2020.01.22
VC界のニューヒロイン…になれるか。マリノスこと森 真梨乃がTwitterで、愛されキャラを見出すまで

VC界のニューヒロイン…になれるか。マリノスこと森 真梨乃がTwitterで、愛されキャラを見出すまで

ベンチャーキャピタル『KVP』で働く「マリノス」こと森真梨乃さん。肩書きはVCアシスタント…だが、なんだか様子がヘンだ。アシスタントの枠から少し(かなり?)外れた謎のポジティブツイートでファンを増やす。クスッとなるつぶやきの数々。個の時代といわれる今、彼女は「自分らしくあれる場所」をどう見つけた?

仕事と関係のないツイートが盛大にバズるマリノスさん

ただ「身近な人」に笑ってほしかったTwitter

マリノスさんといえば、Twitterの「おもしろツイート」ですが、誕生のきっかけから教えてください。

おもしろツイート…! ハードルがあがるから困ります(笑)誕生のきっかけ…なんだろ。まず私はKLabの子会社のベンチャーキャピタル『KVP』で働いていて。Twitterはメンバーみんなで一気に始めたんですよね。

2018年の夏に「KVPには広報がいないから1人1人が発信できるように頑張っていこう」と。「年末までにフォロワー1000人を最短で達成した人にはご褒美あり!」みたいな流れになって「おお、やらいでか!!」と火がつきました(笑)

でも、私はただのアシスタントで知名度がない。フォロワーは全然増えず、最終的にも500人くらい。完全に負けた。あとはもうやけくそですよね。「どうせ誰も見ていないから好きなようにやろう」となりました。

4万以上RTされたキメるマリノスさん。前職時代、ある上司に「森さんはブロガーになった方がいい」と言われ続けたという。見る人からみたら「個性」が漏れていたのかもしれない。

とくにTwitterが注目されるようになったきっかけはあったのでしょうか?

はじめの頃は、KVPのパートナー(運用責任者)である御林をひたすらアップしていて。それをVC業界の人たちが面白がってくれたんですよね。

御林って毎日同じ服を着てるんです(笑)夏はユニクロのVネックTシャツ(白)にデニム。冬はユニクロのVネックニット(紺と黒)にデニム。その3パターンしかない。

それをまるで雑誌の「着回し30日コーデ」のように毎日写真に撮って、私がポエムをつけてツイートする。するとちょっとずつ見てもらえるようになりました。

それが今や1万フォロワー!はじめは内輪な感じだったんですね。

そうですね。自分自身が目立つのはすごく苦手なんですけど、友達とか身近な人たちが笑ってくれるのがすごい好き。

幸運なことにフォロワー1万人を超えましたが、いつも反応をしてくれる人は100人くらい。完全にその人たちを笑わせたくてやってる。私を好きな人たちが笑ってくれたら、たぶんそれで満足。…いや、仕事のためにやれよって感じなんですけどね(笑)

短歌や俳句が好きで「連句の会」にも参加するというマリノスさん。言葉選びのセンスはその影響があったり、なかったり。

Twitterで見つけた居場所

ということは、Twitterをちゃんと始めたのは、この1年くらいですね。やってよかったことはありますか?

まずは友だちが増えたことです(笑)タカヤ・オオタ、Mr. CHEESECAKEの田村さん、5歳さん、みんなTwitterで知り合いました。あとは、ゆうこすさん、家入さん、けんすうさんにもフォローいただき…ホントもう…ただただ恐縮です。

でも、そのおかげで少しKVP内で仕事の幅も広がりました。とくに投資先の方々と仲良くなれるのがうれしくて。

オフィス訪問の記事作成をお願いされたり、「マリノスさんだ!うちにも来てください!」と言ってもらえたり。「森さんPRの方で仕事したほうがいいいかもしれないね」と特に最近はいろいろやらせてもらえるようになりました。

ツイートきっかけで「よく見たらこのKVPの投資先、すごくいい会社だな」と思ってくれる人がいたらうれしい。明るくて楽しい雰囲気とか、カルチャーとか、投資先企業のことを広めるお手伝いができたら、すごくいいなって思います。

日中、業務中は仕事に集中するため、ほとんどTwitterはしないマリノスさん。「あくまでも同アカウントはKVPのPRや広報視点の運用」とも。

事務、秘書を経て。「活躍」なんて夢のまた夢だった

ちょっと遡ってしまうのですが、てっきりインターネットの世界でずっと働いてきた人だと思っていて。全く違うと聞いてびっくりしました。

そうなんですよね。新卒1年目は総合商社で「貿易事務」として働いていました。船をブッキングしたり、輸出用書類の作成したり。書類をただ対応して終わり。仕事は生活のため。好きなことは趣味でいいという感じでした。お給料が手堅くもらえて、安定しているところ…が、就活の軸だったし(笑)

当然、全く活躍もできませんでした。当事者意識なんてゼロ。仕事に身が入っていないからミスばかり。本当に、当時の指導員の先輩、上司にご迷惑をおかけしました。今でも仲良くしてもらえてるのが本当に奇跡だと思います。

で、3年目の頃、本格的に転職を考えるようになって。たまたま本部長の秘書をさせてもらえた時、「あ、こっちのほうが向いているかも」と思ったんですよね。

身近な人のために働いて、その人が輝く姿を近くで見れるってステキだし、自分に向いているかもと。「ちゃんと秘書として働いてみたい」と転職したんです。ただ、いま思うとそれも甘い考えでした。

+++

2社目で秘書として入社したソーシャルゲームの『KLab』でもぜんぜんダメ。社会人スキルも、事務処理能力も、すごく低かった。

秘書ってお金を生み出せる職種じゃないですよね。お荷物はコストでしかない。「お金をドブに捨てちゃダメだ」って頑張れば頑張るほど空回りしました。

仕事にもなじめず、入社3ヶ月くらいしたある日、お手洗いの個室の中で「涙」と「鼻血」がドバーッと同時に出てきた。自分でもびっくりしました(笑)

たまたま別部署の方がそこにいて「森さん、やばいです」と救われました。そこからいろんな人に相談でき、現在の『KVP』へ。ちょうどアシスタントさんが産休に入り、ポジションがあった。すごく運が良かったですね。

しんどかったとき「せめて笑ってから寝よう」とよくお笑いを見ていたと話すマリノスさん。「とくに“細かすぎて伝わらないモノマネ”に出ていた方に救われたのですが、先日偶然その方にお会いできて、直接お礼が言えました(笑)」

「おれはプロフェッショナルと仕事がしたい」

KVPに入社してからはすぐ活躍を?

いえいえ!お恥ずかしながら、そもそもVCが何をやるところかさえ知りませんでした(笑)自分が何をしているのか、この仕事が、どこにどうつながるのかさっぱり。商社時代と同じでした。相変わらず呼吸するようにミスしまくる日々。ミーティングに出てくる用語が一つもわからず、議事録を取るにしても全部ググりながら書きました。今はやっとわかるようになってきたかな…半分くらいは(笑)

半分だけ(笑)それでも入社されてから3年、続いていますよね。

いい上司に恵まれたんだと思います。ダメな私を根気強く見てくれて。それがKVPのパートナー、いわゆる運用責任者の2人ですね。代表取締役社長の長野、御林(みはやし)。彼らと働けなかったら、ホントにどうなっていたか。

2019年に入るくらいからすごく仕事も楽しくなったとマリノスさん。「未来のある仕事に関われていてワクワク」「毎日刺激があります」「未来のジョブスを支援できるかもしれない」と語る。

とくにお二人から言われて印象に残っている言葉はありますか?

たとえば、長野は、私がミスした時に「なんでミスしたか分析して、ミスしないようにもう1回やろう」と。ミスすることが悪いんじゃなく、なぜミスするか、考えていないのが悪いんだなって気づけました。あとはすごく教養がある。歴史に造詣が深くて話がおもしろい。ランチもよくごちそうしてくれて、うれしいです(笑)

御林からは「俺はプロフェッショナルと仕事がしたいだけだから」と言われました。かなりグサッときて…目が覚めたというか。「ミスするな」と言われるより響きましたね。

たぶん私はずっと手抜きする方法を探す、堕落した人間だったんです。妥協の連続。でも「今までの自分なら逃げていたけど、プロフェッショナルならどうする?」と自分に問いかけるようになりました。「考え方をまず変えないと行動は変わらない」の考え方を大きく変えてもらえた。ホントにずっと大切にしたい言葉です。

…あ、ちなみに御林に「あの言葉が支えになっている」と先日伝えたら「そんなことを言った覚えはない」とすっかり忘れていました。もしかしたら、私の幻聴だったのかもしれませんね(笑)


文 = 白石勝也
取材 = 黒川安莉


特集記事

イノベーターたちの「習慣」と「実践」

『7HACKS』は世の中を沸かし、仕掛けつづけるイノベーターたちの「習慣」と「実践」に迫るキャリアハックの特集です。イノベーターたちの知られざる日々の習慣から、読書法、自らに課したマイルール、ライフハック、仕事に対する考え方まで、幅広くご紹介。明日からの仕事への活力が湧いてくる、そんなコトバと共にお届けします。

AFTER 2020

時代は平成から令和へ。そして訪れる「2020年以降」の世界。2020年からの「10年」をいかに生きていくか。より具体的に起こすべきアクションのヒントを探る連載企画です。お話を伺うのは、常に時代・社会の変化を捉え、スタートアップと共に"一歩先”を見据えて歩まれてきた投資家のみなさんや、未来を切り拓く有志者のみなさん。それぞれが抱く「これから10年間で現実的に起こり得ること」と「新しい生き方」の思索に

お問い合わせ
取材のご依頼やサイトに関する
お問い合わせはこちらから