さん。次はなんと探偵にチャレンジする!?スタートアップのCEOが全く異なる職種に挑む、仕事旅行社との特別コラボ記事。南さんが探偵になってみて、見えた新しい世界とは?
テクノロジーとデザインによって既存業界やサービスがどんどん刷新されていく時代。ネットでの情報収集はスピーディーでカンタンになりましたが、どうしても、そこには手触りがありません。
より本質的な人々のニーズや生活を感じ取っていくためにも「体験から得てみる」ことの価値について考えてみてもいいのではないでしょうか。たとえば、リアルな場においてサービスのつくり手になってみたり、別ジャンルの仕事を体験してみたり。そうすることで新しい発見が得られないか。
何かを生み出すというコトにおいて、本質的に通じる部分はあるのか?サービスの本質とは何か?
こんな疑問からスタートしたのが、「スタートアップCEOが今までに知らなかったシゴトの世界」を見に行ってみる仕事旅行社との特別コラボ企画です!
今回ご登場いただいたのは、知識・スキルを売り買いできるオンラインマーケット《ココナラ》のCEO南章行さん。
「探偵になってみたい」
そんな南さんの一言で決まった探偵への挑戦。浮気調査や尾行、盗聴器発見というイメージもある探偵業…まさか欲望にまみれた人間の生々しい裏側を見てみたいという野次馬魂が!?それとも、より深い理由が!?探偵体験のレポートと共にお届けします。
今回、南さんをはじめ、ココナラのスタッフがおじゃましたのは、一般社団法人 日本調査業適正協議会。同法人は、探偵を引き受けるのはもちろん、探偵業における透明性を高めるための情報配信や研修、探偵学校の運営なども行なっています。
スタッフの方々の雰囲気はとても穏やかで、一見するだけでは探偵とはわからない方々ばかり(分かったらダメ?)。まず、いきなり探偵にはなれないので、探偵とは何たるか、座学からスタート。業界の仕組みとは?探偵という仕事とは?警察とはどう関わる?そんな説明がありました。
ユニークな考え方として、心理カウンセリング技術を取り入れており、依頼者の心もケアするということ。傷ついたこころのコントロール法、深層心理に気づき、接し方を変えていく技術なども重視しているのだとか。
そして、気になるのがよくある調査の依頼内容。やはり一番多いのは「浮気調査」だそうです。過去の案件をもとに、忠実に再現した調査報告書がコチラ。
調査対象となる方(マルタイ)が一日のうちでどこに行ったか?どんな状況だったか?入店した居酒屋の店名は?手をつないでいたかどうか?ホテルに入った時間は…などなど、おどろくほど細かく記載されていました。
テレビでは見たことがありますが…目の当たりにすると探偵の調査能力の高さ、ねばり強さに驚愕です。
探偵を雇うのはかなり出費が伴うもの。だから、探偵に支払う分の「元」がとれるような目算がある方か、よほどお金に余裕がある方以外は依頼をしないのだそうです。
そういった背景もあり、法律や訴訟の知識がある人も多いのだとか。その方々と対等に話ができるように、ある程度の知識も必要となるようです。
また、依頼者の心とも向き合うのが探偵という仕事。「エアコンの中に人がいてずっと見られている」「家の前を通る人がみんな自分の話をしている」「情報がどこかから漏れている」といった依頼もあるそうです。こういった方々とも真摯に向き合い、ケアしていく。そういった大変な側面も伺うことができました。
つづいて、どんなグッズを使って調査するのか、教えてもらいました。防犯の対策としても知っておいて損はなさそうです。
まずはコチラのペン。フツウのペンに見えますが、わずか1ミリ程度に仕込まれたカメラ付き。
意識しない限りは絶対にカメラだとはわかりません。これじゃ大した写真は撮れないだろうと侮るなかれ。なんとハイビジョンカメラというから驚きです(ただ、小道具を使うのは、稀なケース。プロになれば、もっとスマートな方法で情報や証拠が集められるのだとか)。
さて、次は盗聴器を発見する機械。テレビのドキュメンタリー番組などではよく見かけますが、実際に触らせてもらいました。
探偵といっても、依頼内容はさまざま。ストーカー対策など、防犯の知識なども必要になりそうですね。
「探偵の仕事は尾行に始まり尾行に終わる」という言葉も。そこでお昼の休憩をはさんで、実際に外に出て、尾行体験にチャレンジしました。
事前に尾行のポイントのレクチャーを受けます。たとえば、マルタイが振り向いても、顔をそらすと逆に怪しいのでNG、距離の取り方は人混みかどうかでも変わる、などなど。
探偵社の方が「マルタイ(調査対象者)」に扮し、ココナラチームが追跡していきます。これでバッチリ!…と、いざ開始してみると・・・
いきなりの5分でマルタイを見失いそうに!
尾行というと単にくっついて歩けばOKと思われがちですが、実際にやってみるとむずかしいもの。距離を取りすぎると曲がりがとなどで見失う可能性もあり、近すぎると気づかれてしまうことも。緊張感とも常に隣り合わせです。
その後も、喫茶店に入ったマルタイを寒空の下で待ち続けたり、見失いそうになって小走りで追いかけたり。尾行の厳しさを肌で感じました。
体験後には、代表理事の吉澤さんに質問タイム。
「探偵を依頼する人の年齢層は?」「市場の規模としては?」「規模は伸びているのか?」「お客の流入経路は?」「個客獲得はどうやってやっているか?」「広告費用は?」など、南さんはビジネスの側面から切り込んでいきました。
探偵は、リアルな人間関係をベースとした仕事。その中でのトラブルや不安、願望・欲望といつも隣り合わせといえるかもしれません。オフラインだけなかなか見えてこない「人間の本質」を垣間見るということにつながる部分もありそうです。
また、南さんは経営者という視点から、こういった部分にも言及が。
「いま運営しているサービスに探偵という仕事が参考になりそうな気配が。業界そのものにも興味があったが、内情が全く見えなかった。こういった多くの人が実態を知らないが、確かなニーズがあるリアルビジネスの客層、運営の仕組み、コスト構造などを知ることで、協業や新規事業のネタが見つかる可能性もある」
「いきなり見ず知らずの人に根掘り葉掘り話は聞けない。その点、仕事・業界の全体感を俯瞰した後に、質疑応答の時間をとってもらえたのはありがたかった。予想以上に深いところまで話を聞くことができた。業界の現状がリアルに知れた」
「尾行体験ではココナラ社員と同じマルタイを追っかけながら、情報を交換し合い、スリルや緊張感を共有できた。チームビルディングに役立ったかもしれない」
いかがだったでしょうか?
今まで遠い存在だった「探偵」という職業のことが近くに感じられたのではないでしょうか。また、気軽な体験として楽しめることはもちろん、プラスαの収穫も?まったくの異業種、リアルビジネスからビジネスのヒントが見つかるかもしれませんね。
ぜひぜひ気になった方は、ご自身でも体験してみてください!
[取材・文]田中 翼(仕事旅行)[編集]白石勝也
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