2013.10.30
「本業をふたつ持つ」選択|STORYS.JP CMO大塚雄介さんに訊く。

「本業をふたつ持つ」選択|STORYS.JP CMO大塚雄介さんに訊く。

生活の足しになったらうれしい。そういった理由で、本業の他に副業を始めるダブルワーカーは多い。しかし、《STORYS.JP》の立ち上げメンバーである大塚雄介氏の場合はちょっと違う。生活のためでなく、未来の自分への投資として…。新しいカタチのダブルワークを紹介したい。

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「正社員」と「給料0円のスタートアップCMO」2つの顔を持つ男。

本業のほかに、副業を持つ。新しい収入源として、ダブルワークを選ぶ人は、今日、それほど珍しい存在ではない。

株式会社ネクスウェイで、UI構築の責任者を務める大塚雄介氏も、そんな「ダブルワーカー」のひとり。しかし、彼のダブルワークは、一般的なそれとは少々おもむきが異なる。

彼の副業は、まったくの無報酬で、「人生のSTORYを投稿する」WEBサービス《STORYS.JP》のマーケティング責任者(CMO)を務めるというものだ。

収入を得るための副業でも、片手間のボランティアでもなく、STORYS.JPで働く。他のメンバーたちと同様に責任を持つ働き方を、大塚氏はなぜ選んだのか。そのワークスタイルに見る、新たなキャリアづくりとは。



「世の中に影響を与えてみたい」その気持ちはいつもあった。

― そもそも、なぜSTORYS.JPにジョインされたのですか?


ひとことで言うとSTORYS.JPというサービスと、それを創る仲間たちに惚れこんでしまったんです。

私は普段、株式会社ネクスウェイでBtoB向け新サービスの企画や設計、UIデザインに携わっています。けれど、心のどこかに「新しい仲間と、いま目の前にある仕事とは別のことをしてみたい」という想いがありました。

そんなある日、たまたまWantedlyでSTORYS.JPの人材募集を見かけたんです。そこからコンタクトを取ったのが始まりでした。

最初は「オフィスに遊びにこない?」みたいな軽いお誘い。それで、こちらも気軽に出かけて(笑)。初めてCTOの和田など、現在の仲間と直接話をしました。

そこで、みんなが口々にSTORYS.JPの魅力について語るんです。どんなサービスを目指していくのか。どんなことを実現したいのか…。言葉は悪いですけど、とにかくバカみたいに本気で、このサービスで世界を変えてみせるという決意が感じられました。

その熱に触発されたみたいに、気が付いたら自分も議論の輪に加わっていました。ただの雑談が、いつの間にかサービスの今後を決める経営会議のようになったのを覚えてます。そこで、UX/UIデザインについての提案や、マーケティング戦略についてなど、自分が提供できそうな知見についてはその場で伝えて。そのときにはもうSTORYS.JPを、この仲間たちと大きくしていきたいという気持ちになっていましたね。



― なるほど。ところで「別のこと」をしたいなら、転職という選択肢もあったのでは?


そもそも、「別のことをする」=転職という選択肢しかないとは思わなかったんです。ネクスウェイでの仕事に不満があるとか、そういうことではなかったんです。新卒採用の1期生で入社した会社ですから、愛着はものすごくありますし、いまでもネクスウェイでしかできないチャレンジをしています。


― それでも、報酬は要らないという決意はすごいですね。


私がジョインしたのは、スタートアップのシード期にあるサービスですし、マネタイズの方法も確立していなかった、約10ヶ月前ですので。そんななかに途中で参加して、さらに報酬も求めるなんてチームにとってマイナスだと思ったんです。持論ですが、「お金はあとからついてくる」という考えなので。個人的には最初からお金が目的になってしまうというのは、働き方としてあまり幸せじゃないような気がしています。

本業・副業ではなく、どちらも大切な本業。

― 本業を持ちながらスタートアップで働くのは大変だと思います。
日々のスケジュールはどういった感じなんでしょう?


平日は20時まで、ネクスウェイで仕事。そこから移動して、24時くらいまでこちらの仕事をする、という感じです。休みの日は、午前中からSTORYS.JPにかかりきりですね。移動中もずっと仕事してますし、寝ているときでも問い合わせがあれば対応してます。


― めちゃくちゃハードワークじゃないですか!奥様とか怒りませんか…?


幸い、理解のある妻で(笑)。というより、この働き方に切り替える前に了承を取ったんですよ。「家事も、家族サービスもきちんとする。仕事を言い訳にしないから、挑戦させて欲しい」と伝えて。そこで妻がOKしてくれたことも、現在の働き方を続けられている大きな理由です。

なにより、お給料を頂いているネクスウェイでの仕事に、影響を出さないことが大前提。STORYS.JPが忙しいので早退します、なんてありえませんし。もちろんSTORYS.JPにも、「ネクスウェイが忙しくて、約束の納期に間に合わない。」なんて言えません。

家族にも、会社にも迷惑をかけないこと。これは、覚悟として持っています。だからダブルワークとはいっても、本業・副業という分け方は、私の場合適切じゃないかもしれません。どちらも、大切な本業。そういう意識で働いています。本業があるから、副業がうまくいかなくてもいいや、なんてもってのほかです。どちらもきちんと両立させる。その意識が徹底していないと、なかなかこういった働き方は難しいと思います。



「なんで無報酬でそんなことしてるの?」なんて聞かれることも多いですが、そういうときには「いや、これは私の趣味なんですよ」って返しますね。たとえば、仕事以外の時間でバンドをしたり、ゴルフをしたりする人はいますよね。感覚としてはそれにすごい近い。もちろん趣味って言ったら怒られそうなときは「仕事です」って伝えますが(笑)

個人的には「自己投資」という意識が強いかな。自分の時間を有意義に使う。そして、自分の空いている時間を最大限有効に活用するためSTORYS.JPに参加したんです。もちろんビジネスである以上、一般的な趣味のように自由に始めたりやめたりはできません。私自身も、自分の時間を投資したぶんは必ずサービスの成長というカタチで回収するつもりですよ。

ダブルワークを通じて、広がった世界・手に入ったもの。

― いまの働き方になって、仕事の進め方などに変化はありましたか?


これはもう、劇的に違います。以前はネクスウェイで一番最後に帰るキャラ、日をまたぐ時間まで働いて帰るのが当たり前。以前は、やっぱり間延びしている部分があったんです。仕事の優先順位をきちんとつけていなかったり。なんとなくダラダラと仕事をしてしまったり。今では、20時までに必ず仕事を終わらせる意識を強く持って働いています。

とにかく、ムダを省く。その日の仕事は、その日のうちに必ず終わらせる。その意識が徹底的に身についたことは、思わぬ副産物でしたね。


― はたから見ているだけではわからないプラス面があるんですね。
大塚さんのような働き方を、周囲の方にオススメはできますか?


いや。万人にオススメできる働き方ではないと思います。私の場合は、たまたま自分の感性に響く新しいサービスと魅力的な作り手と出会え、共感できた。家族をはじめ、会社の上司や仲間からも理解も得られた。いくつもの偶然が重なった結果のような気がします。

ただ、「世の中に影響を与えたい」「これまでにないサービスを生み出したい」そんな意志と覚悟があるなら、一歩踏み出してみる価値はあります。まず、自分の培ってきた知見を別の場所で活かすのは純粋に面白いです。それに、今までの会社では出会わなかったような方たちに出会える機会も増えました。

たとえば、ユーザーさんにインタビューすると、サービスへの反応をダイレクトに感じることができる。自分たちのサービスが、たしかに誰かの人生を変えている。引いては世界に影響を与えてる。STORYS.JPはtoCのサービスなので、そんな実感を今まで以上に感じることができます。


(つづく)
▼STORYS.JP CMO 大塚雄介さんへのインタビュー第2弾
STORYS.JPチームに学ぶ、スタートアップを加速させる、強いチームのつくりかた。

[取材] 松尾 彰大 [文] 白濱 久史



編集 = 松尾彰大


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