2019.11.19
5年で13の事業を創出--プロダクトの企画・開発チームを加速させる! ピクシブPM育成への挑戦

5年で13の事業を創出--プロダクトの企画・開発チームを加速させる! ピクシブPM育成への挑戦

約200名が在籍しているピクシブ。その約15%を占めるのがPMだ。急速な新規事業の立ち上げによって多くのトライ&エラーが発生。同時に「PM育成」に関する多くのヒントが蓄積されていったーー。

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※2019年11月12日に開催された【Product Manager Conference 2019】よりレポート記事をお届けします。

【プロフィール】佐藤 里佳
ピクシブ株式会社新規事業部 事業責任者/マネージャー。2008年株式会社リクルートに新卒入社後、ライフスタイル領域のプロダクト開発に携わり、2015年7月にピクシブへ入社。新規プロダクト「pixivision」のローンチや「pixiv」ほか各既存プロダクトのプロダクトマネジメント、大規模開発プロジェクトのマネジメント等を経験し、昨年プロダクトマーケティング部署の立ち上げを行う。現在は「VRoidプロジェクト」でビジネス開発やマーケティング等を幅広く担当。

「優秀なPM」を育成するためのコンピテンシー

「ピクシブでは現在、17個ものサービスが運用されています。うち13個は、開始5年以内の新規サービス。事業の成長を目指すうえで、チームのアウトプットの最大化が重要なテーマです」

事業責任者を務める佐藤里佳さんはこう語ってくれた。「いかにプロダクトチームのパフォーマンスを最大化するか」という観点で、ピクシブの組織は設計されているという。

これまでのサービス運営や立ち上げにおいて、プロダクトマネージャーが果たしてきた役割を俯瞰し、彼らが定義したのが、PMコンピテンシー。PMコンピテンシーを定めることには3つの利点が存在しているという。

【1】優秀なPMになるための「正しい努力の方向」を定め、育成に活用できる。
【2】各PMが活躍できるプロダクトを見極めやすくなる
【3】複数人PMによるチーム拡大を検討しやすくなる。

基礎スキル、専門スキル、スタンス

そしてPMとして活躍するために必要な3つの要素を細かく設定、言語化する。

「基礎スキル」
「専門スキル」
「スタンス」

より詳細に言語化された内容を見ていこう。

基礎スキル
・情報感度・本当に必要なものだけに集中する力・コミュニケーション能力
・ビジネススキル・分析力・プロダクト開発の基礎知識

スタンス
・熱意(プロダクトの熱意を説くことによって人を動かす)
・姿勢(自身をプロダクトの最高責任者と考え、言い訳せず理想の実現に向けて全力を尽くす)
・敬意(事業ドメインとチームメンバーに敬意を払い、自身と異なる意見も受け入れて思考の糧とできる)
・知性(論理的に物事を考え、問題解決までの筋道を立てる不測の事態にも冷静に対処)
・誠実さ(失敗を隠さず、原因と対策を適切に提案し実施する)
・自信(判断に迫られた時、プロダクト・会社・ユーザーにとって最適な道を自信を持って選択し、示す)

専門スキル
・プロダクト開発領域(社内外調整・プロダクトロードマップ・プロジェクトマネジメント)
・ビジネスデベロップメント領域(マーケティング・ビジネスモデル開発・パートナーシップ戦略)
・ユーザーコミュニケーション領域(ユーザーエンゲージメント・ユーザーリサーチ・デザイン)

「ピクシブPMコンピテンシーでは、まず基礎スキルとスタンスの習得を優先的に目指し、その後自分の強みに合う専門スキルを磨いていくフローを想定しています。ステップアップに必要な能力が言語化されることで、迷いのない成長、育成がしやすくなることを期待しています」

専門スキルの定義については、「それぞれのPMが活躍できるプロダクトを見極めやすくなり、最大限の能力を発揮させること」につながっている。

「複数のPMがチームを組んだ際、お互いの強みを補完し合い、最大限のアウトプットを生み出すのにも活かせます」

「PMギルド」構想

もうひとつ、佐藤さんが紹介してくれたのが、プロダクトマネージャーを育成する事業部横断型組織「PMギルド」の構想だ。

「主に「スキル」と「スタンス」の習得のための育成やキャリアアップ・キャリアチェンジのサポート、次のチャレンジの方向性を経営ラインへ提案することなどが目的です」

同構想における狙いのひとつが、PMを育成する上での課題解消。

「現在のPMの成長は、怒涛の新規事業立ち上げラッシュによって培われたものであるため、それだけに頼らない育成構想を作りたいと考えました。また、成長のステップやキャリアパスが先輩の得手・不得手や経験に依存してしまいやすい点を解消できればと考えています」

まだ実現にまでは至っていないが「PMギルド構想」のステップについても語ってくれた。

NEXT
・PMコンピテンシーの達成条件を更に具体化
・PMひとりひとりのPMコンピテンシーの確認
・適したサポーター・サポーティーの設定と定期1on1

FUTURE
・シニアPMを中心に、勉強会や輪読会、研修など各専門領域の技能を高める方法を企画
・登壇への送り出し

チームづくりを大切にするピクシブが貫くこだわり

最後に、佐藤さんはPMのボトムアップ文化を形成するために、ピクシブが大切にしているこだわりについて語ってくれた。とくに重視されているのが「事業ドメインとチームメンバーへの敬意」だ。

「ドメインにコミットし続ける事で、次第にドメインとユーザーへの理解が深まり愛着が湧いてきます。それがチームとプロダクトの双方に良い効果をもたらし、ユーザーから愛されるプロダクトづくりに繋がっていく。

また、敬意をPMとメンバーの双方が意識することで、チームビルディングが双方化し、チームみんなでのアウトプット最大化に向かっていくはずです」

カルチャーとして「敬意」にも重きをおくピクシブ。

「自分が関わる事業ドメインを深く理解し、仲間への寛容性の高さが感じられるか。じつはここも採用の条件に置いているんです。優秀、かつ敬意を払える人物か。ここはしっかりと見ています」

そして応募者には「自分にまつわる101のキーワード」の提出を求めているという。狙いは相手のことを最大限理解し、その上でコミュニケーションを図っていくこと。

スキル、知識だけではなく、「スタンス」や「人間性」も活躍するPMにとって欠かせない要件と言えそうだ。


取材 / 文 = うすいよしき


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