2020.03.10
共通言語化する「UX」、デザインは「個」から「チーム」へ。花城泰夢が海外武者修行で見つけた強み。

共通言語化する「UX」、デザインは「個」から「チーム」へ。花城泰夢が海外武者修行で見つけた強み。

BCG Digital VenturesにてExperience Design Directorを担う花城泰夢さん。彼のファーストキャリアは、意外にも出版社でのDTP。クリエイティブエージェンシー、事業会社、スタートアップを経て「デザイナー」の可能性を拡張する、花城さんのキャリアを追った。

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※2020年1月に開催された「UI Crunch 5th Anniversary Party - UIデザイン業界の軌跡 -」よりレポート記事をお届けします。この5年間で大きく変化したデザイン業界。活躍するデザイナーたちは、どのような場面でキャリアの転換を考えるのかーー。
※UI Crunchに関する記事一覧はコチラ

プロフィール

+++現在、花城泰夢さんが在籍しているのは、ボストン コンサルティング グループ (以下BCG)の一組織である『BCG Digital Ventures』。大企業と共にデジタル領域のイノベーションを創出することに特化した組織で、デザイン、エンジニアリング、ビジネスの掛け合わせを特徴とする。グローバルで1000名、東京拠点は50名ほどで構成。グローバルでローンチしたサービスは100超。

キャリアの出発点は「DTP」だった。

まず僕のファーストキャリアですが、出版社でのDTP、ブックデザインからスタートしています。

その後、出版社をやめてクリエイティブエージェンシーTUGBOATが運営する雑誌ポータルサイト『magabon(マガボン)』の制作に携わりました。ちょうどその頃、出版もデジタルにシフトしていったタイミング。出版にとどまるのではなく、もっとデジタルを含めてクリエイティブ全体のことを知りたいと思い転職を決めました。

国内の大手クライアントの仕事を多数こなし、数千万ユーザー向けのデザインを携わることができ、本づくりとは違った経験が積めました。

その後、AppleやGoogle、Facebookなど海外のサービスが日本に押し寄せてきたので、自分自身ももっと「グローバル」に挑戦したいと思い、会社を辞めてフィリピン留学に3ヶ月だけ行きました。そこで語学力を磨くためにも、デザインで仕事するためにも、そのまま現地に残り、DMM英会話事業の立ち上げに携わることになります。

今では利用者の数も多くなったオンライン英会話サービスですが、当時はサービスの認知も低く、PRから講師の採用、サービスサイトデザインまで泥臭くなんでもやりきりました。

サービスも軌道に乗った頃、「グローバルで通じるサービスに挑戦したい」とキャリアを考えていた時に、たまたま参加したハッカソンで知り合ったエンジニアに誘われてトランスリミットというスタートアップにジョインしました。

デザイナー×エンジニアで世界と戦う

ちょうど5年前は、トランスリミットで『BrainWars』と『BrainDots』というゲームを開発していました。

広告なしでも、AppStoreのUSのチャートで総合2位まで上りつめることができ、当時『BrainWars』が1,500万DL、『BrainDots』が2,000万DLを達成することができました。

+++

BCG Digital Ventures 東京拠点立ち上げへの参加

トランスリミットでの開発もとても楽しかったですが、ちょうどその頃に『BCG Digital Ventures』の東京拠点立ち上げの話が。大企業のアドバンテージを活かし、さらにスケールの大きなことができそうだし、0→1が肌にあっているので、立ち上げメンバーとしてならやってみたいと思って飛び込む決意をしました。

グローバルに目を向けるといろんなコンサルファームがデザイン会社を買収していた時期。「デザイン」を重視する波がかなり来ていると感じていたんです。

また、グローバルで見ていくと、デザインを使ってビジネスや事業を起こすメソッドがすでに言語化されている。UXや戦略を体系的に学んでおきたいと考え、BCG Digital Venturesにフルベットすることにしました。

しかし、大企業との新規事業をつくっていくのはスタートアップのように素早くリリースまで辿りつきにくい。ビジネスモデルを詰めきらないと承認がおりない、企業の体制変更や方針転換、市場環境の変化にも阻まれるなど、ローンチまでいくサービスは本当に一握りの状況にしばらく苦しい状況が続きました。

韓国での武者修行でつかんだ手応え

大企業との新規事業立ち上げの難しさにもがいていた頃、BCGソウルオフィスのプロジェクトにデザイナーとして単独で入らせてもらって。

立て続けに3ヶ月くらいのプロジェクトを3つほど経験させてもらい、約1年、韓国でのプロジェクトに取り組んでいました。

クイックなUIのモックアップやユーザーインサイトを掴んだ上でのコンセプトメイキング、ストーリーボードが、クライアントにもBCGにも喜ばれ評価をしてもらえた。これまで培った経験を武器に、ビジネスの中でもインパクトを残せる自信がつきました。そして昨年、ようやくディレクターへと昇進できました。ひとつ壁を越えられた実感はありましたね。

ディレクターになってチームを牽引するようになると、マネジメントの意識も高まりました。

スペシャリティを持った「個」の集まりが「チーム」として機能するとさらにプロジェクトがスケールしていく。最近はたくさんの失敗を重ねながら、マネジメントの役割が少しわかってきたという感じです。チームメンバーに全幅の信頼を置くスタイルでやっています。まさに「個」から「チーム」への意識の変化によって視座が一気に上がりましたね。

+++

共通言語化する「UX」

この5年を振り返ってみると「デザイン」「エンジニアリング」の中心にUIデザインを置いていたところに、ビジネスが加わってきた。その共通言語が「UX」になってきている感覚はすごくあります。

ユーザー体験を中心に据えることで、初めて全員が同じテーブルにつける。よりチーム戦の重要性が増してきていて、多様性のあるチームやコラボレーション力で問題解決や事業開発に挑戦していかないといけないと思います。

BCG Ditigal Ventures Tokyoも10人に満たない組織から今では50人を超える規模にまで成長してきた。僕自身もコーチングやメンタリングのおかげで「ビジネスとデザインを越境した人材」に進化してきた実感がある。このまま、さらに成長しながらをグローバルでの活躍を目指していきたいですね。


取材 / 編集 = 白石勝也


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