スタートアップ段階のWebサービス《STORYS.JP》でマーケティング責任者(CMO)を務めている大塚雄介氏。本業を持ちながら、全くの無報酬で日々サービスの成長にチカラを尽くす彼が考える、スタートアップを加速させるチームワークとは何か。
▼STORYS.JP CMO 大塚雄介さんへのインタビュー第1弾
「本業をふたつ持つ」選択|STORYS.JP CMO大塚雄介さんに訊く。
創業期にある企業が、共通して持っている課題。それは最低限の人数と資金で、高い成果を出さなくてはいけないということだ。
そのために必要不可欠なのは、強いチームづくり。
近年、スタートアップにおけるチームビルディングの要素として、注目を集めているのが「ハスラー×ハッカー×デザイナー」というコンビネーションだ。
今回お話を伺ったSTORYS.JPのCMO・大塚雄介氏も、ハスラーとデザイナーを兼任しながら、サービスの成長に日々尽力している。
大塚氏の考える、強いチームとは。それぞれが果たすべき役割とは。そしてスタートアップを加速させるために必要なこととは。
― STORYS.JPは、現在どんなメンバーで運営されているんでしょう?
私自身の肩書きはCMO、つまりマーケティングの責任者です。手がける仕事はかなり幅広くて、マーケティング施策の立案にはじまり、提携企業から持ちかけられるコラボレーションをまとめたり。各種のメディア対応や、ユーザー対応、SNS上でユーザーさんの声を収集したりといった細かな仕事まで全て担当しています。
またSTORYS.JP上でのコミュニケーション設計や、そこからリアルに繋がっていくための導線づくり、UIの改良なども専門分野として関わっています。ハスラー兼デザイナーといった立ち位置でしょうか。
私のほか、ハッカーが2名。そのうちのひとりはCTOを務めている和田です。大体この3名+インターン生がSTORYS.JPの実働部隊という感じですね。
― まだスタートアップ段階ですが、サイトの成果としてどのようなものが?
サイトの知名度向上も今のところ順調で、企業からのお問い合わせも受けきれない数になってきました。最近では、サイト上でフジテレビやベネッセコーポレーションとのプロジェクトを行ないました。
こういった対法人の成果だけでなく、STORYS.JPのユーザーさんにも面白いドラマが起こったりしてるんです。たとえば、あるユーザーさんのストーリーがソーシャルメディア上で大きな話題になったり。ご自身のストーリーが書籍化されたユーザーさんも生まれたりしているんですよ。
― サービスを拡大していくうえで、チームの皆さんとは普段どんなコミュニケーションを?
変な上下関係や、しがらみを持ちこむ人はいません。お互いに全く遠慮はしない関係だと思います。CTOの和田は10歳位年下なのですが、私のアイデアに「大塚さん、それ、価値無いですね」とか普通にダメだしもしますし(笑)
とにかくチーム全員がSTORYS.JPをもっと良いサービスにしたいという気持ちを持って、いつも討論を重ねています。
― そのチームで、ご自身の役割はどのようなものだと?
何かひとつの役割に縛られてる感覚はないです。お互い、得意分野を把握しているので、それぞれ補完し合っている感じです。
私は、UI/UX設計に携わってきたので、デザインを主導する場面は多いです。しかし、ハッカーのふたりは私より若く、子供の頃からWEBに触れているぶん、UIに関する感覚も私より優れた部分があるんです。ユーザー目線に立った直感的なUI設計などは、ハッカーのふたりの意見を尊重することもよくありますね。
大切なのは役割を分けることより、互いの得意分野を軸にしながら、フレキシブルに関わり合うこと。そして、敬意を持って接することではないでしょうか。
― ハスラー・ハッカー・デザイナーと、綺麗に役割が分割されている感じではないということでしょうか?
たとえば、私はCMOとしての業務をこなしながら、UIデザインに携わっています。他にも、毎週ユーザー向けに送っているHTMLメールや新機能を伝えるBlogを作成したり。企業とのコラボレーション企画ページやデザインも私の担当です。スタートアップの段階なので、いっそう役割がオーバーラップする部分は多いですね。
お互いの得意な分野・不得意な分野を認識し、サポートし合う。皆で知恵をしぼる。こういった体制が、いまのSTORYS.JPの強みです。とはいえ、サービスの拡大とともに新しい役割を担う方は必要で。ずっと、この体制を維持するつもりもありません。ただ、組織の大小にかかわらず「自分の仕事はこれ」と限定するのは、もったいないことですね。
― 逆に、今の組織の課題点はありますか?
それこそ、土日も含め毎日のように会う仲間です。一体感は非常に強い一方で、次の方が入って来にくい。それはあります。たとえば、言葉にはし難いけれども、私たちの間では成熟していった情熱や知見。それを途中からキャッチアップするのは、困難を伴うと思います。
ただ、スタートアップ段階の企業では、チームのなかで共有する情熱が絶対に必要です。自分たちが作り出すサービスやプロダクトを成長させていきたい。その強い欲求がなければ、どんなチームも立ち行きません。つまり、拠り所となるものが必要ということです。チームが拡大する際には、次の世代へその情熱を伝えることが必要だと感じますね。
― お互いを信頼し、リスペクトすること。スタートアップに限らず、多くの人に参考になるお話だったと思います。ありがとうございました!
(おわり)
[取材] 松尾 彰大 [文] 白濱 久史
編集 = 松尾彰大
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